あらすじ
わたしは新進気鋭の抽象画家。キャリアをかけた個展を目前に、出展予定の連作が消失してしまう。買い手のついている作品もあり、個展に穴をあけるわけにはいかない。伝説的アーティスト集団パイン・シティのスタジオを借り、芸術家たちと交流しながら絵を描き直していたが、自殺した元メンバーの制作ノートを発見したことで彼女が最後に遺した作品の秘密に巻き込まれる。芸術のアイデンティティをめぐるサスペンス長篇。
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Posted by ブクログ
結局は特権階級に収奪される現代アート界、という現実の中でアイデンティティを確立しようと格闘し、見事に楔を打ちつける主人公「わたし」に感動。
物語の構造は「レベッカ」を強く意識させ、(てゆーか、これレベッカじゃね?と、かなり序盤に気づく)不穏な雰囲気が終盤まで続く。
恋愛感情とプレッシャーと疲労から、どんどん主人公の情緒が不安定になり、クライマックスの行動は、狂気なのか意図的なのか読者には分からなくなる。
しかしハイアートてのはどんだけ性格が悪くないとダメな世界なんかな〜って思うね。
Posted by ブクログ
「わたし」のアイデンティティや芸術のあり方はもちろんだけど、パイン・シティが秘密を抱えることになった背景についても色々考えさせられた。作品の制作過程における精神描写にどっぷり引き込まれて、長いけど後半は夢中でした。
ちなみにこれに触発されて美術手帖のフェミニズム特集買ったらめちゃくちゃ面白かった。