あらすじ
鋭い眼が「風景」の叫び声を捉えた。『もの食う人びと』と風景は、解釈や意味を超える、腸のよじれるほどのおもしろさを秘めている。ベトナム、ブータン、中国、ウガンダ、ロシア……、世界を旅した気鋭ジャーナリストが見た、かくも狂気じみた風景の数々。前著と表裏なす傑作。
北京でチェルノブイリでウガンダで……世界のいたる所を旅した著書が見たものは、風景そのものこそ真実を語っている現実だった。『もの食う人びと』が陽当たりのいい地表部分なら、本書は湿った地下茎だ。その地下茎が異議を申し立て、抑制と我慢から解放された、新しいノンフィクションが生まれた、話題の好著。
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Posted by ブクログ
本著の作者辺見庸が世界中を旅しながら”いまこの世界で人は何をくっているのか”をテーマに書いた「もの食う人びと」。
「反逆する風景」は、その「もの食う人びと」と表裏一体をなす作品。「もの食う人びと」が善なるもの、新聞的なもの、自己規制されたものであれば、対して「反逆する風景」は、悪なるもの、新聞には描かれないもの、規制をせず辺見庸が愛するもの。
表裏一体だからこそ、もの食う人びとを読んでからではないとこの本は味わえないし、もの食う人びとを読んだことがある人ならばこの本は必ず読んでほしい。
共同新聞の元記者である辺見庸が、新聞的ではないものを描こうとするこの本における挑戦は、同時に彼なりの日本のジャーリズム批判につながり、辺見のジャーナリズム感が出ている。
今日の報道では、ひとつの完結したストーリーを叙述し、メッセージを強調するために、数々の風景が捨て去られていく。あるいは、風景に無理やり意味を付与しようと試みる。しかし、風景がそうした意味づけや捨象に反逆する。「無駄」や「余白」を孕んだ風景こそが事実を補強し、あるストーリーの中で強烈に光を放つ。そして辺見はそれらに強い愛着を持つ。
辺見に反逆してきた風景の、おはなしである。
Posted by ブクログ
出だしの表題作は良かったが、ほとんど駄文が多い。
再読したくない。
複数の週刊誌に書いているせいか、似たようなネタを使い回しているのも散見される。
話題になった『もの食う人々』の裏バージョンというべきで、あちらは新聞記者として肩の凝った書き方にしてあるが、こちらは週刊誌だからだろうか、かなり下策というか下世話な話が多い。
エッセイを買う時に、どこで発表されたのかを参考にせねばならないと勉強させられた一冊。いまさらだが。