あらすじ
映画『痛くない死に方』原作本!
私が今まで、「病院」か「在宅」かという、 二元論でしか語っていなかったとしたら、
そして在宅医療の美談しか語っていなかったとしたら、心から謝ります。
だから、あえてこの本を書きました……
在宅医療の光と影を描く本邦初のドキュメンタリー!
父がとても苦しんでいるのに、在宅医も訪問看護師も、臨終のときに来てはくれませんでした。
…在宅看取りなんて簡単にできるものではないのだと、大病院の先生は言いました…
家で看取れば「平穏死」できるなんて、嘘じゃないか!
末期がんの父の在宅看取りを後悔する娘が、 在宅医療界をリードする長尾医師に噛みついた。
大切なのは、どこで死ぬか? ではない。 どう死ぬか? どう見送るか? なんだ。
「家で死にたい」と望む人が6割の今、 最期の望みを叶えるために 必要な条件とは?
――これから訪れる、日本人の死の「現実」をここに書きました。
重いタイトルではありますが、今まで医師のどなたも書いてこなかった衝撃的な内容だと自負しております。
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Posted by ブクログ
在宅でうまくいかないと感じた事例と、その解説。すばらしい実在感。
在宅で看取ることで、看取る側は猛烈に責任感を感じる。うまくいかないことはどうやってもあるとは、言えない。
それでも在宅を勧めるためにこれが書かれることの強さを思う。
Posted by ブクログ
長年地域の在宅医療に従事されてきた長尾先生が、とあるご遺族が持ち込まれた、末期肺癌+慢性閉塞性肺疾患のご家族に緊急在宅導入をしてうまくいかなかった事例の感情の吐露と医療機関とのやりとりを詳細に記されています。
読んでいて、現在の日本の在宅医療の課題、、、
・入院中の主治医による予後告知のありかた
・急性期病院が在宅医療を実感できているか、また在宅医療施設ごとの細かい能力の吟味ができるか
・(緊急)在宅導入における退院前カンファの重要性
・在宅初回訪問時の家族へのセルフケア説明、予後説明
・癌だけでない併存疾患による重篤化の鑑別と対応
・緊急往診を”いま”するかの判断基準
・つらい本人・家族への心情の共感的態度の表し方
などが浮き彫りとなり、私も在宅医としてやってきて経験してきた”痛み”を思い出しながら読み終えました。
著者は”もはや美談だけで在宅医療を語る時代ではないと考える”と問うており、強く私も賛同します。
在宅医療の社会的ニーズが増えるにつけ、質の標準化と利用適応が厳しく問われる時代になっているのだと。
本書は在宅医療機関にとっても、私達が”だれの、どんな痛みを”ケアしなければいけないのか、プロとしての根源を問う教材として活用できると感じました。
なお苦しまれているであろうご家族様と、亡くなられた患者様ご自身、そして自らも提供されている医療の課題を覚悟のうえで発表された著者の長尾先生に深い敬意を表します。この痛みを刻んで、真摯に在宅の診療と後進教育に当たりたいと思います。ありがとうございました。