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Posted by ブクログ
Twitterで見かけ、装丁に惹かれて手に取った本で、ティーン向けライトノベル。
家でも学校でも息苦しさを感じていた少年少女。最後には隠してきた本当の自分を解放し、お互いに明るい人生を歩み始める。不幸設定が苦手なので、読み始めはあまり良い印象を抱かなかったが、メッセージ性の高い内容でなかなか考えさせられたし、読後はスッキリほっこりした。
教師の経験がある著者だからこそ、多感な10代ならではの葛藤と苦悩を上手く描き切れたのだと思う。
Posted by ブクログ
綾瀬水月(アヤセ ミヅキ)と羽澄想(ハスミ ソウ)は、高3・同級生。この2人がひょんなことから生物部に入り、ともに過ごす時間が増え、次第に相手を特別な存在と感じるようになってゆく。
綾瀬も羽澄も共にクラスで浮いた存在だが、ある意味正反対のタイプ。綾瀬はいつもへらへらし、よくしゃべり、自分は人魚の末裔だなどと言う。一方、羽澄は、クラスの誰とも関わらず、ほとんど話すこともない。
だが、お互い何か抱えていることには気づくが、そんな2人だからこそ、お互いの踏み込まれたくない部分はそってしておく。その距離感に安心できた。
しかし、互いの重すぎる母親のために、2人はそれぞれ追い詰められ、死を選ぶ。「一緒に死のう」と言いながら、相手だけは生かそうと心に決めて。そして・・・
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実は2人には、毒親持ちという共通点があった。
綾瀬の母は「幸せになっていいのよ。でも、私よりは不幸でいなさい。あなたは私を幸せにするために存在しているのだから」というタイプ。DV夫が家を出てから、
新しい男を作っては捨てられ、そのたびに「私にはあなただけよ」「やっぱり家族がいちばん」と言って、娘の心を縛る。
羽澄の母は「あなたになにかあったら死んでしまう」「あなただけが頼りなの」と、泣いて罪悪感で縛るタイプ。長男を自死で失ってから、異常なほど想の行動を管理し、時には探偵を雇って連れ戻すことも。
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『さよなら噓つき人魚姫』で、綾瀬は自分が人魚だと言いふらすことで、父親からの暴力の後遺症でうまく走れなくなったことや、歌うことができないでいる現実を隠した。
羽澄は、自分に嘘をついて心を殺すことで、母や周りの人が傷つくことを避けた。
自分自身を愛してくれることを親に期待しては裏切られ、でもやっぱりその期待が捨てられずにいるのが感じられて切なかった。
彼らと対照的な家族関係として、同じ生物部で同級生の後藤くんとその家族が登場するのだが、まぶしすぎてその場に留まることができない2人を、すごくリアルに感じた。
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汐見先生は今回、部活顧問で担任の沼田先生を通してメッセージを発信していると思う。
「どうか、大人を信じて、助けを求めて欲しい」
「手助けをさせて欲しい」
そして「自分自身に嘘をつかないで」ということ。
本当につらい思いをしている人はこの本を読むことも無いのかもしれないけれど、少なくとも、同じような思いを持って思春期を過ごした私には、すごく刺さる内容があった。
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『僕の永遠を全部あげる』の留生&千花の2人がチラッと登場します(*´▽`*)