あらすじ
父親が亡くなってから、毎朝登校するときに母親と手をふり合うのが日課になっている輝(ひかる)。そんな朝の「決まり」を同級生に見られからかわれる原因になる。輝は、そろそろ手をふり合うのを卒業したいという想いと母親を傷つけたくないという想いのはざまで葛藤する。時を同じくして、輝は、同じく父親を事故で亡くした同級生の田村香帆(たむらかほ)とよく話すようになる。香帆は母親と二人で再出発するために、運動会で行われる保護者との二人三脚競争に強い想いをかけていたが……。
第22回ちゅうでん児童文学賞」大賞受賞作品。(選考委員:斉藤洋、富安陽子、鷲田清一の各氏)
日常的な、そして、おとなになってからは、それをいつやめたか覚えていないような習慣、それを象徴的にとらえた、少年の半年間の成長記。こんなにじょうずに日常を描ける新人作家がいるだろうか。──斉藤 洋
この年頃の子ども達ならではの微妙な心の動きや振舞がとても自然で、この作者は子どもをよく知っている人なのだなと嬉しくなります。本物の子どもを描ける人なのです。──富安陽子
全篇に漂うのは、人がたがいにいたわりあうその思い。ふとした仕草や表情の向こうに思いをはせる、そういう心のたなびきが温い。が、いつもすっと相手に届くものでもない。シャボン玉のように宙でつぶれ、どこかに消え失せもする。そういう切なさが、温みとないまぜになって描かれているところが、この作品のいちばんの魅力だ。――鷲田清一
感情タグBEST3
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クラスの智博(ともひろ)が、ベランダからお母さんに手をふってもらっているぼくをからかってきた。でも香帆(かほ)が「あたしは、おかしいなんて思わない。」と言ってくれて、香帆の事を好きになる話。
香帆の名前の由来がいいなと思った。
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#ベランダに手をふって
#葉山エミ
#講談社
父親を亡くした小学5年生の輝。同じく父を亡くしている同じクラスの香帆。二人が母親や周りの人たちに助けられて前向きに生きていきます。
子どもの心って見えないけど、いろいろ考えて、優しく柔らかく育っていくんだな。きっと。そうであってほしい。
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こどもらしい、優しいお話だった。毎朝ベランダから手をふって見送ってくれるお母さんに対して、このくらいの時期なら恥ずかしがってひどいことを言いそうなものなのに、どう伝えようか一生懸命考えてるところが良い子。二人三脚の場面はウルっときてしまった。
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学校に行くとき、ベランダのお母さんに手を振る、それっておかしい?
父を亡くして母と暮らす輝の、5年生の毎日を描いた物語だ。同級生に揶揄われて恥ずかしかったり、気になる子がいたり、父親のことを思い出したり。大事件は起きない。でも輝は戸惑って、考えて、話して、そうやって大人になっていく。暖かい物語である。
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母と毎日ベランダで手を振り会う母子家庭の主人公。クラスメイトにそのことでからかわれることも。同じく母子家庭のクラスメイトと仲良くなり、ほのかな想いを寄せる。半年間の成長の物語。
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小学5年生の煇、毎朝登校の時ベランダの母と手を振りあう。そして6年生になる時手を振りあうことから卒業する。それまでの気持ちの流れが 周りの大人たちに恵まれ友情を築き成長していく様子を丁寧に描いてあってよく分かる。
コスモスが無事咲きますように。
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ちゅうでん児童文学賞大賞受賞作品。
選者の斉藤洋さん、冨安陽子さん、鷲田清一さんのことばつき。
6歳のときに父親を病気で亡くした5年生の輝は、毎朝仏壇のお父さんに挨拶してから学校へ行く。そして、5階のベランダから手をふるお母さんに手をふりかえす。輝とお母さんのきまり。でも、それを見た同級生にからかわれる。
からかう男子にそれをとがめる女子。幸い輝はからかわれても周りの人が温かいせいか深刻に悩むことなく物語が展開していくが、実際はこんなふうにはいかないだろうなあと考えてしまう。
父親っ子だった私は、低学年の頃父の自転車の後ろに乗っていたときに見ず知らずの年上の男の子にからかわれたてから2度と乗りませんでしたから。
勧める対象も、ちょっと思いつきません。