【感想・ネタバレ】起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

事実は面白い!起業家やビジネスのダイナミズムをリアルに感じられることができる名著。

リクルートや江副さんに関する初めての本。
印象に残ったのは以下の部分:
・壮絶な子供時代(母が3回変わり、父は昔の男性って感じ)
・大学時代からお金を稼ぐことに秀でた才能
・どこにも就職せずリクルート立ち上げここまで大きくした
・経営を学ぶ機会も先輩も上司もいなかったのでドラッカーの本に付箋をたくさん貼って経営を実践を通して学んで行った
・最初は大学内の新聞広告からスタート
・学生向けの情報誌「企業への招待」、初号こそ苦労したがその後は企業への問い合わせが増え、有名企業がこぞって出稿
・こんな昔から「データイズマネー、データを持つものが強い」の考え方
・トヨタの出稿を取るためにトヨタ課的なものまで作って現地に人を貼り付けた
・ダイヤモンドの参入で社長に出さないでくれと直談判→結局最終的にリクルートはシェア一位を獲得
・ジェフベゾスとの交わり
・超合理主義で仕事を進める
・個人の尊重、を一つに掲げて、大学に行けない優秀な高卒生、腰かけ入社としてあまり採用されない女子大学生を優秀なら採用してた
・女帝と呼ばれのちに3代目社長となる河野栄子
・カリスマ性がないと認識していた江副さんは福利厚生に金をかけた
・カリスマ性がないと思っていたからこそ、社員のモチベーションをひきだすために「どうしたいの?」を聞いていた。コーチングアプローチに近い。不平不満の「評論家」社員を「当事者」に変えてしまう
・大沢さんの「心理学的経営」
・待ち時間が嫌い、同時に2-3のことをやらないと嫌
・志布志の土地を購入。石油備蓄構想があり、地価の値上がりを見込んでのこと。建前は社員のための保養所。チームビルディングの先駆け。当時500人、何やってるかわからないが発生し始めていた。顔が知れると知恵を交換し合うようになった。
・小集団に分けてそれぞれに事業責任を持たせるプロフィットセンターを導入。平成になるとその数は1600にも。社員皆経営者主義
・早稲田の入山さん取材で「リクルートには内発的動機がある。外発的動機は報酬や昇進、内発的動機はやりたい、楽しみたいとうちから出てくるもの」
・安比のリゾート開発、スキー場としてのブランド化
・都内に不動産を買おうとしてて情報がないことに気づく。徒歩十分と書いてあり実際歩いたら30分、これはじゅうぶんと読むんだよ言われるくらい不動産業は売り手優位、悪徳、情報の精度も悪かった。ここから生まれたのが住宅情報雑誌、スーモの前身
・余談:鉄道殉職者の妻の働き口のために作られたのがキヨスク
・当時の経団連会長の稲山氏から「ものづくりをしないリクルートは虚業」と言われる(その後経団連加入自体は認められる)
・1984というジョージオーウェルの小説
・情報自由化を見越しNTTの対抗馬となる企業立ち上げが始まる。稲盛さんなど錚々たる経済界の有名人が集まり江副さんも初期メンバーで会合には参画。しかしソニーの盛田さんにまだ早いと第二レイヤーの投資企業に回される
・敵の敵は味方的にNTTとの協業を開始。回線のまた貸し業。
・採用コピー、企業人より起業人
・当時から情報に価値を置いていた江副さんはすごい
・IT新規ビジネス開発のため東大工学部が必要と考えた。当時NTTや新日鐵に行く人が多い中人事部長は東大近くの寿司屋2階を3ヶ月貸し切って座敷でくどくを繰り返し、落ちそうな学生は江副さんが出てきて最後の1推し
・スティーブ・ジョブズがペプシの事業部長だったジョンスカリーを口説いた「いつまで砂糖水を売るつもりなのか、自分と一緒に世界を変えよう」
・即戦力採用のためMBA社費留学中の学生を現地で一本釣り
・AWSのようなクラウドコンピューティングのビジネスを誰よりも早く構想し、スーパーコンピュータにも多額の投資をする。paypalの何年も前に、ファイテルというベゾスが新卒入社したオンライン決済のベンチャーに出資し、と明らかに産業の第三の波を捉えていた江副さんは、第二の波(産業革命後の工業化社会)に留まる日本では明らかに異端児。情報化社会という第三の波に乗り切れなかった日本の敗北はここから始まっていた。
・情報産業と不動産にしか興味がなくなり取締役会でも政治家や高級官僚の話ばかり。1億2億のコストカットについて喧喧諤々と議論をする他の幹部を小馬鹿にする態度。
・政治家に高い酒ではなく安比で取れたサツマイモやトウモロコシを一筆添えて贈っていた。その感覚で新たに「リクルートコスモスの株」を配ってしまっていた。上場目前で自分の株は譲渡できないので、安定株主として過去に売った近しい経営者から一部買い戻しそれを政治家や秘書83人に配りこれが還流株と言って問題になった。
・経営者仲間で女性を連れて行った沖縄旅行が週刊誌にスキャンダルとして出る
・当時あまりまだインサイダーの線引きがあやふやだった。企業の人事情報が無限に入ってくるプラットフォームになったリクルートは本来神の見えざる手のところが神の視座を手に入れた状態。自社の努力で集めた情報を使って儲けて何が悪いという発想でどんどんダークサイドに堕ちていく
・朝日が記事にした。直接的に言葉は使わなくとも「未公開株」「川崎市助役」「売却益一億円」と一面に報じ他紙も追随。株を譲渡された日経新聞の会長も辞任に追い込まれた。江副さんの周りでは脅迫も起こり不穏な空気に包まれていた。
・当時の日本ではエンジェル投資家というものが存在しなかった。江副さんに助言をくれる人はいなかった

0
2024年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リクルートを創業した江副さんのストーリー。企業はどう経営するとどのような人が集まり、どのように考えればどのように傾いていくのかがわかった一冊だった。自分以外の人間を信用し、任せて、大きくしていくことで、社員ひとりひとりそれぞれが経営者のような会社を作った江副さんだったが、バブルの中不動産売買にのみこまれ、政治家と深く関係を築いていき、いつしかその隙間に人間の黒い欲望や思惑が入り込んでいって最後には自分を壊してしまった人。先見の明があり未来を見据えていたロマンある人で、さらにそれに周りの人を巻き込んで仲間を増やす、人の天才だった人。世代が違うので、生きていたらどんな人だったか、動いているところを見てみたい人だと思う。ダイエーの中内氏が崩れゆくリクルートを、江副さんの思いごと引き継ぐ場面は、とても胸に込み上げるものがあった。わたしも本気で仕事しなければと、思った。
この本の中の場面描写はどれほど正確かわからないけれど、本物のように感じる、その取材力はすさまじいものだと思う。

0
2024年01月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

★きっかけ
村上信五くんと経済くんで紹介されていた(数年前)。
凄まじいストーリーだったと村上くんが言っていたので。

★感想
骨太〜〜〜
いやすごかった……

仕事で以前リクナビ使ったり担当のリクルートの人とお付き合いがあったので、そんな歴史を持つ会社だったとは…と驚き。
よく起業した人でリクルート出身て人多いよね、こういう文化の会社だったらと納得した。

うちの社長も経営者目線を持てだの創業メンタリティは大事だの言うけど、結構社長以外はポカーンとしててさ。
社長1人はそういう考えかもしれないけど、周りは全然響いてないわけさ。
そんな会社あんの?って思ってたけど、あったわ。つまり当事者意識持たせるってこういうことだよね。
自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ、を実現させてた江副さんすごいやぁ。
この本を読んで、うちの社長が言ってることと今の会社のギャップが尚更あるなーって思った。

会社の中に、人事部長がペラペラになって「リクルートの中で偉くてもしょうがなかったりして」てポスターあるの独特すぎる。笑
けど、会社の主役は一人ひとりの社員、素敵。

後半のダイエーの中内さんの話が響いて震えた。
江副さんのこと助けて、リクルートの社員に「君らはそのままでええんや!もっといかがわしくなれ!」って会社預かって…カッコ良すぎでした(泣)
そんなダイエーの末路が切なかった。。

江副さんの最期も切なかったな…

あとがきの話も良かった。
安比に江副さんの碑が作られてるのは、安比の人との繋がりを感じてじーんときた。

この言葉、私も仕事する上で大事にしたいなぁ。
「こころよき疲れなるかな 息もつかず仕事をしたる後のこの疲れ」

0
2023年04月24日

「ノンフィクション」ランキング