あらすじ
アナウンサーとして、相撲部屋の女将として、そして一人の妻、母として、河野景子が日々悩み、考えながら紡ぎだした、あなたの人生が変わる新解釈の言葉のエッセイ。言霊の国・日本に生きる全ての人々に知ってほしい、心を揺さぶられ、鍛えられる名言満載。
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Posted by ブクログ
先日トークショーに参加しました、開催場所が以前勤務していたオフィスが近かったこともあり懐かしかったです。二人のトークショーで、そのお一人が名前だけは知っていた、この本の著者である河野女史でした。
アナウンサー出身の彼女は、流石にお話が上手で楽しいひとときを過ごしました。最後に抽選で彼女の本を5名の方にプレゼントするコーナーがありました、残念ながら私は当たりませんでしたが、興味がありましたのでその本を教えてもらい読むことにしました。
私達が何気なく使っている言葉、そして使うことはあまりなく「読みなさい」と言われればなんとか読むことができる言葉には、何種類かの言葉から成り立っていたり、その言葉が構成された「謂れ」があることをこの本で知ることができました。
会社で書くレポートやメールには「大和言葉」を使うことはありませんが、日本人らしくいられるのは、その大和言葉を理解し、使えることにあるのかも知れません。私も遅まきながら、日本語について勉強してみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・「ひたむき(=直向き)」とは、挫けそうになり、時には倒れ傷つき、ダメかと思っても何度も何度も向かっていくことで、真っ直ぐにそこに向いている状態、視線だけでなく、額を向けている状態のことをいう。この「ひた」は額から来ている、額の内側にある前頭葉は、人間の意思を司る脳の器官(p23)
・コミュニケーション(理解、共有、共感、表現)とは、お互いの時間に彩りを与えること、である。厳しいことを伝える(表現)時ほど、視線・表情といった言語以外の表現が力を持つ、大事なことを伝えたいときは、あまり饒舌に語らない方がいい(p17)途中から、あえて見ない、そして最後にもう一度視線を向ける(p53)もっと心からの本音を聞きたいと思ったら、何も言わずに相手の目を見る(p54)
・何があっても自分の意見は通す、という確固たるものを持っておくと、時に揚げ足取りのような質問をされてもブレずに進める。何があっても曲げない、ブレない、それが一番の説得力になる(p57)
・「しなやか」は、しなう(しなる)から出ている言葉である、力を加え、しなわせても決して折れない、そして力が掛からなくなると、何事もなかったかのように元の状態に戻る(p60)
・気持ちを落ち着かせるためにやること、1)深呼吸、2)水を飲む、3)ストレッチ、深呼吸は、鼻から静かにゆっくりと息を吸い、おへそのあたりに空気を溜めるようなイメージでお腹を膨らませたら、静かに口から息を吐く、水を飲むのは、唾液が出にくくなると、舌の動きが硬くなるので、下を滑らかに動かすため、ストレッチは、緊張してこわばっている筋肉をほぐす(p75)
・「引く」ことは私たち日本人の中で一つの「美徳」になっている、対話をしている時も、こちらの主張をひとまず抑える、相手の気持ちを聞き出す、これも引く行為である(p92)
・江戸時代に出された「倹約令」において、庶民が着るものは、藍色・ネズミ色・茶色に限る、というものであった。そんな時に、茶色・ネズミ色のイメージを一変させたのが、歌舞伎役者たちであった、微妙に色合いの異なる茶色やネズミ色から流行色を作り、それを当時人気だった歌舞伎役者がまとって「役者色」として流行らせた(p97)
・日本のお祝い事では「終わり」「最後:という言葉が禁句である、かわりに「結びの言葉」などと言う。喜びが続いて言うようにと願いを込めて「結び=生命が生まれ、永続性がある」と表現する(p102)
・ちょうどいい、ことを「よい塩梅」と言う、塩梅とは、もともと中国の言葉で、かつて酢が無い時、塩と梅をつけたときにできる梅酢を使って料理の味つけをした。その塩と梅酢が絶妙なバランスだったことから、料理の味加減が良いことを「塩梅がいい」と言うようになった(p107)
・気持ちを切り替える時のルール、1)朝日を浴びる、2)つらい時こそ笑う、3)次に進む、次に進むまでの時間をどう使うか、「次にどうありたいか」を考え、その時にできることをする(p126)
・人生に繰り返し訪れる試練の時に対して、落ち着いて静かに立ち向かえる人とは、1)誠実な人:問題から目を逸らさずに自分の非を認める、2)心のアンテナを立てられる人:想像力と感受性が備わっている、3)様々な刺激や学びを柔軟に受け止められる人:人間の幅が広くなり困難に立ち向かっていける、4)美しくありたいと思う人:生き方・心根・言葉・立ち居振る舞い・考え方の美しさである(p128)
・怒るのは「感情的」叱るのは「論理的」叱る時には、相手に諭すような言葉を選ぶもの(p149)
・笑顔は、鏡に映るように周りに伝わっていく、その場が明るくなり奇跡のような素晴らしいことが起きる、さらに美容効果もある。表情筋と呼ばれる顔の筋肉の多くは口の周りにあり、笑顔を作ると表情が豊かになるだけでなく、表情筋の衰えを予防する効果もある、脳の血流を促し、頭をリラックスさせるので、記憶力や思考力がアップ、免疫力も上がる(p175)明るい通る声を出すには、口の開け方が重要である、特に「え」「い」でしっかりと口を横に開き、口角を上げる。これが自然な笑顔を作り安くなる(p176)
・心は、人と物、人と人の間に存在する、とある先生が説明してくれた。絵を見た時、その絵から作者の気持ちが感じ取れるし、私の気持ちも動く。つまり、絵という「物」と、私という「人」の間に、作者と私の「心」が立ち現れる(p183)
・人は自分が発した言葉に背中を押される、まさに「言霊」である、その言葉に責任を持とうと発奮するし、その言葉を耳にした周りの人も応援してくれるようになるので、ますます押されるようにその道を進むようになる(p190)
・楽しい、悲しい、嬉しい、悔しい、寂しい、といった形容詞の代わりに「心」を用いた慣用句を使うと、さらに深い情感が伝わる。心延え(=思いやり、配慮、感情)用例:心延えの素晴らしい方で。。心待ち(=期待している)、心づくし(=誰かのために気を遣う、深く気を揉む)、用例:本日は心尽くしのおもてなしをいただき。。心安い(=親しみやすい、安心)、用例:お心安くお寛ぎください、心づもり(=予め結果を予測しておく)、用例:そのように心づもりしておきます、心に沁みる(=しみじみ感じる)、心を砕く(=気を揉む)、用例:あれこれ心を砕いたが、うまくいかなかった(p193)
・人は、自分が大切にしているものをフィルターにして目の前の相手を見ている、あるいは自分に欠落していて補いたいと思うものがフィルターになることもある。いずれにしても、その人が「敏感になっているところ」で目の前の相手を見ている(p208)
2024年8月29日読破
2024年8月29日作成