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Posted by ブクログ
あなたも小部屋で物語を読み耽った日を思い出す。
子どもの頃に読んだものの再読。気に入ったお話は覚えていた。それまでに読んでいたグリムやペローの童話と少し違った着地点だったことが印象的で、その印象は今でも変わらない。しかし、今ならばもっと新しい童話が出てくるのではないかと思う。それはきっと本の小部屋でファージョンを読み耽った人が生み出すのだ。
「西ノ森」ちょっとヘタレキャラの若い王さまと、気の強い小間使いのシライナのやりとりが楽しい。思ったことが素直に出てしまった王さまの詩でくすりと笑ってしまう。とても失礼なことを言っているけれど、戦争にはならないところが、またひとつのおとぎ話。
「小さな仕立屋さん」腕の良い仕立屋のロタは若い王さまのお妃選びの仮面舞踏会に出席することになった令嬢たちのドレスを作る。令嬢にドレスの説明をするために、そのドレスを着て王家の馬車に乗る。控えの間で若い従僕と仲良くなり一緒に踊ったロタだったが——。こういうお話は王さまが従僕に変装していたというのが定石だが、従僕は従僕であった。そこがまた味わい深い。