あらすじ
知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.
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Posted by ブクログ
久しぶりにいい本に出会えた。庭の美しさと癒やし、少年の心の動きの描写が澄んだ水のようなキレイさで描かれている。翻訳がおかしいところがたくさんあるけど、そのおかしさをはるかに超える気持ちよさ、心地よさを感じながら読み続けられた。映画があることを知ったので、近い内に見てみよう。
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弟がはしかにかかり、一人で親戚のお家に預けられたトム。
おじさんのアパートで退屈しきっていたトムは
真夜中、不思議な庭に通づるドアを見つけます。
バーネットの「秘密の花園」みたいな雰囲気。
ラストは期待を裏切らない「薄々そうだとは思ってましたよー!!」
魅力あふれる庭で、トムと一緒に思いきり遊べる一冊です。
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主人公トムは、夏休みをおじさんの家で過ごします。その理由は弟ピーターが、はしかにかかったため。やむなく預けられるのです。
退屈な夏休みかと思うとそうではなく、真夜中になると、昼になかった素敵な庭園がトムの前に出現し、ハティという少女との出逢いがありました。想像の世界は広がります。自然描写にうっとりです。
自分にとっての、ハティにとっての「時」や「時間」とは何なのか。自問自答するトム。
最後にトムが、真にハティのことを理解する物語の展開、構成は素晴らしいとしか言いようがありません。謎が解けたとき、感動が溢れました。
本書の巻末に作者ピアスの文章があり、この作品の理解が深められます。
ピアスの文章、最後の一文
「私たちはみな、じぶんのなかに子どもをもっているのだ。」
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自分もトムと一緒に真夜中の庭に遊びに行っているようなそんな気持ちになりました。
スケート靴をみつけてからどんどん面白くなってきました。
ラストシーン素敵でした。
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導入部分では風景描写が延々と続き、長いなー、と思ったし、バーソロミューのおばあさんが、まあ、そうだろうと初めから考えてたが、中盤になるにつれ、物語に引き込まれた。最初は長いと感じた風景描写も全く気にならなくなり、自分がトムになったように庭園や街を散策していた。最後から考えてた結末だったにもかかわらず、それを忘れたかのよに驚き、感動したのはなんなんだろう。
作者の後書きにみんな自分の中に小さな子どもを持っていると書かれていたが、私もこの本を子どものトムとなって読んだ。とても面白かった。
Posted by ブクログ
尊敬する作家のひとりである小川洋子さんが、忘れがたい作品として挙げていた一冊。本当に素晴らしかった…!
できるならば子供の頃に読みたかったし、トムとバーソロミュー夫人の間の年代である今読んだからこそ、どちらの気持ちも感じ取れた気もする
イギリス児童文学らしく、庭園にまつわる描写や、それを愛で、共に成長する人々の暮らしの様相が手に取るように伝わってくる
そもそもが個人的にイギリス文化贔屓なこともあり、この点だけでも100点満点の読み応えだったのだけど、更に素晴らしいのが、トムやピーター、幼いハティらの子供らしい感覚を、「未熟な大人」として見下したり、過剰に幼く無知に描いたりは決してしていないこと(優れた児童文学というものは皆そうだけども)
大人が考える「子供らしさ」という型(よかれと思ってトムを教え諭そうとする叔父夫婦のやり口も、ある意味これにあてはまる)から飛び出して、トムは自由に、大胆に、勇敢に、また驚くほど冷静に、真夜中の庭で素晴らしい時を過ごす。家に残してきたピーターや、幼いハティへの思いやりの心にも溢れている
その様は、子供と大人という時のくびきから解き放たれたひとりの人間として、とても魅力的だったし、だからこそ、ラストシーンの2人の邂逅にも胸が熱くなった
人生における特別な一冊が、また増えました
Posted by ブクログ
ストンとハマった。児童文学を読み漁る結果を生んだ元凶だ。描写が生きていて、その庭が目に見えるようで、流れがいい。少しずつ読み進めても、昨日の内容を覚えている。面白さで素直な私を生んだファリパピアスの世界。別の物語も読んでみたい。
Posted by ブクログ
児童書なんだけど、おとなのほうが楽しめるかも?
めちゃめちゃ面白かった。
冒険への期待と不安、部屋からスケート靴が出てきたときの興奮!ハティとの別れを予感したときの寂しさ、再会できたときの喜びときたら!
今目の前にいるハティは、いったいいつのハティなのか?庭園の謎も深まり、ミステリー要素もあって、思わず懸命に推理するはめに。
結末は予想しやすいけど、十分泣ける。
印象に残ったシーン。
「トムは「過去」のことを考えていた。「時」がそんなにも遠くへおしやってしまった「過去」のことを考えていた。「時」はハティのこの「現在」をとらえて、それを「過去」にかえてしまった。しかしそれは、いまここで、ほんのつかのまのあいだではあるが、トムの「現在」に−トムとハティの「現在」になっている。〜」
Posted by ブクログ
物語は時間を支配している。現実と過去と、かるがる思い出さえも飛びこえてしまう軽やかさに、もうただただ最後は泣くことしかできない…やさしい…SF
Posted by ブクログ
ビクトリア女王末期に生まれたハティと20世紀のトムが真夜中の庭園で出会う不思議。お互いを幽霊と思いながら少年のトムと少女のハティは毎日庭で遊び木登りをし弓矢を作ったり機の上に秘密の小屋を造ったりする。
だが、トムの時間とハティの時の流れは同じでなくいつのまにかハティは大人の女性になっていく。自分の時間とハティの永遠を交換することでハティとの世界を留めようとするトム。過去と現在が混ざり合いそして最後に一つに繋がる再会のシーン、夢や幻想が溶け合って存在する不思議。風景描写と共にとても美しい物語でした。
Posted by ブクログ
岩波”少年”文庫だけど、やはり岩波少年文庫。
大人が読んでもしっかり楽しめる。
緻密に編まれたストーリー。
時空を超えて育つ友情。
ラストシーンはずっと胸に残る。
Posted by ブクログ
小川洋子さんの本で紹介されてて。
少年少女に自分の居場所があるということ
庭の植物たちが、生き生きと描かれてる
こんな庭、冒険の時間があるということ、人生を豊かにしてくれる
本を読んでの体験でも
緻密な構成
ファンタジーだけど、納得感あり
思いが重なって庭で出会えていたということ。
時間の概念。
外へ飛び出していくこと、、
夢中になって遊ぶこと、、
ひたむきさ
Posted by ブクログ
前半はなかなか物語に入り込めなかったが、諦めずに最後まで読んで良かった!
時を越えて同じ時を過ごす2人に秘密の抜け道や油断大敵など共通認識が生まれていく過程がたまらない。
最後まで読んでから、また初めに戻りたくなる。
トムの冒険のようでいて、ハティの人生を辿る物語なのがたまらない。
Posted by ブクログ
これは確かに名作ですね。児童文学ながらページをめくる手が止まりませんでした。
近所に住む気難しいお婆さんが昔は木登りする少女だったなんて、子供には想像もつかないことだと思います。頭では理解できても、感覚としては分からないでしょう。これは子供にかぎらずかもしれません。見知らぬお婆さんは生まれた時からお婆さんだし、さっきすれ違ったおじさんは一生おじさんのまんまの存在として、なんとなく受け流しつつ生きてませんでしょうか。でもそれが今を生きてる感覚なんだと思います。
トムは真夜中の庭でハティと友情を育みます。2人の生きている時代は違っても、2人の過ごした時間は同じです。同じ時間を子供として共に過ごしたからこそ2人は友達になれました。同じ時間を大人と子供として過ごしたら別な関係性になったでしょう。これがこの物語の魔法です。
世の中には色々な世代が同時に生きてます。赤ちゃんだったり中年だったりします。言い換えればみんな子供からはじまって老人で終わる道の上にいます。そしてそれぞれの時代にはそれぞれの世界が広がってます。トムがびっくりして魅了された庭のように。でもまったく違う人間ではないのだということをこの物語を通じて子供たちだけでなく大人たちも考えてくれたらいいなと思いました。
ちなみに物語の構成としては『思い出のマーニー』と似てますがテーマは全然ちがいました。
Posted by ブクログ
星5個じゃ足りないくらい。
読み終えるのが勿体ない、でも先を知りたい、そして読み終えてみると、また反芻したり、読み返したくなるような、本当にステキな本に出会えました。
弟がはしかにかかり、隔離するために、子どものいないおじとおばの家に預けられることになったトム。
退屈な日々を送ると思っていたところ、夜中の0時にホールの古時計が12回ではなく13回鐘を鳴らしたことを不思議に思い、階下へ、そしてもう既にないはずの裏庭への戸をくぐると、そこには広い庭が広がっていたのです。
時代をまたがる不思議な世界でハティーという少女と出会い、遊び、夜だけ楽しい時間を過ごすのですが、ハティーは会うたびに小さくなていたり大きくなったり。そのうち、弟が回復し、家に帰る時期が迫ってきます。
ラストが切ないところから一気に感動へと振り幅が大きいのです。
心が震えるくらいステキな本でした。
Posted by ブクログ
・川をスケートで下っていく話は素晴らしかった。読んでいてこれほどいい気持ちになったのはめったに無い。ビクトリア朝時代のイギリスはこんなことができるくらい寒かったんですね。
・時間と記憶。
Posted by ブクログ
少年の体験した不思議で得難いある夏休みのひととき。庭園のきらめきと少年と少女の瑞々しさ。
そして少年だけを置いて重ねていく少女の時間。
読後、胸にしんみりと残る切なさがとても良かった。トムと同じ歳の頃にこの本を読めた人たちが羨ましい。
Posted by ブクログ
文句無しの星4つ‼️
さすが 名作‼️
トムにハラハラさせられ。トムに泣かされ。
私も真夜中の庭で 散々遊ばせていただきました。
最後が良い。
Posted by ブクログ
時を超えて出会う少年少女。
ハティ少女の時代にトム少年が遊びに行く形だが、トムにとってハティの空間では何時間も遊んでいたつもりなのに、現代に戻れば数分しかたっていない。
深夜に大時計が13時の鐘を鳴らす時、裏庭に通じる扉から秘密の庭園へ行けるのだ。
思ったより意外性はなかったが、幽霊のように扉を通り抜けたり、行く度に庭園の時間が変わっていたりというファンタジー要素が面白かった。ハティが女性になっていることにトムが気付かないのも良かった。一緒に遊んだ仲であれば、成長なぞ関係ないというのが素敵。どの大人にも少年少女時代があり、トムのようにアクセスできたら面白いのに。
↓ネタバレ
弟が麻疹に罹り、隔離のため叔父叔母の家へやってきてハティと出会う裏庭への扉を見つけたのだが、その麻疹も治り、夏休みも終わろうとしていて帰らなければいけない時が来る。庭園でどれだけ遊ぼうと現代では大した時間にはならないのだから両立できるはずだと考え、時を永遠にしようと試みるトム。
弟には庭園の秘密を手紙で毎日伝えており、弟は庭園に行ってみたくてたまらず、遂に夢から少し参加するが、ハティは少女ではなく女性だと指摘する。トムが気付かぬうちに、回を重ねる毎にハティは成長していた。
トムは最終日、いつも通り扉を出たはずが現代のままだった。ショックで大声を出し、アパートの住民を起こしてしまう。翌日、謝罪に少年を寄越して欲しいという婆さんの元へ行くと、その婆さんこそが現代のハティだった。庭園はハティが毎晩みていた夢の中であり、最終日に庭園へ入れなかったのは、その日は婚約後の夢をみていて庭園で遊ぶ少女時代の夢ではなかったからだった。
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きょうだいのピーターのはしかがうつらないよう、おじおばの住むアパートで休暇を過ごすことになってしまったトム、そこは一軒の邸宅を区切ってアパートにしたものだったが、一階には、時間は正確だが鳴らす音の数がでたらめという大時計があった。
特にすることもなく退屈しきりだったトムが、夜眠れずに時計の鳴る音を1時、2時……11時、12時と数えていたら、時計は13時を打った。おかしいと思ったトムは、一階のホールに降りて時計を確認しようとするが暗くて見えない、そこで月明かりを入れようと裏口のドアを開けると、そこには広い芝生、花壇、温室、1本のモミの木や何本かのイチイの木があった。そこを見たいと昼間にそのドアを開けてみると、そこは狭い空地で、ゴミ箱や自動車があるだけだった。これは一体どういうことかと不思議に思ったトムだったが、夜になってドアを開けると、そこにはやはり庭園があった。
毎晩のようにこっそりと庭園に行くトムは、そこで園丁や三人の兄弟らしい少年たち、そして一人の女の子の姿を見かけるが、あるとき少女と知り合いになる。ほかの人間にはトムの姿は見えないが、ハティというその少女にはトムが見えるらしい。こうして友達になったトムとハティは、いろいろな遊びをし、いろいろな話をする。
庭園に行くと、朝だったり昼だったり、季節も変わったりと、時間が順序良く進んでいるのではないことに気づいたトムは、「時」とは何だろうと考えるが、答えはなかなか分からない。そうしているうちにハティとの関係も少しずつ変わってくる。そしてトムが家に帰らなければならないときも近付いてきた、果たしてどうなるのか、というお話。
「時間」というそれこそ哲学的な問題を取り扱っているが、ストーリーの中で自然に考えさせられるようになっており、読み進める上で変に煩わされるものではない。そして何といっても、庭園を始め自然や風景の描写が美しく、あたかもその場に居て二人と同じものを見ているような気にさせてくれる作者の筆は素晴らしい。(祖父の代から住んでいた実際の家と庭園がモデルとのこと)
児童小説のジャンルに入るのでしょうが、大人が読んでも読み応えがありますし、ラストではジーンとしてしまいました。誰もが持っていた子どものときの心に、改めて思いを馳せました。
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フィリパ・ピアス(1920~2006年)は、英国ケンブリッジ州の村に生まれ、ケンブリッジ大学ガートン・カレッジ卒、BBCでラジオの教育番組の制作に携わった後、児童文学の執筆を始め、1958年に発表した本作品でカーネギー賞を受賞した。
本作品は、英国の児童文学の代表作に数えられると同時に、「時」をテーマにした小説の古典とも言われ、英国ではTVドラマ化や映画化もされている。
私は50を過ぎたシニア世代だが、若い頃に読んだ『モモ』が大変好きで、同じように「時」を扱った(児童)文学の古典といわれる本作品はいつか読みたいと思っており、今般新古書店で偶々目にして手に取った。
あらすじは、おじ・おば夫婦の住むアパートに預けられた少年トムが、毎晩真夜中に家を抜け出し、実際には存在しないはずの庭で少女ハティと遊ぶようになるが、トムは徐々に、その庭で流れている時間の時代、速さ、順序が異なることに気づいていく、というもの。
前半のトムがハティと庭で遊ぶ部分については、ピアスが生まれ育った家の、古いイチイの木が芝生の周囲をとりまいていた広い庭園をモデルにしたという描写が素晴らしく、また、トムとハティのやりとりも楽しい。
しかし、本作品の白眉は、間違いなく後半の展開と最後の驚きにあり、その、子供にとっての時間と、大人にとっての子供の頃の時間が、ある時クロスオーバーするというアイデアは、大人(それも、よりシニアな世代)にとっての方が感じるものが多く、惹かれるのではないかと思う。
有名な児童文学作品でありながら、大人が読んでも楽しめる名作である。
(2023年4月了)
Posted by ブクログ
最初は何を言っているのか全然わからなかった。でもだんだん時のつながりが見えてきてドラ○もんを読んでいるような感覚で読めたからとても面白く、どんどん進めた。最後のところが特に印象的でまさか現代で2人が再開するとは思わなかった
Posted by ブクログ
児童文学でありながら大人も楽しめる素晴らしい作品。不思議でたのしいファンタジーとして読みつつも、トムの時間軸とハティの時間軸を考えるとあたまの中がこんがらがる。毎晩寝る前に布団の中で少しずつ読み進めると、トムの真夜中の冒険に一緒に行ってるみたいだった。最後はちょっと泣けてしまった。
Posted by ブクログ
風景や庭園の描写は好きだったものの、主人公が男の子だからか?あまり引っかかる部分がなく…。かつて少女だったおばあさんの夢・時間と少年の時間が重なって起きた一夏の奇跡。
私たちは自分の中に子どもを持っているという作者の言葉が良い。
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小川洋子さんと平松洋子さんの対談「洋子さんの本棚」でお二人が子ど時代に読んだ本として挙げていた本。
読んだことが無いかったので、手を出してみる。
最初の数ページで、一旦断念。文体が合わない。1975年第1冊発行。
考えてみれば、僕も子供時分はこういう文章を読んでいたんだろうな。気を取り直して、再挑戦。
今だったら、もっと子供の気を惹くような書き方をするだろうなとか、少々納得できない箇所があったり、多分こういうオチだろうと予想した部分もあった。
子どもの時に読んだら、きっと違った感じ方をしたんだろうな。
Posted by ブクログ
超メジャーで、読んでいて当然の一冊であるが、これまで手に取る機会がなかった。やっぱり読むべき時というものがある作品かと思う。その時に出会わなかったのが惜しまれる。描写は素晴らしいと思うし、トムの気持ちも分かることは分かるのだが、やはり当事者目線ではなく、どこか第三者の目線になってしまう。
Posted by ブクログ
世界観が素敵で綺麗な情景が浮かぶようでした。一部分かりづらい描写もありましたが、それも含めて「時間」というものを感じられる内容で良かったです。大人が読むのにもおすすめな本だと思います。
Posted by ブクログ
全体を見渡したとき、非常に整然と作られていることがわかる児童文学。
ハティとトムの間にあったのは友情か
互いにしか見えない間柄ゆえの密度の濃い関係か
そこに初恋の芽生えもあったのか、その辺りがエンディングに、温かい色味を添えている。