あらすじ
切ない恋とささやかな嘘は大事件のスイッチ!?
日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞
Wノミネートの気鋭が描く、伏線だらけの恋物語!
「あなたとはお付き合いできません―わたし実は、魔法使いだから」告白を断るため、魔法使いだと嘘をついてしまった女子高生。しかし彼は、人間界と魔法界を超える愛を誓ってくれてしまい……?
フリたい私とめげない彼。恋と嘘とが絡みあい、やがて大きな渦となる!
ささやかで切実な恋物語は、大事件の予兆だった。ぐるぐる回る、伏線だらけの恋物語!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
テンポよい展開と会話でサクサク読める。
他の浅倉作品と比べるとシリアスさはなくて
ラノベっぽい感じで、ふふって笑ってしまうところもあった。
重めの小説の間に読みたい感じ。
普段本を読まない人にもおすすめ!
Posted by ブクログ
はじめは軽いノリのコメディ感覚で読み進めてましたが、話が進行するにつれ、絡み合い最終章で伏線の回収。
全編通して爆笑、自宅で読んでいて良かったです。
笑いの中にも、サラリーマンの哀愁や、恋愛話ありで読み応えも十分ありました。
短編としても、小学生の話では最後の台詞が秀逸。全く悪意は感じないのですが、大爆笑。ブラックなユーモアが最高でした。
浅倉秋成さんの他作品を読んで、今回こちらを読みましたがギャップが大きく振り幅を感じました。すごい!
共通する部分があるのかもしれませんが、もっと読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
6つの短編がちょっとずつ繋がっていって、ラストでパタパタっと繋がりまくる展開は、多角形の頂点を線で結んでいって、最後にすべての対角線を一気に結ぶみたいなイメージ。さらに、時々出てくる脱力肩透かし系の会話も含め、初期のころの東川篤哉さんの作品群を連想した。第1~5話までを少し忘れかけれている状態での第6話だったのだけれど、第6話のあともう一回最初から読み直したら、より楽しめるかも。タイトルは初出時の『失恋覚悟のラウンドアバウト』のままの方が作品内容に合っていなのではないかと思う。シリーズ化希望。
Posted by ブクログ
オムニバス形式で5人の人物視点で物語が進み、最終章で一気にそれまでの伏線が回収される。
作者が得意としている伏線回収が本作でも存分に発揮されていた。
作者の他の作品に比べて超能力いった要素がなくスッキリと読みやすかった。
もちろん他の作品もおすすめです。
Posted by ブクログ
星4.5
コメディタッチの恋愛短編の連作
純粋な恋愛小説を期待している人は、
手を取らない方がよいかも
同じ街での、ほぼ同時進行での話が
最後に全てが繋がり面白かったですよ
Posted by ブクログ
『アンジャッシュさんのコントに近いコミカルな作品』
日の下町を舞台に住民たちが繰り広げるドタバタ恋愛コメディ。5章までは各々の登場人物たちのストーリーが同時進行し、最終章でパズルのようにピタッとハマる。…いやラウンドアバウトのようにぐるぐる回って落ち着くところに落ち着くコミカルな作品。
いろいろツッコミどころは多いものの、建物が封鎖されたり、物が入れ替わったりといった突拍子もないことが起こるフラグがしっかりと施されており、ストーリー間の掛け違いが相互に作用して好循環を生み出す仕掛けがアンジャッシュさんのコントのようです。
『失恋覚悟のラウンドアバウト』というタイトルから改題して文庫化された作品であり、作中にもラウンドアバウトというワードが頻出します。よってラウンドアバウト(環状交差点)がピンとこない方は、どんなものか調べてから読むとイメージがつかみやすいと思います。日本では珍しいので…。
本作はユーモアたっぷりのコメディタッチに描かれていますが、『六人の嘘つきな大学生』のようにシリアスなミステリーまで描ける非常に幅の広い浅倉先生。作風は違えど、さんざん伏線を撒き散らせて最後は丁寧に回収するといった構成は、さすが本格ミステリー作家です。
Posted by ブクログ
コミカルな世界観とキャラクター、そして突飛な言い回しの数々と読みながら自然と笑ってしまうほど面白かったです。最終話で伏線が全て回収されるところもさすがという感じ。笑えて痛快、でも良い話、そんな物語でした。
『六人の嘘つきな大学生』や『教室が、ひとりになるまで』とはまた違った面白さがありました。
Posted by ブクログ
2022/2/12
初めましての作者さん。
1つの町の恋模様連作。
時々思わず吹き出すような表現があって楽しい。同時多発ルパン。
「心に残る」とか「感動の」とかの冠と縁遠いとこがいい。
異常にモテる彼のキャラクターが好き。
嫌われるためにスパイシーな香り塗ってるとか笑った。
Posted by ブクログ
1話目をを読みながら、魔法使いだなんて何て人を小馬鹿にしたような軽薄な文章だろうと思った。
2話以降、あ、短編全部がこんな風に繋がっていくんだと思い、『同時多発ルパン』のくだりでゲラゲラ笑いの涙腺崩壊!
痛快でものすごく面白く、最後に全部のパズルのピースがカチリとハマる。爽快!
Posted by ブクログ
世界観は謎だったけど見事な伏線回収!読んでて楽しかったしスイスイ読めた。色んな人の人生が一つの街で絡み合う系、めちゃめちゃすきです非現実的すぎてくだらなく思える人もいるかもしれないけど、こんな現実に飽き飽きしてきた頃にはちょうどいいと思うよこういうフィクションが!
Posted by ブクログ
1つの世界観、1つの時間軸足、そこに複数の視点と登場人物、これらの1つ1つのストーリーがすべて伏線になって絡み合って紡ぎだされるストーブラインが絶妙でした。
Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった。
一つの街を舞台に、細かく絡み合った複数の事件が併発。視点を様々な人物に分けて描画。
ある意味伏線祭りなような、回収祭りなような、それでいて結構コミカルな書きっぷりで非常に読みやすい。
Posted by ブクログ
浅倉秋成さんの作品でタイトルが面白そうだったから読んでみました……浅倉さんの作品にしては軽い感じでちょっとビックリしましたが序盤からの伏線が終盤に回収されていくのはさすがだと思いました
Posted by ブクログ
〇 総合評価 ★★★☆☆
〇 サプライズ ★★★☆☆
〇 熱中度 ★★★☆☆
〇 インパクト ★★☆☆☆
〇 キャラクター★★★★☆
〇 読後感 ★★★★☆
● 感想
最近のお気に入りの作家、朝倉秋成の2015年の作品。「伏線だらけの作品」とあるが、「伏線」というよりは、コントのフリのような感じ。全般を通じて、コントのネタのようなコメディ作品
やんわりとしたつながりのある5つの作品が、最後の作品で収束する。
第1話「上京間近のウィッチクラフト」だけ、漆原博士も発明品も登場せず、ちょっと雰囲気が違う。割と正統派の「勘違いモノ」のコメディという印象。これ以外は、すべて漆原博士の発明品をベースとしており、より荒唐無稽感が増している。
梅子と佳奈ぶんのキャラもちょっとかぶっているようにも感じられ、1話目の印象の違いが際立つ。
日野、梅子、五十嵐先生、芙蓉、折尾と、キャラクターはいずれも魅力的ではある。
コメディとしては、ちょっと面白い言い回しやセリフはぽつぽつあり、設定の面白さで勝負しているが、どの作品もオチが弱く感じる。オチで勝負するタイプのコメディではないのだが、ちょっとインパクトには欠ける。
漆原博士の発明品が万能すぎるので、どんな話、どんな展開でもあり。複数の話で、きちんと後半の作品へのフリを示しており、よくできていると感じる場面もあるが、所詮はコメディ。そこまで計算されているようでもない。多少の無理は漆原博士の発明品でごまかしている。
細かい言い回しが感性に合うので、嫌いな作品ではない。好きな作家の作品で、面白いとは感じるが、傑作といえるようなデキでもない。★3かな。
● 上京間近のウィッチクラフト
ウィッチクラフトとは魔術。好みの男性から告白された「まっちょ」というあだ名の満作千代子は、大学進学とともに遠距離恋愛となり、失恋につながることを避けるため、告白を断る口実を考える。
考えた理由が「魔法使いで、魔法界に帰る」というもの。告白した、ちょっと抜けている好青年・日輪賢二はそのことを信じるという話。
全体的に、ちょっとした笑いを盛り込んでいる。
「まっちょ」の友人である「佳奈ぶん」のツッコミにあるように、「こんな話を信じる?」という理由で別れを受け入れる日輪が、次の作品の主人公になる。ちょっとした伏線もあるが、単にちょっとした笑いを盛り込んだ、たわいもない話である。笑い部分の感性が個人的には嫌いではないが、合わない人には合わないかも。★3ギリギリ。
「魔法特有のぬるぬるした手ざわり」
「脱会リンチ!?」
● 真偽不明のフラーテーション
フラーテーションとは、相手を褒めていい気分にさせること。1話で満作に告白した日輪が主人公。おかしな発明品で物語全体を混乱させる発明家・漆原博士が登場。ここで3体のロボットを作ったことが、あとの作品の伏線にもなっている。
このロボット作りに、日輪が中学時代の同級生「梅子」を博士に紹介していた。これも伏線になる。
日輪は、博士から2つのウソ発見器、人形型ウソ発見器の小百合と、ウソの解明まで時間がかかるが、より高性能のウソ発見器をもらう。
ウソ発見器を利用して、千鳥翔子と菊池正の喧嘩の仲裁を図る。菊池は浮気をしていたのか。西ヶ谷高校始まって以来の伝説のビッチ「娼婦むくげ」こと槿紗也加も登場し、混沌とするが、小百合の力と菊池の推理で、実は浮気をしていたのではなく、翔子の方から別れようと策を練っていたことが分かる。それは、バイト先のファミレスで一目惚れをしたから。その一目惚れをした相手が次の話の主人公
この作品自体は、小百合のウソのあばき方をベースとしたちょっとした論理パズル的な話。★3ギリギリといったところ。
● 不可抗力のレディキラー
とにかく尋常じゃないくらいモテる転校生・蕗俊太郎が主人公。漆原博士によると、普通の人の120倍ものテストステロンが出ているとのこと。そしてそれは、拳銃型の機器を利用すれば解消できる。
梅子は、漆原博士から、セグウェイではなく、セグウェイに似た暴走用機器「ゼグヴェイ」をもらう。このゼグヴェイも、この話と後の話で再び出てくる。
さらに日野下2大ビッチの片割れ、チューベローズ貴婦人こと月下香優里が登場。ラブホテル街をまるまる借り切る。このエピソードは2話で、千鳥・槿の計画が失敗した原因として出てきていた。
梅子は、蕗俊太郎を月下香優里から救い出し、無事「モテない」体にする。蕗俊太郎は、無事モテない男になり、友人たちを作る。そして、梅子をトゥルマリナキャットが展示されている美術館に誘う。
モテすぎる男にまつわるコメディ。漆原博士さえいれば何でもありという展開はどうかと思う。昭和の漫画といった印象で、★2~★3のデキといったところ。
● 寡黙少女のオフェンスレポート
盗癖のある惚けた女の子・芙蓉さんと、芙蓉さんをかばう不幸な男子・折尾くんの話。芙蓉さんのボケぶりと、折尾くんの不幸さは、なんともいえない面白さを醸し出す。
自身の保身と事なかれ主義に徹する五十嵐先生のキャラクターも良く、コメディとしてのレベルは短編集随一
芙蓉さんの名前が富士子だったから、折尾くんのあだ名がルパンになったり、芙蓉に服を盗まれ、コートにパンツという格好だったことから「とっつぁん」というあだ名になるとか、小ネタもなかなか面白い。
3つの盗みの容疑を、国語の本は習い事に持って行っていた、ハムスターは心優しい生徒が持ち帰っていた、女子の体操服は別の変態小学生が盗んでいた、という見事な推理で解決するが、服を盗まれていて……。自宅謹慎になった芙蓉さんは、折尾くんが見たかった60億の美術品・トゥルマリナキャットを盗んでいた?
60億の美術品を盗んだと思わせて終わるオチは、この後の話につながる。芙蓉さん、折尾くん、そして五十嵐先生のキャラクター、とぼけた展開と、この短編集の中では白眉のデキだろう。★4
● 勤勉社員のアウトレイジ
ブラック企業・田中マヨネーズに勤める薮田真澄の話。会社を辞めるために機密書類を廃棄すると、直後に国税局の査察が入り、救世主扱いで主任に出世
気に食わない上司にラリアットをすると、その上司は労働時間の改善を進言していたということで、これも超ブラック幹部に気に入られ出世
一般人にラリアットをかますと、それが痴漢でこちらも表彰。漆原が作ったロボット・奈々子と知り合い、奈々子が田中マヨネーズの取引先のアメリカのCEOの接待でSMの女王様に扮して騒ぎを起こすも、これも逆効果
最後は、奈々子に惚れ、会社で頑張っていこうと思うところで終わる。
会社を辞めようとして起こした不祥事がことごとく裏目というのは、落語なんかでもありそうなベタな展開。文体や雰囲気と相まって、そこそこは面白いが。★3で。
● 失恋覚悟のラウンドアバウト
これまでの登場人物が入り乱れる。第4話の五十嵐先生、折尾くん、芙蓉さんの学校に、第5話の薮田の同僚が婚約指輪を失い、振られたとして自暴自棄となって立てこもり。
第2話で漆原博士のもとに来ていた警察。彼らは戦隊ヒーローとして活動している警察官。日野下町には、トレインジャック事件も発生している。トレインジャック事件の班には、第2話に出てきた千鳥
この戦隊のピンクは、第5話で薮田を助けたロボットの奈々子。奈々子は、小学校の事件を解決するために小学校へ。
奈々子と一緒に小学校に来た薮田は諏訪部を説得するが、諏訪部はプロポーズに使うはずだった指輪が拳銃にすり替わっており(芙蓉の仕業)、諏訪部が撃った銃で奈々子は倒れる。
戦隊のリーダー・ヴァイオレットは、漆原が作ったフェロモンを出す体を直す(出すようにする)銃で諏訪部を撃ち、恋に落ちる。
スピード機能が大破した奈々子は、ラウンドアバウトにある「ザ・セントラルダイニング」を大破させる。
奈々子はトレインジャックを止めるが、身体は大破。ただし、クラウドサービスで脳に当たる機械は存在するので、修復可能
奈々子は自分の性格の基盤となった女性「梅子」の存在を薮田に伝える。
芙蓉が持っていたトゥルマリナキャットはレプリカ。芙蓉は盗みをせず、レプリカを買っていた。芙蓉は、折尾を他人と思っておらず、この二人はいい感じ。
梅子は蕗俊太郎とデート。千鳥からの電話でトレインジャックの存在を知り、ゼグヴェイを「ヘブン」のスピードで向かう。ラウンドアバウトで、すでに奈々子が破壊していた「ザ・セントラルダイニング」にとどめを刺す。
千鳥は蕗俊太郎を見て絶望の声を上げる。ここで、梅子と薮田が出会い、梅子は薮田と蕗俊太郎の二人に惚れられるという展開
日輪は、満作の魔法界に旅立つというウソを暴くが、日野のことが好きという点にウソがないことを知る。諏訪部のダイヤがなぜか日野のポケットにあり(芙蓉の仕業)、恋愛が成立。遠距離恋愛に。
菊池と千鳥も縁を戻す。予約している「ザ・セントラルダイニング」に行く。ん?「ザ・セントラルダイニング」?
Posted by ブクログ
引き続き浅倉先生シリーズ。
冒頭なんだこれ!?!?ってなったけど、めっちゃサクッと読めたし、色々なエピソードの人物が繋がっていくのはおもしろかった。
サラリーマンの章めっちゃ笑った
Posted by ブクログ
恋愛ファンタジー&コメディでした。章立てされていますが、それぞれの章が上手く絡み合っています。個人的には、モテ男の話が面白かったです。「全員に肯定されるのは、全員に否定されるのと同じ」確かにそうかもしれないなと。ただ、物語全体の世界観は自分には少し合いませんでした…。
Posted by ブクログ
この本、なんで読んでみようと思ったんだっけなぁ。
ひとつの町を舞台にして色々な男女の恋模様が描かれるのだけど、何とも突飛なテイストでギャグ(?)にもあまり面白味を感じず、ただ登場人物は誰もが憎めないキャラだし話のタッチもライトでスイスイ読めたので、電車に乗ってる間の読み物としてはまあいいかといった心持ちで5話まで読み進む。
第6話までたどり着けば、そこまで微妙にリンクしていることを思わせた5つの話が縦横に結びついて、そこまでに蒔かれたネタがうまい具合に活きてくる。
なかなか面白い作りで最後はまずまず満足して読み終えたのだが、そこに行き着くまで、特に最初のほうが、おじさんの私には結構しんどかったのだった。