【感想・ネタバレ】「国境なき医師団」を見に行くのレビュー

あらすじ

生きることは難しい。けれど人間には仲間がいる。――大地震の傷跡が残るハイチで、中東・アフリカから難民が集まるギリシャの島で、フィリピンのスラムで、南スーダンからの難民が100万人を超えたウガンダの国境地帯で。作家・いとうせいこうが「国境なき医師団」の活動に同行し、世界のリアルな現場を訪ねて描いた傑作ルポルタージュ。日本の小説家がとらえた、「世界の今」と「人間の希望」とは?


生きることは難しい。けれど人間には仲間がいる。――大地震の傷跡が残るハイチで、中東・アフリカから難民が集まるギリシャの難民キャンプで、フィリピンのスラムで、南スーダンからの難民が100万人を超えたウガンダの国境地帯で。作家・いとうせいこうが「国境なき医師団」の活動に同行し、世界のリアルな現場を訪ねて描いた傑作ルポルタージュ。日本の小説家がとらえた「世界の今」と「人間の希望」とは?

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Posted by ブクログ

ルポルタージュというものを初めて読みました。
国境なき医師団、存在は知っていたけれど、何をしているかは知らない。
そんな方に読んでいただきたいなとおもった。
そして、作中に出てくる
「彼らは俺だ」
「明日俺が彼らのようになっても不思議ではないのだ」
この言葉に、ドキっとした。

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2026年06月20日

Posted by ブクログ

NPO団体「国境なき医師団(MFS)」の活動を丹念に取材して書かれたルポルタージュです。

この本の特徴は二つほどあり、一つは難民や貧困の悲惨さがストレートに出ているところにあります。

紛争により住んでいた土地を離れざるを得なかった「難民の方々」。彼らの置かれた悲惨な状況がこれでもか、これでもかと伝わってきます。それは今の日本では到底想像できないことですが、それは明日の私かもしれないし、あなたかもしれない。

その中でも希望を持ち、心優しい姿は胸を打つものがあります。

もう一つは、出てくる登場人物やMFSの周りの人々がとても魅力的に描かれている、ということです。

・60歳を超えて社会に貢献したいと思った電気技師。
・「人のためになりたい」と思う夫を亡くした難民の女性。
・夢を語るMFS責任者。

使命感や共感により、目標や夢に向かって生き生きと活動する様は、できれば自分も関わりたい、と思うほどで魅かれるのでした。

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この本は400ページ以上ありますが、「言葉を紡ぎ出す」というのはこういうことか、と思えるほど印象に残る言葉が多く、先へ先へと読ませる力を持っています。

読むと元気が出る、自分も何かしよう、自分の立っている位置で社会に貢献しようという気になる、そんな本でした。

続編があるとのことですので、こちらも近いうちに読みたいと思います。

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2024年12月29日

Posted by ブクログ

読み終わるまで1年以上かかった。
何年もMSFは支援し続けているので、その広報誌でこの本のことは知っていた。ルポルタージュではあるけど、ちょっとだけ不思議なエピソードを挟んでいる。それでも読み進めるのに時間がかかった。
著者が訪れたのは、地震の後に治安悪化したハイチ、フィリピンは国自体は発展途上ではあるが首都に残る大きなスラムの貧困、アフリカと中東から溢れるゴムボートでギリシア目指して渡ってくる難民たち、南スーダンの紛争でウガンダに押し寄せる難民…
難民の人々は、彼らは人生のある時までは私たちと普通に暮らしていたのだ。仕事をし、家事をして、子どもを育て、農作業をして…それが、戦争という個人ではどうにもできないことで破壊され、難民の女性は何と10人に7人がレイプされているという。だから、国境なき医師団は外傷や内科の治療だけでなく、精神的なケアも担う。いとうせいこうさんが男性だから取材できた場所もあるだろうけれど、女性が取材するべき話題の場所も多くあったのではないかと感じた。それでも、とにかくこのような取材をして本を書ける人はそうそう居ないのだから、著者の努力は凄い。(ちゃんと本を書けるというのは特殊技能だと私は思ってる。)女性目線のは、看護師の白川さんの本でどうぞ。
国境なき医師団はノーベル賞を受けて有名になったけれど、医師と看護師だけでなくコーディネーターやロジスティシャンや現地ドライバーや現地通訳、文化的仲介者、とたくさんの職種の人々が関わっていることはさほど知られていない。いとうせいこうさんの1日を通して、読者も各国のMSFの活動を疑似体験てきる本だといえる。

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2026年06月12日

Posted by ブクログ

人生、生きる、って人それぞれいいんだと思ったし、それぞれの環境、状況によっては基本的な人権や安全さえままならない人たちもとんでもなくいて。
過去の歴史から積み重なったものが現在に繋がっているわけだけど、後進国のアフリカはなぜずっと後進国のままなのか。社会を変えるようなリーダーが継続して出て来ない理由はどうしてなのかと思った。

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2026年04月01日

Posted by ブクログ

こうしちゃいられん、何かしなければ
という気持ちに駆られる。
身の毛のよだつような 鳥肌に立つような 経験をしてきている難民の方々。
座ってる場合ではない。私に何かできないか。
寄付もしなくちゃ。
そして知らなければ。
そんなふうに思った。

あともう一つ忘れたくないのでここに書いておくのだけど、日本の緊急医療の中でメンタルケアが軽視されているという記述について。

日本では物理的な怪我の治療 病気の治療以外にその患者やその医療に携わったスタッフのメンタルのケ、PTSD に対する治療や、その予防に関して軽んじられているという記述。この本が書かれたのは10年近く前だけど、その常識は今もほとんど変わってないことに愕然とする。

国際的には、人間が弱いものであるということ、ケアが必要で、メンタルダメージに対しての予防が必要であるということを常識とされているのに、日本では根性論や精神論が大切とされてきた文化があるからなのか、そのケアを二の次にして済ませようとしていること。

愕然としてしまう。

ものすごく遅れているんだ。

それさえ、私はこの本を読むまで全く気付いていなかったのだもの。
怖い。

俺は彼らで彼らは俺。
私が難民にならなかったのは、ただの偶然。

そう思うと、助けずにはいられない。
何故って、
国を追われ、戦闘に巻き込まれ、家族を殺され、水がなかったり、ケガをしたり。
そんな難民の方々の苦しみは、自分のものだったかもしれないのだ。

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2026年06月04日

Posted by ブクログ

いとうせいこう(1961年~)氏は、早大法学部卒、ラッパー、タレント、小説家、作詞家等として幅広く活動するマルチ・クリエイター。『ボタニカル・ライフ 植物生活』で講談社エッセイ賞(1999年)、『想像ラジオ』で野間文芸新人賞(2013年)を受賞。近畿大学国際人文科学研究所客員教授。
著者は、2016年から、「国境なき医師団」の取材をライフワークの一つとしており、これまで、ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダの現地取材を記した『「国境なき医師団」を見に行く』(2017年出版、2020年文庫化)、「国境なき医師団」の組織と日本人のメンバーへのインタビュー、及び前著の4ヶ国に南スーダンを加えた現地ルポをコンパクトにまとめた『「国境なき医師団」になろう!』(2019年出版)、パレスチナとヨルダンの現地取材を記した『ガザ、西岸地区、アンマン「国境なき医師団」を見に行く』(2021年出版)の3冊を出している。
私は従前より、国際紛争や内戦、難民問題、貧困問題等に強い関心を持っており、これまで、(フォト)ジャーナリストや専門家が書いた多数の本を読んできた。著者の本も、2冊目の『~なろう!』を既に読んでいるが、本書は偶々新古書店で目にして購入した。
本書の初出は、取材の度に「Yahoo!ニュース」に掲載(不定期)されたもので、その内容は、『~なろう!』の約半分を割いた現地ルポと少なからず重複する。
個人的には、現場の状況や問題の深刻さに比して、著者の取材時のスタンス・言動、及び本書における表現のノリの軽さが少々引っ掛かるのだが、こうした問題を、「Yahoo!ニュース」のような媒体を使って、普段あまり関心を持たない層に読んでもらうためには、それなりに有効なのかも知れない。
そのような中で、最も気に留まったのは、ギリシャで、中東から逃れてきた難民のためのキャンプを取材した件に出て来た、「たまたま彼らだった私」と「たまたま私だった彼ら」という言葉である。これは、今は、平和な先進国(日本を含む)に生まれた私と、紛争の絶えない国に生まれた彼らではあるのだが、これは正に「たまたま」なのであり、それが逆であってもおかしくなかったということである。そうした想像力を持てることこそが重要なのであり、持ちさえすれば、その瞬間に、我々の考え方も行動の仕方も変わらざるを得ないということだ。
世界の紛争地域・貧困地域で(主に医療に関わる視点から)どのようなことが起こっているのかを、まずは知りたいという向きにはお奨めの一冊かも知れない。
(2024年1月了)

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2024年01月16日

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