あらすじ
気がつくと昭和から令和へと元号も変わり(なんと平成という時代もあった!?)、38年も経っていたうえに、自分は幽霊になっていた。どうやら何者かに殺害されて、ここに埋められたらしいが、いったいなぜ? トリッキーな謎解きで魅了する「ひとを殺さば穴ふたつ」。高校生が廃屋になった旧校舎からの覗きを端に巻き込まれた不思議な事件を描く表題作「偶然にして最悪の邂逅」など、過去と現在が交差しながら、怒濤の展開へと突き進む、“日常の中の非日常”を魅惑的な筆致で贈る全5編。デビュー25周年を迎えた著者の、記念すべきミステリ短編集。【収録作】「ひとを殺さば穴ふたつ」/「リブート・ゼロ」/「ひとり相撲」/「間女の隠れ処」/「偶然にして最悪の邂逅」
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Posted by ブクログ
単発ものの西澤作品の登場人物は読み進めるのがきついくらい好感が持てない場合が多いのだけど(軽犯罪者だったり性欲がすごかったりそもそも自分が犯人だったりするし)、短編ならまあまあ耐えられる。短編だと冗長な会話もエロも控えめになる傾向があるし。控えめだとは言ってない。それぞれにオチでおっ、となったので☆4つ。
「ひとを殺さば穴ふたつ」
殺人未遂使い込み盗撮犯とえろじじいの愉快な推理合戦。みんな死ぬ&犯人自首でオチがすっきりしているのはいい。
「リブート・ゼロ」
不倫レズ3Pはどうでもいいしそこの描写もいらない。娘さんがただただ気の毒。
「ひとり相撲」
怪奇小説じみていて良かった。個人的には一番面白かった。ただミステリとしてはどうなんだろうな。
「間女の隠れ処」
小説内小説のある話。それによると無駄なエロが多いのは自覚的だったのか。自覚してるからと言ってやっていいわけじゃないし面白いわけでもないのだけど。無駄に複雑な登場人物の名前についてはどう思ってるんだろう。ミスリードのミスリードのつもりなのかな。この話自体のオチは一応いい話っぽい。ただ、香代さんはとっとと主人公を見限ってどこか別のところで平和に暮らしていてほしい。というか長年一緒にいて結婚を求めてないのだから香代さんだって今更求婚されても迷惑なのではないだろうか。そもそも誰がかつて父親と相思相愛だった、そして自分の産みの母親を殺した父親に協力して死体を隠匿した、そんな人間と結婚したいものか。主人公も友人たちもそこは伏せて…ということなら余りに無責任すぎるし香代さんをばかにしている。或いは香代さんはすべて知っていて復讐の機会をうかがっているのかもしれないが。
「偶然にして最悪の邂逅」
一生懸命考えたんだろうなあ…。どんでん返しの連続で面白い、というよりはまだ続くのか疲れるわ、という。大オチも一瞬面白かったけどいやひねりたいにしても無理があるだろ…と冷めてしまった。ていうか誰かに成り代わりたい、記憶を改竄してしまいたい、という要素がこの話にも「ひとり相撲」にもあったのでまたかよと思ってしまった。「ひとり相撲」の方が短くて切れ味良かったし。事件の真相ターンまでは面白かった。記念の刊行だし最後の話はなんかこねくり回したくなってしまったんだろうか。引き算って大事だなと思った。