【感想・ネタバレ】今日もふたり、スキップで~結婚って“なんかいい”のレビュー

あらすじ

くるり 岸田繁氏推薦! !

結婚して、まる3年。夫婦、ふたり暮らしのサイコーにハッピーな日常!

食べさせたいのはきれいに焼けたほうのハンバーグ、ついでにもうひとつ淹れるドリップコーヒー、
眠れなくて深夜に誘う近所の散歩、コンビニにアイスを買いにいく本気のじゃんけん、
シャンプーを詰め替えるタイミングの攻防戦、寝ているときに手を伸ばせばすぐに届く温度、
愛する人との暮らしの中でふいに生まれる感情、ほんの些細なことのはずなのになんだか大きく感じる幸せ。
楽しい、楽しすぎる、楽しくってしょうがないぜ、結婚生活!

本書では、大和書房HPでの連載12本に加え、15本の書き下ろし原稿を収録。
エッセイをもとに書き下ろした、ここでしか読めない漫画も5本掲載!
夫婦の仲良しエピソードから、義理の両親との関係、お金のつかい方、
家事分担、夫婦円満生活の根底にある「考え方」まで。
エッセイ、漫画の両方で “ものすごい愛”にまみれた世界が楽しめます。

読んだら、強制的にハッピーがあふれだしちゃいます。

【もくじ】
まえがき
人物紹介
1 ねぇ、毎日楽しいね
2 なんだかんだ言ってもさ
3 今日もだれかとふたり
4 暮らしのうらがわ
5 結婚してよかった
あとがき

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Posted by ブクログ

ネタバレ

【前書き】
・でも私は、そんな何の変哲もない、世界のどこを切り取っても存在するような月並みで平凡な結婚生活が、本当に本当に愛おしくって、楽しくってしょうがないのです。
 食べさせたいのはきれいに焼けたほうのハンバーグ、ついでにもうひとつ淹れるドリップコーヒー、眠れなくて深夜に誘う近所の散歩、コンビニにアイスを買いに行く本気のじゃんけん、シャンプーを詰め替えるタイミングの攻防戦、寝ているときに手を伸ばせばすぐに届く温度。
 愛する人との暮らしの中でふいに生まれる感情、ほんの些細なことのはずなのに、なんだか大きく感じる幸せ。n12
→帯にもなっている、きれいな言葉。好きな人と暮らす幸せ、世間でいう「人並みの幸せ」ってやつなんだろうけど、こんなに満たされていて、この先子どもも生まれたら…って考えたら、なんてすばらしいことなんだろうと思う。こんなのが「人並み」なんて、どんだけ恵まれているんだよ?って思わずにはいられない。


【1】ねぇ、毎日楽しいね

〇狭小寝具生活
・愛する人と、一緒の寝室で、同じ布団で寝たい。  その一心で、夫は休日返上でマットレスについて7時間かけて調べ上げ、より振動を感じない商品を探し求めた。クイーンサイズやキングサイズよりもずっと割高になってしまう、シングルサイズを二個くっつけるという決断をし、勇ましくレジでカードを差し出した。  わたしと一緒に眠るためなら、多少の時間とお金の消費は厭わない。  いやはや、愛されていますね。n136

〇愛しい毛のゆくえ
・ついに「だっておれは、好きなときに好きなだけ君に頬ずりしたいんだよ……!」と、脱毛したい〝ほんとうの理由〟をぶつけてきた。  そういえば、夫は理容室へ散髪に行ったとき、一緒にヒゲも剃ってもらっていた。  あつあつの蒸しタオルで顔を覆われてから、鋭利な一枚刃のレザーをつかい、プロの巧みな技で根こそぎ剃り落としてもらっている。  せっかく髪をビシッとセットしてもらい、顔もつるつるになっているのだから、どこかで一杯ひっかけたり、おいしいものでも食べたりしてから帰ってくればいいのに。夫は「早く頬ずりしたい、こんなにも自分の肌がつるつるな状態は1ヶ月に一度、それもほんの一瞬しかない。2時間もすればまた顔面に摩擦が生じてしまうのだから、寄り道なんてもったいないことをできるわけがないじゃないか」と、息を切らしてわたしのもとに帰ってくる。  そんな健気な姿を思い出したら「いいんじゃない、ヒゲの脱毛しなよ」と言うしかなかった。n178

〇太るも痩せるもあなたのせい
・たとえ私が寝ている間に熱い屁をここうとも、鼻毛を何本出したままキスを迫ろうとも、酔っ払ってゲロまみれになろうとも、将来しわくちゃのババアになろうとも、夫はいつだって私を慈しみ愛し続ける人間なのだ。
 この普遍の愛は、罪深い。
 自分自身がご機嫌に過ごせるベスト体重を取り戻したいと思いつつも、そのおかげで自分を甘やかしに甘やかしまくる生活から抜け出せない。n251
→分かる笑。この前の旦那の甘やかし方もすごく分かるし、ボキャブラリー豊富で面白い。存在が優しいとか、矢筒とか。
 でも、痩せる理由をくれるのも旦那。

〇贅沢な退屈n340
→この章めっちゃよかった。

・(連休が悪天候で、折角ならと豪華な朝ご飯を作ることにして)普段なら、こんなにきちんとした朝ごはんなんて作らない。
 納豆ご飯ドーン!フリーズドライにお湯を注いだだけの味噌汁ドーン!だ。
 「いいごはんでしょ」
 「いいごはんだね、でもいつもいいごはんだよ」
 「つくらないときもあるよ」
 「それはそれでいいんだよ」n352
→旦那の懐広っ。小さな幸せ感じて毎日楽しい証や。

・掃除機をかけ終わった頃、髪の毛を濡らした夫が「ついでにお風呂掃除もしちゃった」と出てきた。
 「ありがとう、やさしくて偉いね」
 「君もお部屋の掃除してくれてありがとうね、やさしくて偉い」
 なんてことないのに、お互いを褒め称え合い、手を取り合って踊った。n359
→めっちゃ楽しそう。お互いを尊重し合っていつくしみ合っている。

・喧嘩したときの予行演習
 プロジェクトAを観ながら、下手くそで、形にならないカンフーもどき。なぜか変に歪む顔。膝をついてゲラゲラ笑う。n393
→地味なコンテンツ力。小さい企画を立てて遊んでいくの良いな。

・気が付けば夜も更け、何一つ有益なことはしないまま一日が終わろうとしている。
 つまんない。どこかにって何かをしたい。
 外でおいしいものを食べたり飲んだりしたかった!なんかきれいなものを見たかった!この前買ってまだ一度も来ていないワンピースを着てデートしたかった!
 床に突っ伏してめそめそしていると、窓から湿り気のある風が入ってくるのを感じた。
 アルコールの誘惑に素直につられ、ベランダに出てみると、いつの間にかキャンプ用のいすが2脚置かれていた。
 安いサンダルを履き、2人で腰を掛け、月も星も見えない夜空の下でピッタリとくっついて酒を飲む。
 「退屈だったけど、ずーっと仲良しだったね」
 「そうだね」
 「あとでさ、この前買ったワンピースを見せてよ」
 「えー仕方ないなぁ」
 これを飲み終わったら、かわいいワンピースを着てくるくる回ろう。
 今夜も、手を繋いで一緒に眠ろう。
 目が覚めたら、朝ごはんに今日の残り物を食べよう。
 明日雨が上がったら、近所へ散歩に行こう。n399
→退屈だったけど、ずーっと仲良しだったね…ってめっちゃよくないか。

【4】暮らしのうらがわ

○丁寧な暮らしっつーやつは
・丁寧な暮らしの丁寧の矛先は、自分こ心に向かっているべきだと思っている。
 自分の心をぞんざいにせず、過去のしんどかった自分が救われて、今の自分が楽しくて、未来の自分が喜ぶもの。
 そして、それを叶えるために無理をすることは、一つもあってはならない。n1476

・早起きして、焼き魚と卵焼きとおひたしとお味噌汁と十穀米入りのご飯を作って食べて、部屋中をピカピカに磨いて、煮出したお茶を飲みながらおしゃれなクッキーをつまみつつ休憩して、午後は街に出てジルサンダーの新作ピアスを買って、ベトナム料理を食べて、家に帰って半身浴して、お風呂上りにSK-Ⅱでスキンケア。
 連休だからと昼まで寝て、目が覚めた後の布団の中でダラダラして、テキトーな格好で回転ずしを食べに行き、帰りに近所の銭湯でサウナをキメて、すっぴんのまま赤提灯の店でしこたま飲んで、締めのラーメンを食べてから家路につき、そのままベットにダイブ。
 どちらも、本人の心が整うなら、十分に丁寧に暮らしている。
 人と比べて、「自分は丁寧に暮らせていない」だなんて落ち込むのは無駄だ。n1485

○やさしさの飴玉
・怒りの熱量を保ったまま、思わず勢い任せの強い言葉をぶちまけそうになるのだが、そんなことをしようものなら、言われた方は「あーもう!わかったわかった!そんな言い方しなくてもいいじゃん!」と素直に受け取れないだろう。
 丸まったままの靴下を脱ぎ捨てないで欲しいという話が、「そんな言い方しなくても」「そんな言い方させるようなことをする方が悪い」と、いつの間にか問題がすり替わってしまう。
 それが続けば、次第にギスギスし始め、今まで気にならなかったことばでも目につくようになり、溝を埋めきれなくなった結果、最悪の場合は離婚・・・なんてことにならないとは言い切れない。
 そんなの、嫌!!
 だから、私はいつもポケットに「優しさの飴玉」を忍ばせている。
 丸まったままカゴに入れられた靴下を見つけ、「またかよ!」とかっとなりそうなとき、目には見えない優しさの飴玉を口に放り込むおまじないをする。
 すると、口の中に甘さがふわっと広がったように感じ、なんとなく肩の力が抜けるのだ。(いや、でもなぁ。私も服とか脱ぎっぱなしでそこら変に放置することもあるしなぁ。それを見て、夫がケンケン言ったことは一度もないよなぁ)
 架空の糖分が頭に回り、見失いかけていた相手の優しさが心に浸透していく。

○顔を見れば分かる
・「あのね、ここにきてから、一度もうんこが出てないんだ……」  夫は、笑うことなく、引いた表情も見せず、「それは大変だ!」とわたしを仰向けに寝かせ、お腹を懸命にのの字マッサージし始めた。 「頑張れ~腸よ動け~うんこよ出てこい~」と念じながら、わたしの下腹部をやさしい力で押し続けてくれる姿を見て、「なんていい人なんだろう、この人となら結婚しても上手くやっていけそうな気がする……」と感激したのを、今でも覚えている。n1882
→この人となら結婚できるって瞬間、俺にとってはなんなんだろうな。

○深夜の散歩n2019
→この章も良かった!深夜の散歩って、俺も好きだしね(俺はコンビニ行くのが目的だけど)。
 特にn2050〜の夫婦の何気ない会話がいい。散歩道の景色だけでも、いろいろな話ができるもんだ。

○結婚ってなんか良い
→ここも全体的に良い章。特にn2138〜の寝付けない夜の会話や、暑苦しい日の会話、休日の午前中ゴロゴロしちゃう時間の会話がいい。「そういう、大した事ない出来事の中で、確かに存在する豊かさを、私はなんかいいなと思う」

・やさしさだと一括りにしてしまうのは、もったいない気がする。
 相性がいいと片付けてしまうのは、怠けている気がする。
 夫のふいに見せる言動が、存在そのものが、いちいち琴線に触れる。
 言語化できないし、したくない。するつもりもない。
 上手に説明できない「なんかいい」をずっと感じながら、暮らしていきたい。
 そういうふうに思えるから、結婚してよかったと思っている。n2169

【あとがき】
・わたしの結婚生活、マジでめちゃくちゃ楽しそうだなぁ〜。
 そんな事を考えながら原稿を書き、何度も直し、本になりました。n2183
→こーゆー事をはっきり言えるのって良いよね。結婚してまでさ。

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2021年03月29日

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