あらすじ
山には「不可思議」が満ちている。
山と登山にまつわる怪現象・謎・怪物など、奇妙な事件を一挙紹介。
【目次】
●第1章 奇妙な現象
・山の怪現象
マッターホルンで目撃された幻影/消えた4階建て宿舎の怪/テントに近づいてくる謎の靴音/知らないうちに移動した山小屋/ブロッケンの妖怪とセントエルモの火/山奥から響いてくる奇怪な音
・山の不思議
女神の山で女神になったアメリカ人女性/頂上をめざす動物たちの怪/朝日連峰の不可思議な遭難/リングワンデルングの恐怖/ヒマラヤに消えた記憶/ニカ国語を理解した名登山犬・山の謎 富士山初登頂の謎/大雪山に残されたSOS文字の謎/ヒマラヤ登山史上最大の謎/エベレストで遭難した旧ソ連隊の謎/身元不明の遺体の謎
・山の奇跡
人肉を食べて生還したアンデスの遭難者/エベレストから転落して生還した男/雪崩に埋まり13日間生き抜いた青年/ヒマラヤで宙吊りから救出された日本人/アルプスの氷壁から滑落して助かった日本人/国内の奇跡の生還者たち
●第2章 恐怖と神秘
・魔の山
殺人峰アイガー北壁/人喰い山ナンガ・パルバット/犠牲者世界一の谷川岳/死を呼ぶ山ミニヤ・コンカ
・神秘と伝説の山
ノアの箱舟の山アララト/アリストテレスが予言した山/エベレストよりも高い山/ギアナ高地に実在したロストワールドの山/崑崙の謎の山ウルグ・ムスターグ
●第3章 伝説と怪談
・山の伝説伝承
猫又伝説の謎/埋蔵金伝説の謎/ヒダル神の伝説
・山の怪談
吹雪の避難小屋の亡霊/真夜中にともる消したはずのローソクの灯/深夜ひとりでに開いた山小屋の扉/テントの中に押し入った幻影/ウペペサンケ山の怪異
●第4章 謎の生きもの
・山の怪物
中国の秘境に生息する謎の大脚怪/ギアナ高地で遭遇した怪鳥/まぼろしのツチノコを探す/黒部峡谷の正体不明の足跡と奇妙な声/カナダの獣人サスカッチ/中国で頻繁に目撃される野人/コーカサス山脈の謎の獣人カプタル
・謎の雪男
雪男の足跡写真を発表した登山家/雪男を近くで観察したポーランド陸軍中尉/雪男を間近に目撃した日本の登山家/奇抜な作戦の日本の雪男探検/鈴木紀夫さんがつかんだ雪男の正体/日本の登山隊が持ち帰った雪男の体毛とフン
・絶滅動物の謎
ニホンオオカミは発見されていた/九州のツキノワグマは絶滅していない/カッパの正体はニホンカワウソか
●あとがき
●文庫のためのあとがき
●解説「この世とあの世のマージナル領域、それが山である」(三上丈晴さん)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイトル通り、山にまつわる不思議な話や悲惨な遭難話など、どれも1~2ページ程度でサクッと読めるので良い。
最近いった谷川岳が世界一死者を出している山だと、これを読んで初めて知った。
この本には良いエピソードはあまり書かれていないけど、それでも山に魅了されて登りたくなる気持ちは十分わかる。
Posted by ブクログ
怪現象、奇妙な話、怪談など、実在の山の紹介と噂の出どころ、調査した結果の事実が書かれている。
民俗学の入り口として興味深い不思議な話がたくさん。浅く広くと思わず、話の成り立ちなどを考えるとより楽しめると思う。
解説がとてもわかりやすく本書の魅力を書いていると思ったらムーの編集長だった。
昔、熊は神の使いと信じられていたので、マタギが狩で熊を殺した場合は墓を立てて供養する。
白川郷の帰雲城の黄金の話は印象深い。
まず、あんな小さな村で、あのような立派な合掌造りの家が建てられたのか?と思っていたが、城主がいた。そして砂金などが発掘されていた!
猫又伝説のある山で家猫が野生化して猫又に思われる話。
Posted by ブクログ
上村信太郎『山の不可思議事件簿』ヤマケイ文庫。
極めて真摯に山で起きた不可思議に向き合ったノンフィクション。冷静沈着に事実を中心に描かれており、伝説や怪談の類いは少し控え目なのが良い。
理論的に説明できる山の不可思議現象もあれば、説明不可能な現象もある。事実は存在しても、その理由は謎であったり、忘れ去られようとする怪現象など山の奥深さと自然への畏怖を感じる内容だった。
第1章の奇妙な現象では、黒部ダムの工事現場で起きた消えた4階建て宿舎、大雪山に残されたSOS文字の謎、ジョージ・マロリーのエベレスト登頂の謎、アンデスやヒマラヤ、日本国内の山からの奇跡の生還が興味深かった。マロリーのエベレスト登頂を巡る謎を描いた小説に、夢枕獏の『神々の山嶺』やジェフリー・アーチャーの『遥かなる未踏峰』があったことを思い出した。
第2章は、恐怖と神秘がテーマ。アイガー北壁やナンガ・パルバット、ミニヤ・コンガなどの難攻不落の山々の話は興味深い。アイガー北壁をテーマにした小説では、ボブ・ラングレーの『北壁の死闘』が有名だ。また、本書にも描かれているアイガー北壁での史上最悪のドイツ隊とオーストリア隊の遭難事件を描いた映画『アイガー北壁』は数ヶ月前にBSで放映された。ナチス時代のドイツは国威発揚のために様々な未踏峰への挑戦を推奨していたようで、エベレストを最初に登頂したのはナチスの山岳兵士だったというテーマのハリー・ファージングの傑作小説『汝、鉤十字を背負いて頂を奪え』は記憶に新しい。
第3章のテーマは、伝説と怪談。猫又伝説に埋蔵金、幽霊などの怪談が紹介される。
第4章は、謎の生きもの。有名なところでは雪男、ツチノコ。絶滅したとされるニホンオオカミやニホンカワウソにはロマンを感じる。
本体価格750円
★★★★