あらすじ
清新な現代語訳「奥の細道」と刮目の「軽み」論――俳聖一代の名紀行を読み究めた、滋味深々にして平明達意の訳文と清新懇篤な解説・鑑賞の第一部、芭蕉芸術の到達点としての「軽み」の境地を考究しつくした第二部。優れた啓蒙性と深い文学性を併せ持つ名著。
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Posted by ブクログ
北千住から大垣まで歩いて旅をしてこの話は終わるが、最後はやはり次の旅へ行くところで終わる。
ただの旅行記ではなく、そこは歌人、歌枕を巡り歌を書きつつ各地をめぐっている。但し同行している曽良の書いた曽良日記が記録であるのに対し、こちらは旅順を変えて書いたり景色の描写をちょっと工夫したりと効果的な描写にするため少し創作的な一面を入れている。大幅には改編しておらず、物語にならないようあくまで歌の記録的側面が強いと思われる。
また、古典からの有名な描写を交えつつ記録しているので解説があるのはありがたい。この本は原文、和訳、解説、歌の解説というような順で載っているので読む人のどんなニーズにもあう構成。講談社学術文庫の特徴か。
ちなみに奥の細道は仙台にあるが、これをタイトルにした芭蕉の意図を推測したものが最後の解説に見られる。響きがいいとかそういうことだけではなく教養的な面で計算されているのがわかる。