あらすじ
『哲学探究』は、ウィトゲンシュタインの後期の主著として、哲学史上に燦然と輝く名著です。
すでに、邦訳も出ていますが、古すぎたり、哲学としての解釈に不足があったりして、歴史的な名著の割には、名訳に恵まれませんでした。
このほど、もっとも信頼のおけるテキストである最新第4版の版権を取ることができました。
翻訳は、現在の日本で、もっとも厳密かつ魅力的な研究を続けている鬼界彰夫氏が担当します。
鬼界氏は、『哲学探究』というテキストが、どのような構造になり、何をめざしているのか、日本語で明確にわかるよう、特に版権所有者の許可を得て、見出しや解説等を、十分に入れていきます。
この企画によって、ついに、決定版の『哲学探究』の訳が世に出ることになったのです。
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Posted by ブクログ
まだまだ理解できているとは言えないけれど、
訳者による目次付けによって、だいぶ読みやすいのではないかと思う。
ウィトゲンシュタインは、『論考』の言語観を解体するために言語ゲームを導入したのだが、
『論考』のような言語の論理の代わりに、言語ゲームを置きたかったのではないという点をこれまで誤解していたと思う。
言語には、言葉に固定的な、イデア的な意味や常に変わらない論理があるのではなく、
具体的な使用場面(言語ゲーム)によって、意味や言語の規則は変わることもある。
そういった具体例(言語ゲーム)の集まりとして、言語を理解するという方法がとられている。
実際にどうしているのか見よ、といった記述が繰り返しあるのが印象深かった。
後半の様々な考察は、より晩年の考察にもつながっていくのかなと思うが、ウィトゲンシュタインの思考の流れを見るような感じで、何度も読みたくなるような感じがある。
『哲学探求』はひとつの完成でもあるけれど、晩年の考察に向けたプロローグにもなっているように感じた。