あらすじ
謎とトリックと推理の鮮やかなパズル! ――密室殺人にとりつかれた男の心の闇、一場面に盛り込まれた連続どんでん返し、不思議な公開捜査番組、姿を見せない最後の客……。人気の本格推理作家が、明確な意図を持って、みずからの手で精密に組み上げた短編集。謎とトリックと推理の巧みな組み合わせが、人間の深奥にひそむ「ミステリー」を鮮やかに描き出す。
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Posted by ブクログ
趣向を凝らした短編集としてはどの作品も読み応えがあり、特に「不在のお茶会」は哲学的に『私』を論考するにあたって最良のメタミステリーかもしれない。謎、わからないものとしての「ミステリー」を解き明かしていく過程で、ページをめくる指はなかなか止まらない。
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5
CDを模した構成に強烈な共感を覚える。と言うのも、私も自分の創作物を並べる際に、同様のことをするからだ。
オープニングトラックはコレ、2番目はヘヴィなヤツ、3番目はキャッチーなコイツ、インストゥルメンタルはこの位置、これはバラードだから後ろから2番目、いや3番目かな、終わりにアウトロも付けよう、先行シングル(ダイレクトメール)はコレね、とかなんとか。
さらにかつては家族や知人が呆れるほどのCDやらなんやらのコレクターだった。音楽好きで、オーディオ好きで、蒐集家で、表現者で、ミステリ好き。登場人物に我が身を重ねる。
「蒐集の鬼」のマッケリー氏は私だ。“人知れず埋もれている宝物を掘り出して、安価で手に入れるコレクト道の醍醐味”、わかっている、ただの自己満足なんだ、“だん商”が210円なら買うしかないじゃないか…。
「不在のお茶会」の三月生まれの作家は私だ。“それはお前が、読まれるものをどんどん書かなかったからいけないのだ”、ぐはっ、や、やめてくれぇ…。
本作には色々と身につまされる話が多く、心が痛い。読み終えたばかりの今、軽く落ち込んでいる。良くも悪くもシンパシー全開。
Posted by ブクログ
「このミステリーがすごい」95年度版国内ミステリ一位を獲得した作品。
「DISC-1」 「DISC-2」 の二部に分けられたアルバムに似た作りがなんともいえず洒落ている。
それぞれの作品群はというとこれまた素晴しい音を奏でる物ばかり。
クラシックからロック、パンクに至るまで古今東西の音を楽しめる・・・。
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物語という音の余韻に浸ろう・・・・・・。
意欲作がいっぱい!
どの話も印象的。新しい試みがされていて、ミステリへの愛を感じた。
CDアルバムを聴くように、どっぷりはまり込んでも楽しいだろうし、
内容難解なところもあるので、まずはサラッと雰囲気を楽しんでもいいと思う。
Posted by ブクログ
【ネタばれあり】
たまたま古本屋で見つけた本でした。CDジャケットを思わせるポップな装丁とCDを思わせる内容構成に惹かれて手にとりました。
読んでいて思ったのは、とても実験的な作品だな~といいうこと。既読の東野圭吾作品の「○笑小説」シリーズや、「名探偵の掟」に似ているなと思います。勿論、この作品の方が古いので、東野さんはこの作品に影響を受けたのかな???
肝心の内容ですが、10篇の短編のうち、分かりやすい作品もあれば、非常に難解な作品もありました。私は「解決ドミノ倒し」や、「蒐集の鬼」が楽しめました。一方、「世界劇場の鼓動」は分かりにくかったです。意欲的な作品ではあるものの、分かりにくくてもう一歩なんだけどな~という「不在のお茶会」は、何度も読み返せばきっとその良さが分かるんだと思えるような作品でした。
巻末のLINER NOTEが親切でしたね。
山口雅也作品:初読
読書期間:2009.2.14~2.27
Posted by ブクログ
『密室症候群』
密室小説を書く医者。現れた患者の女性の診察。
『禍なるかな、いま笑う者よ』
落ち目のコメディアンがプロディーサーを誘拐し自分の作った機械で復讐しようとするが・・・。
『いいニュース、悪いニュース』
かつて夫婦交換した夫婦間で起きた殺人。本当のパートナーは?
『音のかたち』
『解決ドミノ倒し』
ドミノ荘に集まった人々の推理合戦。それぞれの本当の正体は?
『あなたが目撃者です』
テレビで流れる連続殺人犯の特集。夫婦で見ていたが・・・。
『私が犯人だ』
殺人を犯した男。自分が犯人だと話すがみんなに無視される・・・。
『収集の鬼』
レコードコレクターの男が見つけた幻の名盤。
『《世界劇場》の鼓動』
『不在のお茶会』
2008年12月28日購入
2009年1月21日初読