あらすじ
鬼ヶ島から財宝を持ち帰った桃太郎を待っていたのは、毎年の確定申告でした。果たしてこの財宝はどう申告したらいいのか、鬼退治に使った「きびだんご」は経費として認められるのか…。
本書の中から、いくつか内容をご紹介します。
第一章「鶴の恩返し」では、鶴の羽根で織った反物から「経費で落ちるもの/落ちないもの」を探ります。反物を作るためにかかったお金は、経費として認められるはず。では、鶴が羽根を生やすために必要な「食事」や「睡眠」に関する費用は経費になるのでしょうか。家賃は? 光熱費は? 約束を破って鶴に去られた男の確定申告を手伝いながら、襖の向こうでかかった経費を明らかにします。
第六章「舌切り雀&笠地蔵」でテーマとなるのは「贈与税」。昔話には金品をもらうお話がいくつも存在します。ということは、贈与税がかかってしまうケースもあるはず。舌切り雀からもらった小さなつづら(お宝)と大きなつづら(ガラクタ)には、どちらも贈与税がかかるのか? 笠地蔵が置いていった恩返しの品は、「個人からの贈与」なのか「法人からの贈与」なのか? 登場人物たちとの議論を通じて、贈与税の仕組みをわかりやすく伝えます。
最終章「浦島太郎」では「税金を払わないと何が起こるのか」を解説。竜宮城から帰ってきた浦島太郎が目にしたのは、自分の家に住む知らない人。そう、浦島太郎は鯛やヒラメが舞い踊る姿に夢中になっているうちに、固定資産税を何年も滞納してしまったのです。竜宮城の滞在中に起こっていた「差し押さえ」や「公売」の流れを、玉手箱を抱えた本人とともに振り返ります。
知らないと損をする、でも説明されてもわかりにくい。そんな税金の世界を、誰もが知ってる昔ばなしでシミュレーション。楽しみながら税金の知識が身につきます。
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Posted by ブクログ
高橋創・井上マサアキ
「桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?」
[概要]
第1章 鶴の恩返し
鶴が織った反物を町で売って得た収入は申告の対象である。鶴が反物を織っていた部屋は作業場として経費になるが、ただ、鶴の食費は経費にはならない。食費は反物を織るために直接かかった物ではないからである。
第2章 桃太郎
桃太郎が鬼ヶ島から持ち帰ってきた財宝は雑所得として申告の対象である。鬼退治のために用意したきびだんごは、イヌ、キジ、サルに対する給与として経費となる。また、甲冑や刀も経費となる。これらは、鬼退治にのみ必要と考えられるからである。
第3章 わらしべ長者
物々交換にも基本的に譲渡所得として税金がかかる。物々交換の場合、売ったものの時価と買ったものの値段の差額が譲渡所得となる。売ったものの時価は通常取引される価格で評価される。ただ、生活用品を売った場合なとば非課税となる。
第4章 分福茶釜
タヌキの芸でお金を儲けた古道具屋さんは税金を納める必要がある。この場合、タヌキは減価償却費として経費となる。減価償却には生物も含まれる。
第5章 うばすて山
山に親を捨てた子どもは相続できないといえる。相続には欠格というものがあり、遺産の相続目当てに親を殺害した場合は、欠格に該当し、遺産を相続できなくなる。ただ、基本的に故人の配偶者や子どもはしたり遺産を相続できる。
第6章 舌切り雀&笠地蔵
贈与税は相続税法内で定められている。贈与税は年間110万円までに関しては税金がかからない。ただ、相続時精算課税制度が設けられており、上の世代から下の世代に贈与があった場合には2500万円までは贈与税は課されない。
第7章 かぐや姫
翁が竹の中の黄金は拾得物であり、一時所得にあたる。かぐや姫が仮に男性から贈り物を受け取った場合には雑所得又は事業所得にあたりる。
第8章 かちかち山
治療のために使った費用は、医療費控除として所得から減額できる。ただ、一定額を超えないと控除できない。
また、一部の市販薬も医療費控除の対象となる。
第9章 三年寝太郎 金太郎
年間の合計所得金額が48万円以下であり、生計を一にしている16歳以上の子どもがいる場合、扶養控除が適用される。また、生計を一にする子を有する単身者もひとり親控除が適用される。
最終章 浦島太郎
納税の手続きをしない場合、罰金が課される。遅れた場合は利息が課される。納税を遅延してから一定の期間が過ぎると差し押さえられる。
[感想]
昔話の登場人物が税金についての相談を受けに税理士事務所にやってきます。昔話と絡めて税金について学べるので、税金についてだけ書いている専門書より、圧倒的に読みやすいと思います。ただ、学べる知識としては浅いと思います。税金初心者の方にはおすすめです。