【感想・ネタバレ】高校生ワーキングプア―「見えない貧困」の真実―(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「弟や妹には、普通の暮らしをさせたいんです」「もう嫌や。金、降ってこーい」スマホを持つ一見普通の高校生が、親に代わって毎日家事をこなす。家計を支えるためにダブルワークをする。進学費用として奨学金という借金を背負う。彼らのSOSはなぜ見過ごされてしまうのか? 働かなければ学べない高校生の声を集め、この国の隠れた貧困層の実態を浮かび上がらせた切実なルポルタージュ。(解説・荻上チキ)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

放送当時(2017年)から現在に至るまで、日本の状態が何ら変わっていないことを再認識させられた。
取材を受けた高校生たちが専門学校や大学を無事に卒業し、仕事に就けたのか奨学金で苦労していないか心配になった。
見えない貧困をどう打開していくか、この国全体の課題といえよう。

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2021年01月10日

Posted by ブクログ

20年前の自分の学生時代も少なからず家族のためにバイトや、奨学金ありきで大学に進学するという現実があった。自分もそう。奨学金が大学進学には必須だった。
現在の学生だともっと露骨にあるのかなと思った。コロナ禍で生活が一変した人も多いのだから。
自分がもしかしたら恵まれている。甘えが見えるのかも?年齢問わず読んだ方がいい一冊

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2023年09月24日

Posted by ブクログ

弟妹の面倒を見ている女子高生の話は泣ける。
本書にもあるバイト代の使い道である交際費が高いところに要注意。これには多分美容や服も入る。つまり学校という箱の中で孤立化する事の危険性を無意識的に避けているからではなかろうか。
貧困の再生産を防ぐために何をすべきか考えなくてはならないという事を伝えてくれる本。

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2022年05月29日

Posted by ブクログ

この「見えない貧困」(相対的貧困)がその内ありふれた貧困になってしまう(或いは昔に戻ってしまう)のではないか、と考えてしまう。

自分は裕福な家に生まれた訳ではないが、それでも金銭面を心配する事無く私立大学の一人暮らしをさせてくれた両親に感謝。自分に子供が出来たらお金の心配だけはさせたくない。

の本に出てきた高校生のみんなが今も続いているであろう逆境を跳ね返し、確固とした生活を成り立たせる日が来る事を願う。

中公新書「ヤングケアラー」と併せて読んで頂きたい。

ヤマダ電機LABIoneなんば店にて購入。

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2020年12月06日

Posted by ブクログ

NHKスペシャル取材班『高校生ワーキングプア 「見えない貧困」の真実』新潮文庫。

家計のために、通学や進学のために働かざるを得ない高校生の実態から日本の貧困層の現実を描いたノンフィクション。NHKにしては挑戦的なテーマである。本書に描かれた子供たちは、貧しい家庭に育ちながらも親思いの努力家で、心豊かなように思える。それだからこそこの日本の現実は悲劇に見える。

数年前から普通にスマホやPCを持ち、100均やファストファッションを利用するなどして見た目は普通なのに実は貧困に苦しんでいる『隠れ貧困』の若者が増えているようだ。家計のためにアルバイトをし、家事をこなして夜学に通ったり、進学のために奨学金という名の大きな額の借金を背負う高校生。この国の向かう先は……

かつての日本には、高度経済成長期に年功序列や終身雇用などが根付き、1億総中流家庭などと呼ばれる時代があった。この時代は勤勉に働けば、それに見合うだけの対価が得られ、持ち家や自家用車、家電などが手に入れられるそこそこ豊かな時代であった。

国内外で経済競争が激化すると企業はより安価な労働力を求めて海外に進出し、国内の競争はさらに激化する。国内では労働者派遣法という悪法を背景に安価な非正規労働者や海外からの技能実習者や留学生を労働力として活用してしまう。

これにより豊かな時代の基盤であった年功序列や終身雇用は崩れ、成果主義やリストラ、雇い止めなどが始まり、中流以下の家労働者の労働により得られる対価は目減りしていく。競争社会という名の格差社会の到来である。

国内の労働者を蔑ろにし、競争社会を加速させたことに加え、持てる者も持たざる者も税金や社会保障費を強制的に搾取されると、さらに格差は拡大していく。将来に抱くのは不安だけしか無く、さらに貧困層が増加するという負のスパイラルへの突入であり、今の日本の現実なのだ。

こうした時代に生きる若者たちには、経済的な豊かさだけを追い求めることなく、そして現実に決して諦めることなく、心豊かに未来を目指して欲しい。

本体価格550円
★★★★

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2020年10月31日

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