【感想・ネタバレ】猫を拾いに(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

誕生日の夜、プレーリードッグや地球外生物が集い、老婦人は可愛い息子の将来を案じた日々を懐かしむ。年寄りだらけになった日本では誰もが贈り物のアイデアに心悩ませ、愛を語る掌サイズのおじさんの頭上に蝉しぐれが降りそそぐ。不思議な人々と気になる恋。不機嫌上機嫌の風にあおられながら、それでも手に手をとって、つるつるごつごつ恋の悪路に素足でふみこむ女たちを慈しむ21篇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

18の短篇集。
他人との距離感の取り方がさまざまな形で描かれていて、人付き合いのパターンは人の数だけあるんだなと思った。客観的に見た感想では、人生を楽しんでいる登場人物が多い。でも本人たちはそう思っていないかもしれない。
別に型にはまる必要はないのだから、私もみんなもこの本の登場人物たちのようにのびのびとやれたらいいのに、と憧れに近い気持ちを抱いた。
自由に話が飛び回って、次々とふわふわ振り回されているうちに少し心が軽くなるような不思議な本だった。

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2025年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

川上弘美の作品の中では、わりとマイルドで読みやすい短編集です。表題作の「猫を拾いに」よりも個人的には「ミンミン」「クリスマス・コンサート」「旅は、無料」の続けて3作と、「九月の精霊」がなんといってもお気に入り。順番に。「ミンミン」…小人のお話。ああ良いなぁこういう感覚が持てたら幸せだなと、純粋に思ってしまう童話のようなお話。コロポックル的。「クリスマス・コンサート」「旅は、無料」…登場人物が同じ、視点が違う女性の作品。まず前作を読むと、後作の話がすっと入ってきます。いますよねぇそういう人、でも憎めないし同性としても好きだけれど、でも少し憎らしいっていう感覚は素敵。無意識のうちに人を惹きつける人は、おそらく本来自分では気付いていなくって、だからこそ稀有で美しい存在。「九月の精霊」…今作品集の中で、個人的には一番お気に入りの作品。川上弘美らしい作品で、不思議で、幸せで、奇妙な感じ。先祖や血の繋がりはどうしても切っても切れないし、どうしても過ぎる時に涙が出てくる。成長して、歳をとって、だんだん死が近くなる。それは辛いことのようで本当は幸せなことでもあって、それを作品から感じることで幸福な気持ちが溢れてきました。生きていく、それぞれ女性にとって生き方が違うように、幸福のかたちや幸せを感じることも違うなぁと思わせられる作品集。

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2018年07月26日

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