【感想・ネタバレ】命の経済――パンデミック後、新しい世界が始まるのレビュー

あらすじ

【内容紹介】
2020年初頭、アジアの一都市で発生した感染症は爆発的に広がり、西側諸国のロックダウン、さらには世界規模での経済停止という前代未聞の事態を引き起こしました。

なぜ、中国は抑え込みに失敗したのか。
パンデミック(感染症の世界的流行)の発生を許した先進諸国の初動の誤りはどこにあったのか。甘い幻想に溺れることなく、第二波の直撃を避けるには何をなすべきなのか。

本書でアタリ氏は、世界にまたがる自身の情報ネットワークを駆使して今回の危機の真相を明らかにし、パンデミック後の世界を克明に描きます。古代文明の時代から現代まで、感染症は社会と経済の構造に変化をもたらし、世界の勢力図を大きく描き換えてきました。

米中という二つの大国のひずみが露呈したいま、今後の世界の覇権を握るのは誰なのか。ヒトとモノの移動が制限されるなか、未来の個人、企業、国家は何を指針としていくべきか。ヨーロッパ随一の知性が訴えるのは、事実から目を背けずに向き合い、真実を語ることの重要性です。

歴史を紐解き、現状を分析し、未来を見通す。
傍観者でも、隷属者でもなく、自ら主体的に生きる存在となるために。

博覧強記のアタリ氏が、2020年のロックダウン下のフランスで書き上げ、日本語版刊行を前に、最新のデータに基づく加筆を行った渾身の一冊です。

【著者紹介】
[著]ジャック・アタリ(Jacques Attali)
1943年アルジェリア生まれ。フランス国立行政学院(ENA)業、81年フランソワ・ミッテラン大統領顧問、91年欧州復興開発銀行の初代総裁などの、要職を歴任。
政治・経済・文化に精通することから、ソ連の崩壊、金融危機の勃発やテロの脅威などを予測し、2016年の米大統領選挙におけるトランプ の勝利など的中させた。
林昌宏氏の翻訳で、「2030年 ジャック・アタリの未来予測』(小社刊)、『新世界秩序』『21世紀の歴史』、『金融危機後の世界』、『国家債務危機一ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?」、『危機とサバイバルー21世紀を生き抜くための(7つの原則〉』(いずれも作品社)、『アタリの文明論講義:未来は予測できるか」(筑摩書房)など、著書は多数ある。

[翻訳]林昌宏(はやし・まさひろ)
1965年名古屋市生まれ。翻訳家。立命館大学経済学部卒業。
訳書にジャック・アタリ『2030年 ジャック・アタリの未来予測』(小社刊)、『21世紀の歴史』、ダニエル・コーエン「経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える」、ボリス・シリュルニク『憎むのでもなく、許すのでもなく』他多数。

[翻訳]坪子理美(つぼこ・さとみ)
1986年栃木県生まれ。翻訳者。博士(理学)。東京大学理学部生物学科卒業。同大学院理学系研究科生物科学専攻修了。
訳書に『なぜ科学はストーリーを必要としているのか』(ランディ・オルソン著、慶應義塾大学出版会)、『性と愛の脳科学—新たな愛の物語』(ラリー・ヤング、ブライアン・アレグザンダー著、中央公論新社)等。
現在、広範囲薬剤耐性菌(スーパーバグ)感染症との闘いを描いた科学ドキュメンタリー『The Perfect Predator』(原題)の翻訳に取り組むほか、『遺伝子命名物語』(仮題)を共著で執筆中。

【目次抜粋】
はじめに
第一章 命の値段が安かったとき
第二章 未曾有のパンデミック
第三章 一時停止した世界経済
第四章 国民を守り、死を悼む政治
第五章 最悪から最良を引き出す
第六章 命の経済
第七章 パンデミック後の世界
結論 「闘う民主主義」のために

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Posted by ブクログ

ネタバレ

541年 腺ペスト 中国から
1817年 コレラ インド
1957年 アジア風邪
1981年 AIDS 
2002年 SARS 中国
2005年 鳥インフルエンザ
予見可能な死と、誰もがいつ死ぬかもしれない死

感染爆発の原因
 医療制度が国の負荷/世界の相互依存/自信過剰/利己主義/見捨てられた層
政治不信
 公的債務が制御可能なのは名目成長率が金利より安いうちだけ
中国 「国進民退」
 世界の工業製品の付加価値の25%
 アフリカ債権の20%
 国連FAO、ITU、UNIDO、ICAO幹部は中国人

 世界のほとんどの一党独裁は中間層の反乱で瓦解した
 アメリカ 世界45か国に軍事基地、中国はジブチとミャンマーのみ
 アメリカと中国が衰退する?
 人工物 巨大企業が政治を動かす

孤独という伝染病
 アメリカの四人に一人、イギリスの三人に一人、スウェーデンは50%
 高齢者施設、刑務所、精神科病院
 混雑の中でもヘッドホンの若者
 死者のバーチャル化
生命は画一的なところには宿らない
企業は居心地のいいホテルに

生命の保護と自己監視
 人の感染症の60%は動物を食べたり接触が原因

命の経済
 健康/衛生/スポーツ/文化/都市インフラ/住宅/食糧/農業/国土保全
 安全/防衛/リサイクル/水道/エネルギー/エコロジー/
 教育/イノベーション/通信/商取引/物流/配送/公共機関保険/金融
 女性が担っている 

戦う民主主義
 1.代議制 2.命を守る 3.謙虚 4.公平 5.将来世代の利益
 

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2021年10月14日

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