あらすじ
創造、多様性、情動、しくみ、読解、融合、コラボレーション…
音楽を学んでイノベーションが生まれる――ノーベル賞受賞者90名超。
世界を変える人材を続々輩出する名門校、マサチューセッツ工科大学(MIT)。
工科大学の名の通り、科学・テクノロジー・工学・数学、いわゆるSTEM
(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)を
重視しているが、一方、人文学や芸術科目にも力を入れている。
中でも人気が高いのが、約4割の学生が履修する音楽科目。
現地での取材を通して、同校の授業を書籍化。
世界最高峰の「創造する力」の伸ばし方を明らかにしていく。
授業で使用されている曲をまとめたプレイリスト付。
■目次
●はじめに世界最高峰MITで音楽が学ばれる理由
●第1章 なぜ「科学」と「音楽」が共に学ばれているのか
人文学は、AIをどう捉えているのか
・「誰の」「何のために」をあらためて考える
・MIT音楽学科の歴史から創立当初から理論&実践を重視
・創立当初からのリベラルアーツ教育思想
・創立20年後に初の音楽グループ100年後に音楽学科が設立
・幅広い音楽の学び~音楽学科にある4つの領域
・毎年1500名が音楽科目覆修!~人文学・芸術科目は全体の4分の1
・芸術科目必修! 音楽の学びとは~音楽学科長キーリル・マカン先生
・コラム ダブルメジャー生の1日は? 音楽×専門分野で何を生み出したいか
・音楽と専門学科をどのように生かしている?
・どのように時間を使っているのか?
・作曲はいつするのか?
●第2章 人間を知る・感じる
●第3章 しくみを知る・創る
●第4章 新しい関わり方を探究する
●第5章 他者・他文化・他分野と融合する
●第6章 MITの教育から探る、未来を生きる世代に必要なこと
●第7章 「いま・ここ」と「はるか未来」を見据えて
●おわりに 音楽で身体と心を揺らし、新たな世界の扉を開く
■著者 菅野恵理子
音楽ジャーナリストとして海外での豊富な音楽教育取材・国際コンクール演奏評をもとに、
音楽で人を育て、社会を繋げることをテーマとして調査研究・執筆・講演などを行っている。
著書に『ハーバード大学は「音楽」で人を育てる』『未来の人材は「音楽」で育てる』(共にアルテスパブリッシング)。
オンライン連載に『海外の音楽教育ライブリポート』(ピティナHP)などがある。
上智大学外国語学部卒業。在学中に英ランカスター大学へ交換留学し、社会学を学ぶ。
全日本ピアノ指導者協会研究会員。
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Posted by ブクログ
音楽がこんなにもビジネスやアカデミア業界で真剣に学びとして取り入れられていることを知らなかった。
前半は音楽のことを詳しく語られていてついていけなかったけれど、後半のなぜ音楽を学ぶのか、音楽がどう生きるのかについて学びが多かった。
どの分野でもそうだけれど、専門分野以外について学ぶ行為はとても刺激的で自分の頭の中の多様性が形成されて発想力が豊かになる。
そういう意味でも新しいことを始めたいなと思った。
今までかじってきて途中でやめていることがいっぱいあったので、もう腰を据えて少し向き合う時間をとりたい。
音楽ではピアノとギター
そのほかでは、写真とイラスト・模写などしたいな〜
Posted by ブクログ
MITでなぜ音楽が学ばれているのか,そしてどういった授業が行われているのか,この2点が大枠の本であった。この大学は,卒業する学生が,今後イノベーションを起こす知の蓄えとして,芸術との関わりを重要視していた。この本を読み共感したのは,『音楽は多様性そのものでありながら普遍的である』という点だ。音楽は,その地域の文化、育った環境、創作者の感情が大きく反映される個性的な創作物であるにもかかわらず,文化や国境を超えた普遍性がある。アートの中で,言葉や数式が生まれるはるか前に存在し,普遍性の高い音楽を重要視するMITの姿勢は,この言葉から合点がいった。
MITの音楽の授業で見る視点も面白く,視野が広がるとても良い一冊であった。
Posted by ブクログ
理系の学生に対し、今後、知識的には必要性がないであろう音楽の講義をどのように提供し、どのように評価するのかが、本書によりある程度分かる。思っていた通り、共同レポートの作成にかなりのウエートが置かれているようだ。テーマは何であろうとも、知的な共同作業の経験は貴重であり、人生で役に立つであろう。
日本の大学は、知的共同作業の機会がほとんどない。このことが日本の人材面での弱みとなっている。
Posted by ブクログ
MITで本気で力を入れている音楽授業。演奏、作曲、解釈を行う。音楽の理数系的分析と展開を行いつつ定性的理解とどうやってそこから離れるかを考える実践を行なっていく。
Posted by ブクログ
読み進めるのになかなかの集中力が必要な本だったけど、MITでの音楽関連の授業を通して音楽が我々にもたらす影響や意義について考察していて、なかなか興味深かった。
自分の大学時代、総合大学の工学部で学びながらもかなり多くの時間をサークル活動のオーケストラに費やしていたので、授業としての室内楽やオケの演奏実技や作曲理論などで本格的な指導を受けられ、さらに単位がもらえるMITはなんて羨ましい環境なんだろうと思った。オーケストラと生きる事との共通点みたいなことも書いてあったのは面白かったし、自分の経験に照らして深く共感できることも多々あった。科学者に音楽がもたらす良い影響についてはなるほどなと思った。2020年9月の出版のためコロナ時代の生き方などについても触れていたり、自分の今後の参考にしたいと思う文章もあった。
・音楽における究極のコラボレーションは室内楽。室内楽はあらゆるソーシャル・トレーニングになる。
・創造するには、より多くの経験や知識が必要(本を読んだりネットで見たりするのではなく、自分の手を動かして得た経験)
・異なる2つ以上の領域同士の知見がひらめきを生む
・音楽は多様性そのものでありながら、文化や人種を超えた普遍性がある