あらすじ
中学2年の照音は、いじめられる苦しみを「絶望ノート」と名づけた日記帳に書き連ねた。彼はある日、頭部大の石を見つけ、それを「神」とし、自らの血を捧げ、いじめグループの中心人物・是永の死を祈る。結果、是永は死んだ。しかし、収まらないいじめに対し、次々と神に級友の殺人を依頼する。生徒の死について、警察は取り調べを始めるが……。衝撃の結末が襲う長編ミステリ。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
匿名
息子の机の引き出しで見つけた絶望ノートに書かれたいじめの記録。
絶望ノートに書かれた内容に全員が振り回されてひとつのストーリーを作っているのが見事。
いじめをでっち上げ罪のない友人を殺させた結果、その友人の庇護を失いいじめに合い殺されるという、他人を操れる等と思い上がった主人公に相応しい結末だったのかな。
Posted by ブクログ
犯罪にフォーカスを当てるのではなく、主人公を取り巻く環境、心情が色濃く描かれていてどのページも面白いと思えた。飽きが来なかった。出来事だったり第三者の発言に対して放った言葉ではなく心の中で思ったことがツッコミのような瞬発性のある面白い言葉で描かれていたので新しい面白さを発見した気持ち。にしても歌野さんは言葉で騙すのが上手い、騙されない人なんていないと思う。読み手と本の中の人物の視点のギャップを生かした叙述トリック最高です。殺人云々ではなくて、目に見えない愛の確かめ方、寂しさ、が心に響く作品だった。主人公に対する自分の気持ちがコロコロ変わる展開、すごく不思議な感覚だった。怒りから切なさに変わって、泣いちゃった。すごくいい作品、1番更新。
さすが歌野先生!
読んでも決して愉快な気分にはなれない
のに、読むのが止められませんでした。
主人公が救われるのを願って読み進め、
何が起こっているのか分からず真相が
知りたくて読み進め・・・。最後まで
読んだら、もう、力が抜けてしまって、
もう、何がなんだか。という気分を1冊
で味わってしまいました。なんだか、
本当に、なんだか・・・という気持ち
です。暗い話が苦手な人にはおすすめ
できませんが、やっぱり歌野先生は凄い!
Posted by ブクログ
葉桜の後、普通のミステリを書くとなるとこうなるよなぁ。ソフトランディングとしてはいいでき。
と思ってたら解説読んで理解が深まる。
叙述の必然性が(動機としてはやや弱いものの)用意されたことは革命的なことなのかもしれない。
Posted by ブクログ
登場人物、全員嫌いすぎる。
全員しっかりしろよ!!と言いたい。
いじめの日記の描写が長すぎてちょっとダレたしイライラしたが、まぁ神なんていなくて本当は誰かが実行してるんだろうな誰だろう〜と思いつつ読めた。
ラストはどんでん返しがあったものの、息子の日記だけを鵜呑みにして直接会話することなく友達に制裁を加える両親も頭おかしいし、両親に愛されてるか確認したいから直接話さず嘘日記で愛情を推し量る照音も気味が悪いと思った。
どんなひねくれた性格してたらこんな行動になるんだよ。笑
是永も、それいじめじゃね?笑ということ結局やってたが、嘘日記のせいで殺されたのさすがにかわいそう。
全体的にもやもや暗い気持ちになるような話だった。
Posted by ブクログ
この子、怖い。
神様はいない、という悲痛な叫びのような日記に同情
しながら、時には共感しながら最初は読んでいた。
日記の部分があまりに多くて、その多くは斜め読みし
てしまったけど、後半、母親に直接語りかけるような
書き方に違和感を覚えた。他にも母親に関することは
”こうして欲しい”と言ってるように聞こえて、最後で
腑に落ちた。
母親の”創作”という疑念は、息子がいじめられている
という事実を受け入れたくない気持ちからきたものだ
ったのかもしれないけど、多少は直感もあったのでは
ないかとも思う。
口から発せられる言葉と文字で書かれた言葉とでは、
人はどちらの方をより信じるか…というのは、確かに
とても興味深い点だと思う。
直接声にして表現する時には表情や行動も影響を受け
るから、嘘を吐くには文字の方が遥に簡単なのに、文
字にして残されたものの方が信憑性が高いという印象
を与えるのはどういうことだろうと思う。
何にせよ、人が4人も亡くなっているのに、罪悪感を
抱くわけでもなければ、止めるつもりもないという神
経が本当に恐ろしい。
神を創造して、どれだけ思われてるかを試して…最後
に本当の神様に助けを求めるなんて皮肉ね。
Posted by ブクログ
「絶望ノート」がこれほどまで他人を操り翻弄するとは。終始完膚なきまでに虐められる描写が印象的だったが、ラストで明かされる真実は、これまでの物語の見方が180°変わる衝撃的なものだった。長編だが、面白くて一気読みできる作品だった。
Posted by ブクログ
太刀川照音がクラスメイトからの日々のイジメについて書いた絶望ノートによって多くの人の人生が狂わされていく。読んでいて終盤まんまと騙され、そこまでの出来事や登場人物への印象が一転した。
Posted by ブクログ
葉桜を読んだので、こちらも読んでみた。
葉桜でハードルが上がりきってるものだから、あの時ほどの「やられた!」感はない。
ただ、期待をして読んでいるため他の作品とは違って、推理しながら読むのはやめた。書かれていることを割と深読みせずにそのまま受け取って読んでいたのだが、やはり今回もヌルッと読者の思考を覆す。
そしてすぐにはそれを詳らかにしないところ。先まで読みたくなってしまう技だ。意味深な言葉を書いておきながら、そのまま一旦放置されるのだ。これがページをめくる手が止まらなくする要因だ。
半分くらいは全くどのように着地させるのか分からなかった。500ページくらいでも、展開も含めて想像がつかなかっただろう。それは主人公の照音の日記に基づいて進んでいたからだ。決して、照音のその時の感情の描写ではない。日記を我々読者も読み続けていた。「トヨヒコ、ダメだなぁ」と必要以上に思わされていた。照音の賢さに驚かされる。
Posted by ブクログ
これがどんでん返しか‥
前半はもしこんな中学生が現代にいたらと絶望を覚えていたが、最後まで読むと全てが繋がって納得できてしまった。
モヤモヤは残るが、作品として結末が読めないハラハラした作品だった。
現実では神や親、友達を頼りすぎず自分で問題解決する力がないと、上手に生きてはいけない。
Posted by ブクログ
いや、そうはならんやろ。な毒親ミステリ。
叙述トリックだという前評判を聞いてしまったのが大変もったいなかった。
身内の大人達どいつもこいつも直接ショーンと会話とかしなくて、どこまでも独りよがりにショーンの神になろうとするのがとても後味が悪い。
あと妹尾さんは結局何やったん?
Posted by ブクログ
(数年前を思い返して書く)珍しく妹からおすすめされて読んだ本。読んだ歌野晶午作品としては2作目。『葉桜の季節に君を想うということ』は全く刺さらなかったのだがこれは良い。叙述トリックでは往々にして【読者】だけを騙す事があるのだがこれは作中の人物も含めて叙述トリックに引っ掛かっているため読み終えたときの納得感が凄くある。今作のあと叙述トリックものは何作か読んだが未だにこれを超えるものはない。