あらすじ
番付だからわかる江戸庶民のホンネ――女房まで番付する! 料理茶屋から酒、職人、娘、色と欲、天変地異、温泉、江戸自慢まで……。現存していた番付表が、当時の文化を芳醇に粋に甦えらせた。江戸庶民事情の第一人者が、挿絵もふんだんに、番付の読み方を解説する。江戸庶民たちの遊び心が冴えわたる、一味違う真の江戸文化をぜひご笑覧あれ!
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Posted by ブクログ
いつの時代もランキングが気になるようで、江戸時代には様々なことを番付にしていた。
福島で地震と原発事故が起こってから今年で10年経過した。「世中当座帳」という震災景気で得をする人と損する人が分かる番付がある。
2021年にこのような番付を出すと大炎上しそうだが、現代と違って、江戸の庶民にとって火事が起こると社会を活性化する作用があった。
右が得する人で、左が損する人が載っている。一段目は、右が土方人足で、左が風雅聞人だ。聞人とはゆうめいじんを意味する。二段目は、右が材木屋で左がぜいたくやというぜいたくな商品を扱う商売を意味する。
何が得して損するのか想像がつくなあ。
うそも番付になっていて驚いた。しかし、社会で生きている以上、うそを付かないで生きることは不可能だ。警察にお世話になるようなうそはまずいが、「嘘も方便」と言うようにうそとはさみは使いようだ。
東の大関は「女は嫌いだという若い衆」だ。ボーイズラブでもない限りほとんどの人は好きなはずだ。
西の大関は「早く死にたいと言う年寄り」だ。心の底から早く死にたいと思っている年寄りはそんなにいない。
定番の番付もある。観光名所もその1つだ。「大日本 名所旧跡競(くらべ)」で、東大関は富士山で西の大関は琵琶湖だ。
西の関脇は天橋立だ。天橋立は、「大日本國中 不思儀(議)競(くらべ)」にも登場している。あの形を見て不思議に思うのは今も昔も変わらない。
いろいろな番付があって興味深いなあ。