あらすじ
『全力! 脱力タイムズ』などさまざまなメディアに出演!
異色の生物学者による“心に残る”生物学講義、開講!!
~生物学を学べばヒトはもっと強く、もっと優しくなれる~
【内容】
本書は、『全力! 脱力タイムズ』『クローズアップ現代』などさまざまなメディアに出演し、黒ずくめの服装とサングラスという風貌でダニやヒアリなどの危険生物について語る姿が話題となった、異色の生物学者・五箇公一による “人生に活かせる”生物学の入門書になります。
堅苦しい生物学の講義ではなく、コロナが人間社会を襲っているいま、withコロナ時代、そしてポストコロナ時代という新しい時代を生き抜くためのヒントを、生物学を通して学んでいく一冊です。
【構成】
◆第1章 性のしくみ
オスとメス、性って一体なに?/生物は進化を続けないといけない運命である/生物は進化を繰り返して、今に至る/ウイルスに対抗する画期的な進化=性の分化/カタツムリはオスとメスが同じ? 雌雄同体の生物たち/オスは受精するためのスイッチ!?/「退化」も進化の一種である/性淘汰の中でオスは不要とならないよう頑張る……/ダニの世界にもあるオス間闘争/オスはあえてハンディキャップを背負う/DNAのコピーミスは単なる失敗ではなく、進化の礎だった/生物学的にはオスは悲しい生き物だった/哺乳類最大級の精子を持つフクロミツスイ/人間も大昔は乱交をしていたのか?/セックスは生物学で一番面白いテーマ/生物学の巨人・ダーウィンが唱えた進化論とは/働きアリの怠け者にも生きる意味がある
◆第2章 生物学からみる人間社会
男性の草食化は生物学的な「ひずみ」なの?/実は草食化はモテるための手段!?/少子化の果てに待ち受けるもの/社会の成熟と夫婦関係の変化/一夫一妻制は幻想「?/女性が不倫男を嫌う」のは生物学的に正しい/生物学から考える同性愛/人間と動物の大きな違いは「利他的ヒロイズム」の有無である
◆第3章 遺伝
「遺伝」とはわずか4つの塩基の組み合わせ/教科書にあった「メンデルの法則」をもう一度「/ハゲは隔世遺伝する」は迷信なのか!?/遺伝子検査でガンにかかる確率がわかる!?/親から子に遺伝するものはどこまでわかっている?/ウイルスを超える!? 狂牛病の原因プリオン/今の科学技術で人間のクローン作成は可能なのか?/iPS細胞が可能にする夢の再生医療/米国産遺伝子組み換えナタネが日本を襲う!?/遺伝子工学は取り扱い注意なテクノロジー/遺伝子だけによって人生が決まるわけではない
◆第4章 遺伝子優生論
優生学の裏に潜む危険思想/優生学を人間社会に当てはめてはいけない/人間は自然淘汰に逆らい、助け合うことで生き残った「/奇人・変人」を排除すべきではない
◆第5章 生物の多様性
生物多様性があるから人間社会はここまで発展できた/かつてないペースで生物種が消える大絶滅時代/増える種と減る種~スーパーラットとゴキブリの都市化/木造建築こそが究極のリサイクルだった/かつては里山が生物多様性を支えていた/今後、経済成長が見込めない日本は鎖国するしかない!?/環境のために個人ができることは「地産地消」/グローバル化の象徴である外来生物/外来種だけを悪者にしていいのか?/フランスでは年間15名が死亡しているツマアカスズメバチ/温暖化に比べると生物多様性の対策は数段遅れている
◆第6章 生物学と未来
パンデミックはいつ起こってもおかしくない/東京オリンピックで、新たな感染症パンデミックが起きる!?/77億人に膨れ上がった人類をウイルスは淘汰しようとしている/新型コロナウイルスの襲来/人間が絶滅しても生物は残り続ける/今後、人間はどのように進化していくのか
◆第7章 私と生物学
人生を変えたダニとの出会い/ハダニの観察と遺伝子解析の日々/幼少期~富山の田舎町で過ごした生物観察の日々/プラモにハマり、通信簿は1!?/高校は山岳部で“ひねくれた優等生”/『ジョーズ』に感激! 映画監督を志す/もしかしたらレンタルビデオ屋の店長になっていた!?/総合化学メーカーで農薬開発に携わる/科学者がやってはならないこと/大手メーカーのシャンプーで背骨が曲がる!?/研究者はすべからく論文を書くべし/黒ずくめファッションの理由とは!?/テレビ出演によって、環境問題への間口を広げる
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
テレビでのビジュアルが衝撃的過ぎて、その解説がなかなかすんなり頭に入ってこないというSNSでのコメント多数。カリスマ的な先生の生い立ちを知る一冊。こんな先生が身近にいたら、きっとみんな生物学に興味が湧くと思う。生き物ぞっこんのオタクではなく、人が好きだというところに好感が持てる。
Posted by ブクログ
面白いが、誰に向けた本なのかよくわからなかった。
基礎的なことも簡単な言葉で丁寧に説明されているためはじめは子ども向けかと思ったが、たとえが古すぎるし時事ニュースは当然知っている前提で違和感があった。耳障りのいい言い方が多く価値観が固定される懸念もある。
生物学を全く知らない大人向けとしても偏った情報が多くこの本だけで完結すべきではない。口述筆記がもとになっているということで、まるで居酒屋で雑談しているように感じた。
だが、最終章を読んでそれも「環境問題への間口を広げるため」という信念があってのことだと納得した。
くしくもコロナ禍を予言した形になっているのも興味深い。
Posted by ブクログ
大学の研究室の先輩の五箇さんの本。
と言っても在学期間はかぶってないけど。でも自分が学生の時もちょくちょく顔見せてくださった。
この本の最終章で知ったのだけど、博士号取って国立環境研究所に移られた直後くらいかな。
生物学そのものよりヒトに興味がある、という言説には納得。
自分にとっては割と共感できる、というか半ば当たり前の感覚のことが綴られていたけど、一般向けの書籍としてはいいんじゃないかと思う。
進化に対する説明は比喩を使いつつも誤読がないように注釈を入れてて、実はかなり気を使ってるように感じた。
Posted by ブクログ
以前五箇さんが講演されているウェビナーを聞き、五箇さんやその人となりを知って非常にバラエティに富んだ方だな強烈を印象を抱いていたおり、その後本書をたまたま見かけたので手にとってみました。ウェビナーで主張されていた内容と結構重複している部分もありましたが、話の展開は明瞭で分かりやすく、かつきちんとデータの裏付けをもって論拠を示されているのはよかったです。
新型コロナウイルスについても言及されていて、今回のウイルスは地球に増えすぎた人を減らすために発生したという主張には強く同意したいと思います。人のような地球の資源を無尽蔵に収奪している生き物がここまで増えるという現象は本来自然界にあってはならないものです。
これまでの生活を改めるのは当然ですが、イギリスの緑の党などが主張しているような特に先進国における人口抑制政策も本格的に議論をした方が良いのではないかと感じます。
先進国と呼ばれる地域では人が減少しているのを悲観的に描くことが多いですが、むしろ非動物な生活を送っている今日の人間に対する人間の中に残された本能などが起こす防御的反応だと思うのは私だけでしょうか。
Posted by ブクログ
外来種のくだりで、生物多様性の保全についての記載があるが、色々な人たちのエゴで生物多様性という概念が形成されているというのは、ホントそれって感じ。
人間本位の考えであることを前提にするしかないが、地域性にもとめるというのは腹落ちする理解だと思った。