【感想・ネタバレ】東大出てもバカはバカのレビュー

あらすじ

・元・受験秀才が世の中を騒がし、なお開き直るケースが相次いでいる。なぜこうした逸材(?)が続々と現れるのか。

・偏向し極論や暴言を吐く高学歴エリートは、是々非々でものごとを判断できず、イデオロギー的な物差しを当てることしかしない特徴がある。不勉強と知的怠慢の証左だろう。

・その出発点にあるのが、難関試験に合格したとたんに「自分は選ばれた」、すなわちエリートへの特急券を授けられたとしか考えられなくなり、すべて選んだ側の責任であるかのように錯覚する思考パターンなのだ。

・「わたしは受験馬鹿から、作家になって、ようやく世間なみの知性を取り戻せた気分でいる」(本文より)

・自身も「受験馬鹿だった」と語る東大理Ⅱ・慶大医現役合格の著者が、"選ばれた者"という勘違いのためになかなか治らない「上から目線」の幻想を解体する。

・「一流大学に入っただけでは、使い物にならない。(丸暗記中心の)受験で失ったものを、取り戻し、矯(た)め直さなければならない」「世知を身につけ、分析力、発想力をみがき、人間力を備えなければ、世間なみの常識すらこと欠く」「分析力を持ち、創造力に秀でた人材を登用し、異能者を認めるためには、選抜法に工夫が必要になるが、それが欠けている。あるいは、新しい選考法の芽を摘んでしまっている」(本文より)

・虚名だけが先行して、ぬるま湯状態のままの日本の大学は、教育水準で国際的に大きく立ち遅れてしまった。「現在のような丸暗記中心の選抜法に頼る限り、日本の未来は消滅する」(本文より)

・受験改革を政争の具とする前に、考えておかねばならない本質的な議論を提起する。

(本書で論評される方々・敬称略)

大村秀章

古賀茂明

志位和夫

白川方明

玉木雄一郎

豊田真由子

初鹿明博

鳩山由紀夫

福島瑞穂

福田淳一

前川喜平

丸山穂高

山尾志桜里

米山隆一

和田春樹 ほか

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

よくこんな馬鹿ばかり集めたもんだ。

つか、最終章は日本の教育の弊害も論じてるわけだが、要は、東大卒は、暗記学習たる受験戦争の覇者であって、それ以上ではない。
大学に入ったのではなくて入らせてもらった人たちで、そこで醸成されるのは不要なエリート意識。鼻持ちならない。
んで、応用の効かない過去の知識。

ただ、東大生がいいポジにいるから目立つだけで、もちろん、京大も阪大も一橋も、みんな一緒だろう。

当たり前だが、大活躍してくれた人たちもいるわけだが。

もう一つ言えば、いわんや、それ以下の大学に、進学する目的だけで言った奴らの質。

ただね、本当の天才がそういう仕事をしないというだけで、東大クイズ番組とか見てると、本当の才能もあると思うよ。

それを活かせてない社会が問題なのだと思う。

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2020年12月15日

Posted by ブクログ

SF小説でデビューした著者が、自分の人生を自虐的に振り返りつつ、そこから感得した受験制度の弊害を、東大を卒業した著名人を批判の対象に取り上げて展開している。著者自身が、兄の病を契機として、生家の医業を引き継ぐ決意のもと、東大と慶応に合格、慶応に進むが、兄の復活とともに、医学への道からはずれ、受験のための勉強から解放されたことを知り、本当の意味での学問に目覚めた人生を歩む。他人を批判する前半は毒がある論調で賛否が分かれるが、自分自身を振り返る後半は、素直に読み進められる。今日の世相への痛烈な問い掛けが読み取れる。

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2020年12月17日

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