あらすじ
現在においても公認文化から排斥され、深層に抑圧された無意識的な概念の表出する舞台であるオカルティズム。それは近代ヨーロッパにおいて社会ダーヴィニズムと接合し、とりわけナチ・ドイツにおいて、フェルキッシュな人種論として先鋭化、ついには純粋アーリア=ゲルマン人種のホムンクルスを造らんとする計画が「生命の泉」で実行に移されようとするまでに至る。その全体と本質を初めて明らかにした幻の名著がついに増補再刊。
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Posted by ブクログ
すごい。
普段から自分の抱いてる内的感覚とオカルトや神秘主義等との距離が非常に近いことに気づかされた。自分とかけ離れ、突飛でバカバカしいという見方を持っていた世界も、一枚皮を剥がしその内側を分析するなり、予想外の真実に触れられる。
著者のリサーチ力に大きな拍手を送りたい。
Posted by ブクログ
いまだ類書は未見の増補再刊納得な永く読み継がれるべき書物。
不潔で不快だが魅惑的で心惹かれずにいられない秘教的人種主義の薄暗い系譜とナチズム生成へと至る裏面史を活写。
稗史が正史を侵食し悪夢が現実を食い潰しゆく様がボクの歪んだ嗜好性癖を刺激する(^_^;)
トゥーレ協会やアーネンエルベについて詳述する箇所は必見と思う。
Posted by ブクログ
狂気とは決して現実の対立項ではないっていう話。
オカルティズム全般が完全にネガティブな物ではないとはいえ、優生思想や社会ダーウィニズムやフェルキッシュオカルティズムに繋がっていく可能性があるので、オカルト系の取り扱いには充分注意が必要だなー、と。
『ドイツで起こった異常な事態は、一部の狂人の責任に帰せられるものでは決してなく、人間精神に内在する抑圧されてきた欲望と恐怖の噴出に他ならないことは銘記せねばならない。』
『オカルティズムとは公認文化から排斥され深層に抑圧された概念、思想、世界観の表出する舞台であり、敢えて粗雑な言い方をするなら、公認文化を意識とすれば、オカルティズムは無意識なのだ。』