【感想・ネタバレ】ポストコロナの資本主義 挑戦される国家・企業・通貨のレビュー

あらすじ

●巨大な政府資金は自由主義のコストだ
新型コロナウイルスの蔓延は、世界の風景を一変させた。街からは人が消え、経済は急激に冷え込んだ。各国は巨大な財政支出でこれを再び浮揚させようと四苦八苦している。
現在の自由主義は、19世紀に確立した。フランスや米国は血と汗と涙で自由を獲得し、株式会社制度・中央銀行制度が確立したのもこのころだ。自由主義の発展で中間層の生活水準は押し上げられ、度重なる不況も政府資金によって乗り越えることができたことで、自由主義は最高のシステムとして認識されてきた。
ただ、今回の不況期では、巨額な財政支出が見込まれ、自由主義の存亡が問われている。本書は、10年先の国家・企業・通貨の関係を展望することがテーマになる。

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Posted by ブクログ

コロナがもたらした資本主義の変化を色々な面から説明された本。

色々と感じる点が多かったが、とある物事が発生した時に、どのような影響があるのか?
通常思いつく領域だけではなく、その更に外側の領域にまで思いを巡らし、
先手管理をする重要性を感じた内容。

想定される未来がいつ来るのか?
それは誰にも分らないが、こうしたコロナのような大きなインパクトのある事態があった際に、
一気に進む(現実に近づく)ことも今回誰もが理解できた点。
いつそうなっても良いように準備すること、また想定してうごくこと、この重要性がよく理解できた。

とは言え、総じて難しい内容であった。

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2021年10月09日

Posted by ブクログ

今、世界中が新型コロナに怯おびえている。このウイルスは、国や社会のありようを変えるのか?経済、デジタル技術、グローバリズムなど多角的な視点から、コロナ後の世界を見通す書籍。

今回のコロナ禍では、多くの国で「接触追跡システム」のスマホアプリが導入された。
・アプリはプライバシー侵害に配慮し、個人情報が特定されない仕様になっている。だが、その動作条件はグーグルとアップルが定めており、両社が強大な力を持つ恐れがある。
・このアプリのシステムは、取り入れ方次第では、民主主義の脅威になりうる。追跡者を「感染者」ではなく、「反政府活動参加疑惑者」に変更することも可能だからである。

コロナ禍で、ズーム(Zoom)など、多数の人がコミュニケーションをとる「仮想集会プラットホーム」の利用が増えている。
・多くの職場で、社内や取引先との打ち合わせを仮想集会プラットホームで行っている。それは今後、企業と企業、企業と金融機関などの関係を、根底から変えるかもしれない。
・仮想集会プラットホームによる「人のつながり」は、国境を越える。そのため、人々に国家体制への帰属を義務付け、反体制派の監視を行うことで国家を維持している国では、仮想集会プラットホームは不都合なものとなる。

感染症への恐怖は、グローバリズムを一時的に止める。特に季節労働者や貧しい移民の移動が阻まれる。すると、安価な労働力に頼ってきた先進国(北の国)では、単純労働の単価が上がり、製造業などの作業拠点の国外への移動が進む可能性がある。
日本のような「北の国」については、低賃金の労働者たちの間での格差は縮小する可能性がある。海外から流れ込む競争者の減少によって、就労条件が若干の改善を見るだろうからだ。
一方、「割を食う」のは、中間層である。彼らの就労条件には改善する理由はなく、しかも経済停滞の影響を最も手ひどく受けるからだ。

コロナ禍で、世界政治における協調は失われつつある。
感染症対策を巡って世界が分裂する、「感染症対策ブロック」とも言うべき現象が出現するおそれがある。

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2021年10月09日

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