あらすじ
【内容紹介】
緊急出版!2020年、歴史の転換点が到来する――。
新型コロナショックで世界各国の政府・中央銀行が行った「野放図な資金供給(モラルハザード経済)」がマーケットを破壊する。戦後世界を支配した「米国錬金術」が終わり、基軸通貨としてのドルの価値は大きく低下、「現金がゴミになる」時代がやってくる。
常識が通用しない「今」を生き抜くために、あなたは何ができるのか? 株・債券・通貨のトリプルバブル崩壊に備え、世界の富裕層が密かに進める資産ポートフォリオ再構築の方法とは?
金1トロイオンス=2000ドルの「非常識な未来」を読み解く、コモディティ・ストラテジストの警句!
【著者紹介】
江守 哲(えもり・てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。
1990年慶應義塾大学を卒業後、住友商事株式会社に入社。1996年に現欧州住友商事ロンドン駐在。1997年に世界最大のメタルトレーダーのMetallgesellschaft(現JPモルガン)ロンドン本社に移籍。世界30カ国を訪問し、ビジネスを拡大した。2000年に三井物産子会社に移籍し、「日本初のコモディティ・ストラテジスト」に就任。2000年代の原油高を世界でいち早く予測した。2007年にアストマックス株式会社に移籍し、運用部長兼チーフファンドマネージャーに就任。2008年に「日本初のコモディティ・マクロヘッジファンド」を立ち上げ、原油の空売りでリターンを上げた。2015年にエモリキャピタルマネジメント株式会社を設立し、代表取締役に就任。株式・債券・為替・コモディティ市場で自己資金運用を行う傍ら、「EMORI CLUB」を主宰し、メディア出演・寄稿・メルマガ配信・講演を行う。
著書には『LME(ロンドン金属取引所)入門』(総合法令出版、1999年)、『米国株は3倍になる! 』(ビジネス社、2017年)、共著書には『コモディティ市場と投資戦略』(勁草書房、2014年)がある。
【目次抜粋】
プロローグ 歴史の転換点が到来する
第1章 金(ゴールド)を買え
第2章 コモディティから米中の未来を読む
第3章 アフターコロナの世界を生き抜く
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
気になってたエネルギー(主に原油)についても書かれていて良い。
各国の政策や態度がどう経済に影響するかという話が多い。
金を買う根拠を淡々と並べるのではなく、各国の金の保有率増加と金の歴史的価値のみ確認し、世界を取り巻く状況を解説し予想した本
暴落が来た時、市場は復活するのかしないのか、資本主義を維持しつつイノベーションが起こるなら、まだ株式に希望はありそう。
金に対して価値が円は唯一上がっているのは意外だった。
とりあえず金を保有することが必須になることは確信した。
Posted by ブクログ
ラジオNIKKEI やら何やらの投資番組でよく名前を聞く江守哲 2020年の著作、コロナ禍にともなう株式市場の大暴落が大幅な金融緩和によって一段落して、米大統領選を目前に控えた頃の出版。コンドラチェフ・サイクルを論拠にオランダ、英国、米国と移り変わってきた覇権が中国に移る(可能性が高い)とともに、基軸通貨としてのドルはその価値を失うだろうと予測する。「通貨は所詮、国家の信用だけが頼りの紙きれに過ぎないから、資産の一部は金で持っておけ」というのが主張なのだが、それを言ったら金を有りがたがっているのも、単なる幻想ではないのかという気もする。
金投資も少し勉強してみようとは思うのだが、ドルが紙屑になるほど金融システムが混乱している時に、CFDやら金価格連動ETFやらがまともに機能するとも思えないので、破綻のときに供えるなら金地金か…。
Posted by ブクログ
令和2年の一年間でピーク時からは下がりましたが、ゴールドの価格がグラムで1000円程度上昇しています。個別銘柄の株式投資は30年続けてきましたが、しなかったら無駄遣いしていたことを考えると勉強になった程度です。
一方で、同じ期間続けてきたゴールドの方は、やり続けていて良かったと思えます。ゴールドの価値は本当は変わらないはずなので、私が使っている通貨の価値が落ちているからだと思います。今年、来年と政府はコロナ対策で多くの国債を発行するので来年もこの傾向が続くのだと思います。
この本には著者が資産対策として最もお勧めするのが「金を買うこと」であることを解説しています。来年以降も、貯金=ゴールドを余裕資金で継続していきたいですね。
以下は気になったポイントです。
・東インド会社は、スペインに海洋貿易で対抗するために、1602ねんに複数の商社をまとめてオランダが作った世界初の株式会社とされている。この仕組みによりオランダは劇的な経済成長を遂げた、株式市場の設立によって多くの事業が可能になり覇権国家となった、オランダが世界中で船を使って大規模な侵略行為を行ったことでオランダ通貨ギルダーが世界初の基軸通貨となった(p52)
・オランダの負債が徐々に増加、貧富の格差が拡大、政治的対立が発生したことが繁栄の終わりに繋がった、軍事力の低下も痛手だった。その間に力をつけたのが英国である。最初は軍事協定をしていたが、海洋貿易での対立が続いたことや軍事力が強大になってきた。第四次英蘭戦争(1780)で英国とオランダの地位は逆転して英国が経済面・軍事面で覇権国として君臨した。オランダと英国の関係が、現在の米国と中国の関係に重なって見えなくもない(p53)
・ナポレオン戦争の戦後秩序を構築するため戦勝国がウィーン会議(1814)を開催した、そこで英国の通貨ポンドが基軸通貨になることが決まり、大英帝国の繁栄が始まった(p55)
・1974年には米国は財政赤字を賄うために、キッシンジャー国務長官と共にサウジアラビアを訪問した、原油をドル建て決済で安定的に供給すること、米国は安全保障を提供する協定(ワシントン・リヤド密約)を結び、オイルダラーを確立することでドル防衛に成功した(p88)
・金のみならず、円も今後は貴重な資産になるだろう。主要通貨の中でこの50年、金に対して価値が上昇しているのは円のみ(p100)
・今後の資産ポートフォリオを組む場合には、株式・金・円を3分割して保有する配分で良いだろう(p101)
・現在世界最大の金生産国は中国である、中国政府は国内で生産された金を国外に出すことなく、国内消費する一方で、国家資産として海外から金を買い入れている(p146)
・2020年6月になって、標準化機構における標準の修正や開発に寄与する場合、米国内企業が華為や関連企業と特定の技術共有を認めることを修正した、これは米国におけるギブアップ宣言である、この瞬間に世界のデジタル覇権は、米国から中国へ移行した(p174)
・バフェット指数(ウィルシャー5000に採用されている企業の株式時価総額を米国のGDPで割る)によれば、コロナ前は150%を超えていて過去最高の水準であった(p193)
・欧州において、貿易赤字国と貿易黒字国が永遠に続く=南北問題が頻繁に取り沙汰されているが、これは為替調整ができないことによって生じている。この問題を早く解消しないと、ユーロ通貨はいずれ破綻するだろう(p206)
・コロナ危機は以前からあった世界経済の4つの症状をさらに悪化させている、1)生産性の伸び悩み、長引くデフレ状態による長期停滞、2)富める国と貧しい国の危機対応力の格差が拡大、3)基軸通貨として米ドルへの過剰依存が是正される、4)経済ナショナリズムの高まり(p217)
・新型コロナウィルス拡大に対する支援として日本は、EUが主導した40を超える国や機関が合計74億ユーロを拠出する枠組みに、7.6億ユーロの拠出をした、米国は参加していない。米国に追随する日本にしては独自の判断で参加を決めている(p227)
・中国がデジタル人民元を2022年2月までに北京で開催する冬季五輪までに発行する方針(p237)従来のキャッシュレス決済手段では災害時に携帯電話の電波が途絶えると決済自体が麻痺しかねないが、デジタル人民元であれば携帯電話の電源さえあれば災害時にも決済可能となる(p238)
2020年12月28日作成