あらすじ
製缶会社の総務部に勤めつつ、余暇にロックバンドで音楽活動をしている茶谷歩くん。ある日、大株主の実業家の秘書が来社した。音楽をやっている社員に会いたいと訪ねてきた、丸山と名乗る秘書はなぜか、黒白の猫を連れている!? 猫缶を開ける時の、“音楽的な響き”についての話が思わぬ方向にそれ、茶谷はかつて経験した、ヨウムが密室からいなくなった不思議な出来事について説明するはめになったが、嬉々としながら丸山と猫がまるで会話をするようにその謎を解いていき──。新たな仲間を加え、ニャン氏の事件簿、パート3は6編収録だニャ。
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シリーズ第三弾。相変わらず可愛いよニャン氏! 丸山さんも素敵です。そして今回はニャン氏の意外(でもないか……猫だもんね)な弱点がいろいろ判明しちゃうのも読みどころ。心折れちゃったニャン氏にもまた萌えます(笑)。
お気に入りは「見張り台からずっと」。暗号の謎解きがなんとも楽しい一編です。解けた! と一瞬思ったのだけれど。あの一ひねりの部分には気づけませんでした。
「ホスピタル・オディティ」も印象的です。なんとも切ない謎解きになってしまうけれど、茶谷が自力で答えにたどり着いたことに意味があるんですよねこれは。そしてそれに続く茶谷の決断……あーやっぱりそうなっちゃいますか。もったいない気もするけれど、それが一番いいのかもしれません。ちなみにあの歌が気になるんだけれど。楽譜が読めなくて悔しい!
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「ニャン氏」第3弾はまさかの?バンドを巡る人間ドラマで、心なしかニャン氏の影が薄い気すらするが、まあそれはそれで。
各章のタイトルが洋ロックのスタンダード曲のもじりになっているのが、楽しい。
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シリーズ3冊の中では一番おもしろいと感じた。
以前登場した人物が出てきたりしたのもよかった。
ニャン氏の財団に入ってくれる人は現れるのかニャ?
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シリーズ3作目。
2作目を読んでから久しぶりにシリーズを読んだので、最初は設定や前作までを思い出すのに時間がかかりました。
短編連作集ですが、少しその後が気になるような私が読み取れきれなかったのか少し含みがある終わり方もありました。
ニャン氏(と丸山氏)に関わって成長していく茶谷君、前回登場の田宮さんとのコラボもあって楽しめました。
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ニャン氏、お久しぶり♪
今回は茶谷くんに目をつけたかw
ときどきまじる丸山氏の「にゃ」はさておき。通訳できるほどに猫語が分かるのは羨ましいぞ。
サラリーマンをしながらバンド活動もしている茶谷。
ニャン氏と丸山氏の関係をスムーズに受入れてる柔軟さがナイス。
番台って、今は昔ながらとは違っているのかな。
その方が女性としては入りやすい気はする。
あの暗号解読からの展開、とんとん進んで楽しかった。
お、解決だと思ったところから二転三転って好きなのだ。
上司速水の母親の経験したあの話は、不思議でちょっと児童文学みたいだった。
バンドの根上の件は残念。才能ある人だろうにね。
シリーズの続編もあるよね。気長に待っていよう。
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〔茶谷歩〕今回の語り手。製缶会社総務部で働きつつロックバンドもやってる。
〔密室のカナリア〕鳥籠から逃げたカナリア。
〔見張り台からずっと〕銭湯に隠された財宝。母はビスケット缶少女なのか?
〔黄昏のブロック塀〕祖父が外交官だった速水だが、母が少女の頃ある国で隣家に監禁されていた王子一家の塀の上でお尻にハート模様のある白猫が消失した件。
〔猫を見たかい〕ついに出ました「シュレーディンガーの猫」。猫を題材にすると使いたくなる?
〔ホスピタル・オディティ〕前章の翌日、根上の見舞いに行った茶谷と鹿野。
〔アンダー・ヒズ・サム〕茶谷が前作の視点役だった宴と出会う。児童文学の大家の家で失くなった宝石を盗んだと宴の上司、小森が疑われている/茶谷がニャン氏と丸山氏のための曲を作った。
■簡単な単語集
【アロイシャス・ニャン】→ニャン氏
【安野/あんの】広瀬、倉本と同じ教授の指導を受けている院生でモデルのアルバイトをしている。
【池上】大道寺の弁護士。
【石倉】茶谷と同じバンド「スクーターズ」のドラムス。
【宴/うたげ】田宮宴。『童心』の視点役。中堅の出版社「プラタナス書房」編集者。ミーミ・ニャン吉先生の担当となった。
【岡崎】佐田くんのバイト先のドライバー。ぬいぐるみの熊みたいな風貌でおしゃべり。半袖ポロシャツの似合う男選手権で上位に入りそう。ゴージャスで立体的な女性が好き。たぶん『童心』でも宴を金栗庵に届ける運転手として登場。無神経。
【軽い】《何はともあれ、軽いというのはすばらしいことなのである。》事件簿p.11
【川村】村瀬ミナの撮影に参加していた無名の俳優と思われる。極度の猫嫌いのようだ。
【神崎弥生】チャータージェット機の運営会社「ファビュラス・エア」東京準備室室長。
【金栗庵】降谷(ふりたに)家の別荘。
【倉本】立花実佳の婚約者。
【来栖亜紗子/くるす・あさこ】柳瀬薫子さんちでメイドのアルバイトをしていた。表情はあまり変わらないが瞳の輝きとかは変わる。美大の二年。『童心』にもメイド姿を見せた。
【現実離れ】《何しろ、現実離れしているということは、めったにお目にかかれないということであり、それだけ胸踊るということでもある。》事件簿p.221
【小森】宴の上司。編集長。以前ミステリーやSFの部署にいたことがある。部下の名前を言い間違えたり地図を書き間違えたりは日常茶飯事。
【サーシャ】タレント猫。ロシアンブルー。
【財前善行/ざいぜん・よしゆき】大邸宅の主。普通のサラリーマンに見える。
【向坂和也/さきさか・かずや】作家。宴が原稿を取りに行ったがその途中で奇妙な出来事と遭遇した。
【佐多俊英/さた・としひで】『事件簿』の視点役。大学生で休学中。家電配送のアルバイトをしている。母方の祖父は大企業の創業者。
【鹿野】茶谷と同じバンド「スクーターズ」のベース。三歳ほど年上。通称「ユヤ」なのは実家が銭湯だから。
【島村】古書店主。小森と似た雰囲気。
【ジャン・ガルジャン】薮内が飼っているハムスター。気性が荒く餌をくれる家政婦にしか懐いていない。
【惇子/じゅんこ】猫目院修造の姪。亡くなった兄の娘。ゴージャスで立体的なすごい美女。
【城之内】亡くなった女性経営者。大道寺をしてやり方が汚いと言わしめた。
【菅井】高原リゾートホテルに毎夏滞在する男性。
【大道寺修/だいどうじ・おさむ】大富豪。佐多の母方の祖父。そのことが皆にバレたのが大学に行けなくなった理由でもある。
【立花実佳/たちばな・みか】かつて佐多とつきあっていた女子学生。かわいい。
【田宮宴/たみや・うたげ】→宴
【茶谷歩/ちょたに・あゆむ】『憂鬱』の語り手。製缶会社総務部で働きつつアマチュアロックバンド「スクーターズ」のメンバーでもある二十四歳男性。
【月野玲子】亡くなった作家。本名星礼子。甥は政治家の星幸輔。
【寺川】広瀬、倉本と同じ教授の指導を受けている院生。生真面目な委員長タイプ。
【仁木】高原リゾートホテルの喫茶店のウエイトレス。若く見えるがそこそこの年齢で既婚者。
【西谷】宴の担当する作家。抜いた親知らずがとても痛い。《歯のあった空洞が痛いの。わたしという存在の中心がこの空洞なんじゃないか、とさえ思えてくるくらいに》童心p.52。おお…純文学かホラーのような表現や。その次には坂道で転んで脚を骨折し再び宴に代理取材を依頼した。
【ニャン氏】実業家。フルネームはアロイシャス・ニャン。タキシードをまとったようなハチワレ猫。ペパーミントグリーンの瞳。「ミーミ・ニャン吉」の名前で童話も執筆している。
【根上】茶谷と同じバンド「スクーターズ」のリーダーでボーカル兼ギター。かつては「海辺のマネキン」というバンドでマニアックなファンを得ていた。
【猫目院家】平安時代に都で地震があったとき逃げ出した中宮の猫をなんとなくで見つけ出した怠け者を開祖とする。オッドアイだったらしい。
【猫目院修造/ねこめいん・しゅうぞう】古い館の主。ノートパソコンを注文した。亡くなった父親はニャン氏と面識があった。
【猫目院養造/ようぞう】猫目院修造の双子の弟であごひげを伸ばしている。オッドアイ。
【速水】茶谷の上司。年上だがわりと美人。能力は高く、ちょっとブラック気味のとこも?
【広瀬】立花実佳のいとこ。
【深沢】柳瀬薫子さんの叔父。現在の柳瀬家で殺された。
【降谷/ふりたに】大金持ち。金栗庵の持ち主。娘は市子、仁湖(にこ)、未以子(みいこ)で降谷家の美人三姉妹と呼ばれているらしい。栗好き。
【星幸輔】若手政治家。作家の月野玲子は叔母。
【洞口】茶谷たちが練習しているスタジオのオーナー。母親よりも若いかもしれないという年配だがチャーミングではあり上品なマダムといった風情。昔は革ジャンを身に着けドゥカティを駆っていたらしい。
【丸山】柳瀬家で休ませてくれと言ってきた実業家の秘書兼運転手。兼通訳。四十くらいの痩せた男で顔立ちもたたずまいも見苦しくないが長めの髪が妙にうさんくさい。
【ミーミ・ニャン吉】→ニャン氏
【村瀬ミナ】人気モデル。
【柳瀬薫子/やなせ・かおるこ】七十歳くらいの上品な女性。
【薮内孫六】児童文学の大家。ミーミ・ニャン吉の新刊をクソミソにけなしたことがあり、ニャン氏はいたってご機嫌斜め。ジャン・ガルジャンという名のハムスターを飼っている。
【理念】ニャン氏の理念は《みずからの幸福と快適を最大限に追求しつつ、その過程における他者の幸福と快適の侵害を最小限にとどめる》事件簿p.213。
【ロック】茶谷《そうですね、「常識を揺さぶる」というか》憂鬱p.22
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シリーズ第三弾。
今回は製缶会社に勤める傍らバンド活動をしている茶谷くんを主人公にお送りする、連作六話の謎解き譚です。
茶谷くんが勤務する会社の大株主である、“実業家”のニャン氏&秘書兼通訳の丸山さんが、ひょんな事から学生時代に茶谷くんが経験した、“密室からのヨウム(オウムじゃなくて)失踪の謎”を解いたことをきっかけに、茶谷くんの行く先々で謎に遭遇するたびにニャン氏&丸山さんがどこからともなく現れて、解決に一肌脱ぐというお約束の流れです。
実業家で名探偵でもある“スーパーニャンコ”のニャン氏ですが、この巻では水や大きな音が苦手という“猫らしい”一面も見せてくれています。
様々な謎解きを楽しめるのは勿論、茶谷くんの成長も見どころで、バンド仲間との切ない決断が絡む第五話「ホスピタル・オディティ」や、シリーズ2作目の主役・田宮さんが登場する第六話「アンダー・ヒズ・サム」では、実質茶谷くんが謎を解いていました(ちょっとだけニャン氏というか丸山さんにヒントを貰っていましたが)。
そして、ニャン氏が見込んだ(?)若者(今回は茶谷くん)に財団へヘッドハンティングするも、断られてしまうというのも毎度おなじみの展開です。
いつか、ニャン氏の財団へ来てくれる有望な若者は現れるのでしょうか・・・なお、第四話「猫を見たかい」で登場するメイド姿の女の子は、1作目から何気に出ている来栖さんかと思われますので、いっそのこと彼女を勧誘してみては?と思った次第です。
ラストでは茶谷くんがバンドマンらしくニャン氏と丸山さんに曲をプレゼントしていまして、楽譜付きで巻末に載っているのが面白かったです。
因みに曲名は「猫だから」&「丸山氏のバラード」でございます♪
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シリーズ3作目
今回の主人公は製缶会社で働くバンドマンの茶谷くん
今回も収録は6編
逃げ出したヨウムと聞こえてきた歌声
銭湯で見つかった掛け軸の暗号
軟禁されていた王子の外部との連絡方法
音楽スタジオでの消えた利用履歴ノート
江戸時代でも本当に喜んでいたのか?前話の真相
ハムスター失踪・宝石盗難事件
物騒な真相もあったりするけど、日常の謎の傾向が強くなった
銭湯の暗号の話なんかは終盤の二転三転する展開はよかった
さらに、真相に関してはほのめかしで終わってるあたりも結構好みかも
前作での田宮さん、小森さんも登場したりと、シリーズを通した交流もちょっと
今回も同じような終わり方だけど。さらなる続編は出るのか?