あらすじ
1953年のテレビ放送開始は、政治家とメディアの関係を大きく変えた。政治家たちは出演してPRに努める一方、時に圧力をかけ、報道に影響を与えようとする。佐藤栄作政権で相次いだ放送介入、田中角栄が利用した放送免許、「ニュースステーション」の革命、小泉フィーバー、尖閣ビデオ流出事件、そして橋下徹のツイッター活用術まで、戦後政治史をたどり、政治家と国民とのコミュニケーションのあり方を問い直す。
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Posted by ブクログ
権力者がテレビをどう利用してきたか、テレビにどう利用されるようになったか。権力者→メディアだけではなく、メディア→権力者、といった双方向性、時代によるコミュニケーションの変化を意識していて良い。通史と言うには粗末なところはあるが、ここでされているような議論(政治パフォーマンス、広報の時代史)が精緻化されていくともっと面白くなる気がする。社会背景をもっと分析してもよかった。
Posted by ブクログ
戦後のテレビ放送開始をテコに、政治家とメディアの関係を過不足なく綴っている。淡々とした語り口に好感。新聞やテレビ、そしてネットには、それぞれの長短があって、如何に政治家と政党が乗り越えようとしてきたのかが、概観できる。
Posted by ブクログ
約60年間の政治とマスメディアの関係を詳細に分析した労作。
マスメディアを制するものは政治を制す。まさに政治コミュニケーション。
でも、ポジティヴ・ネガティヴな「統制」にも着目してね。最近ではSNSを使った「牽制」もやっているんだとか…
最後に著者は言う、「政治と国民をつなぐメディアである政党を、どのように創造できるか」と。
なるほど…(`_´)ゞ
Posted by ブクログ
戦後政治とメディア、特にテレビとの関係史。政府や政治家らのテレビ利用と統制、テレビの政治報道と政治構造の相互関係の変化がわかる。特にマスメディアとのコミュニケーションが政権の興廃を左右する要因となり、政治言論が政治家の「瞬間芸」に矮小化していく過程が実証的に明示されている。現在、安倍政権・自民党による言論弾圧、メディア統制が問題になっているが、それは安倍政権特殊の一過性の問題ではなく、戦後政治の初めから一貫して存在していたことが確認できる(放送免許取り上げや広告引き上げを盾にした恫喝は55年体制期から横行していた)。現在のポピュリズム状況の歴史的経緯を考える上で基礎的な文献であろう。