【感想・ネタバレ】年月のあしおと(上)のレビュー

あらすじ

明治・大正・昭和の文学的追想。ことに大正から昭和の時代風俗、文壇の裏面史をぎっしりと埋め込み、芥川龍之介をはじめ同時代の作家の風貌をいきいきと捉えた、自伝的文壇回想録。正篇を上下二巻に編集、上巻には大正4年終生の友人・宇野浩二との親交を深めた三保松原の旅行、父・柳浪が病気療養のため東京から知多半島師崎に転ずる前後までを収録。野間文芸賞、毎日出版文化賞受賞作品。<上下巻>

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Posted by ブクログ

ゲーム『文豪とアルケミスト』に登場するキャラクターが結構好きだったので読んでみた。広津和郎自身の人生や文壇での出来事を振り返る回顧録。
この上巻では子供の頃に住んでいた場所や、そこでの出来事、小学校〜大学までで出会った人々の話が中心。本当にキャラクターが好きなだけで読んだので、東京の人だったのか……とまずそこで驚く。牛込、神楽坂、江戸川橋などの早稲田周辺の地名がたくさん出て来て、通っていた高校がその辺りだったのでちょっと嬉しくなる。今とは全然様子が違うだろうけど。
父・柳浪の他、文アルでも交流のある文豪たちの名前や、ゲーム上で色濃く反映されているウッカリ気質についてもちょっと出て来て、本当だったんだな、となった。割と序盤に、広津に関する古いゴシップを鵜呑みにして飲み屋で触れ回る芥川龍之介のエピソードがあって笑った。
最後の方に出て来た半年の新聞社時代の話も、ちょっとスカッとする要素があって面白い。その後の朋友であった宇野浩二との三保松原への旅行(と言うか今で言うところのワーケーション的なもの)からラストの宇野の家に厄介になる過程はなんだか爽やかさがあってニコッとなった。

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2023年05月15日

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