あらすじ
私には、殺したいほど憎い男がいる! 夫の暴力に苦しむ女が、ふとしたきっかけで拳銃を手に入れた時……夫の陰湿な暴力に耐え切れず、由布子は家を出た。偶然に手に入れた拳銃が、御守りだった。スミス&ウエッソン――かつて愛した男の憧れの拳銃。逃避行には、ジムのインストラクター・逸美が同行した。彼女にも「殺してやりたいほど憎い男」がいた。出会うはずのなかった女2人と男の人生が絡みあう、愛のミステリー! ドメスティック・スリラー!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
【2006.07.28.Fri】
夫の暴力に耐え切れず、由布子は家を出る。手にあるのは偶然手に入れた拳銃。逃避行にはジムのインストラクター逸美が同行することになる。2人はそれぞれ心の奥底にうごめく衝動を抱え、拳銃の力に魅せられる。また学生時代由布子と付き合っていた良介。かれは警察音楽隊に属していた。人の心にはどうしてもぬぐえない矛盾が少なからず存在しているのであろう。恨みや後悔、そして今の自分。口で説明することは出来ても、果たしてそれが真実なのか。そんな人の暗い深層心理を描き出しつつも、時に流れてくるクラリネットの音色。この小説は音楽で人々を優しく包んでくれる。音楽に触れたとき感じるものは、ただそれだけで真摯なものになり得る。そういうことだろう。