あらすじ
新型コロナ感染拡大の前に書かれた、新鋭による問題作。
鳥の不審死から始まった新型感染症流行の噂。
その渦中に首都庁に勤めるKは巻き込まれていく……。
組織の論理と不条理、怖れと善意の暴走を生々しく描く傑作。
組織の内部を描くという点で、物凄い洞察力を持った作家だ。
――亀山郁夫
コロナがこうなる前に書かれているというのに凄みを感じる。
――安藤礼二
まったく、なんだってあんな根拠のないものにそうすぐ振り回されてしまうのだろう。
それとも本当に、ただ自分のあずかり知らぬところで未知の病気が広まりつつあるのではないか、とも考えてみたが、やはり実感は湧かない。
家々から漏れる灯りがそこここに生活が在ることを教えてくれる。言い知れぬ不安が、影のように自分のあとを追ってきている気がした。 ――本書より
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Posted by ブクログ
⚫︎受け取ったメッセージ
わからないものに対する畏怖が
人々のパニックを作り出す
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
新型コロナ感染拡大の前に書かれた、新鋭による問題作。
鳥の不審死から始まった新型感染症流行の噂。
その渦中に首都庁に勤めるKは巻き込まれていく……。
組織の論理と不条理、怖れと善意の暴走を生々しく描く傑作。
組織の内部を描くという点で、物凄い洞察力を持った作家だ。
――亀山郁夫
コロナがこうなる前に書かれているというのに凄みを感じる。
――安藤礼二
まったく、なんだってあんな根拠のないものにそうすぐ振り回されてしまうのだろう。
それとも本当に、ただ自分のあずかり知らぬところで未知の病気が広まりつつあるのではないか、とも考えてみたが、やはり実感は湧かない。
家々から漏れる灯りがそこここに生活が在ることを教えてくれる。言い知れぬ不安が、影のように自分のあとを追ってきている気がした。 ――本書より
⚫︎感想
コロナ禍を経験する前に書かれた本書。
コロナ禍を経験したから、あり得る、わかると思いながら読める。が、これがコロナを経験しないで読んでいたら、ここまで身にせまって考えることは難しかったのではないだろうか。砂川さんの先見の明に感銘した。今でこそコロナの実態を理解し落ち着いているが、コロナが流行り始めた頃、買い占めや、マスク不足、罹患した人への差別など、人はわからないものに対して過剰に反応するものだということはよく覚えている。それに対して、政府の対応はどうだったか?奇しくも、この物語を証明するのが、コロナ禍だ。