あらすじ
韓国で出版拒否された禁断の書!
人間が人間の排せつ物を食べる、人肉商売、無辜の民が処刑され、凌辱され、奴隷になる社会…
「あるのは、底なしの絶望。」
脱北者の逃れられない地獄を脱北経験のある著者自身が“小説"として上梓。
韓国で文学賞を受賞した著者が鬼気迫る筆致で悲惨すぎる境遇を描き出す。
北朝鮮の元高官だったが、失脚し地方に左遷された主人公・チュンシク。
人間が人間を食すという鳥肌が立つような北朝鮮の現状に幻滅したチュンシクは脱北を決意する。
ところがたどり着いた中国でも苦難を味わい、ついに行き着いた韓国で突き付けられたのは“強制送還"という非情すぎる決定だった……。
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Posted by ブクログ
北朝鮮の人権侵害度合は別格だと痛感した…。
訳者解説にも考えさせられる所が多かった。ムンジェインの対応も事実だとすれば酷いし、事実でないとしてもだからといって発禁はおかしい。
リベラル自認で韓国好きの自分としては、急所をつかれた思い。
Posted by ブクログ
北朝鮮の独裁体制については上辺のことしか知らなかったが、本当に恐ろしいと言うか、想像を絶するものだった。
本作がフィクションである事を祈るが、あとがき等からかなり現実に近いと言う事で、なんとも言えない読後感。
脱北後、中国から韓国へと部隊は移っていくがどこでも北朝鮮出身者と言うことを隠しても食い物にしようとする輩が存在する。
そんな危機を生きたい、守りたいという強い想いが乗り越えさせてくれる。
結果ハッピーエンドなのかはわからないが、どこかでこの異常な状態に終止符を打つ事ができるのだろうか。
金を生み出す事ができる限り難しいのかもしれない。世界中の人々が協力しないと解決しないだろう
Posted by ブクログ
とても迫力のある作品で、ぐいぐいと引き込まれました。
イメージとしては、山崎豊子の小説のように、不条理な社会・制度に虐げられても、なお歯を食いしばって上を向く主人公の闘いを、手に汗を握りながら追いかけるような読書体験でした。
ただ、山崎作品と違うのは、「北朝鮮」という日本で暮らしている私達の生活とはかけ離れた舞台であることや、同一民族でありながらも複雑な関係である韓国の脱北者への対応など、主人公の「努力」だけでは太刀打ちできない「壁」があることでしょうか。
作中で描かれている目を覆いたくなるような苛烈な体験談は、脱北者である著者が実際に見聞きしたことをもとに描かれている、「事実」である、と解説にはあります。決して大団円とは言えないエンディングも含めて、面白いと単純に楽しむだけでは終えることのできない作品でした。