あらすじ
同時代と伝統、日本の古典とシュルレアリスムを架橋して、日本語の新しいイメージを織りなす詩人大岡信(1931― )。のびやかな感受性と、偏ることのない厖大な知を、自由自在に多方面に活動させることで日本語の現代詩に新たな展望を切り拓く詩人のエッセンスを、自選により集成する。全125篇。(解説=三浦雅士)
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Posted by ブクログ
大岡信といえば、昨年(2017年)鬼籍に入った国民的詩人で批評家として知られていますが、私の自宅に程近い調布市に長く住んでいたとのことで、少し親近感を持ちました。
この自選集には、調布という詩も収められています。
「まちに住むというふことは
まちのどこかに好きな所をもつといふこと。
まちのどこかに好きな人がゐるといふこと。
さもなけりゃ、暮らしちゃいけぬ。」(調布 Vより抜粋)
近所に自分の居場所を見つけて、好きな人や親しい人を作るのが、本当の生活、ということでしょうか。別の言い方をすれば、そのまちに親しむ、交わるということでしょう。
詩は、詠み人が何かとの関係性を詠うもの、と思います。
繋がりをふと感ずるとき、詩情が俄かに立ち上がってくるのが詩人なのかもしれません。
この自選集を読むとき、大岡信の感性が、時空を超えて縦横無尽に飛翔していたのが、よくわかります。スケールが大きいのでしょう。