あらすじ
「文学少女」シリーズの野村美月、待望の最新作!
忘れたい人は、いますか。
忘れられたい人は、いますか。
静乃の優しすぎる恋人、誠が突如失踪した。職場に連絡すると彼は一年前に亡くなっているという。では、彼は一体誰だった?
静乃の脳内に存在する、自分のものではない思い出。これは人の記憶が綴られた書物を売買する、うたかた堂の仕業か。記憶に浮かぶ海を、静乃は目指した。冷めた目をした美貌の青年が書物を繙くとき、心に秘めた過去が、秘密が、願いが、解き明かされる!
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Posted by ブクログ
記憶の売買というキャッチーな要素につられて読みました。
短編集です。
おしい。特に最初の話は、わけがわからず、読み進めるのが少し大変でした。話の後になればだんだん、靄は晴れて、関係性とかわかるのですが、それまでが大変でした。
鈍い私だけかもしれませんが、せっかく良いネタなので、話の前提を読者に知ってももらうために、話の順番を入れ替えても良かったかなと思いました。最初の話は再び読めば、良かったです。
Posted by ブクログ
人の記憶を買い取り他人に移植することを生業とする記憶書店うたかた堂。その美貌の主人、現野一夜に持ち込まれた依頼を巡る6篇のお話。
1話目が切ないテイストのストーリーで、一夜も超常的な能力と共に謎めく冷徹な人物として描かれていたので全編そういう感じかと思っていたら2話は結構軽くて、一夜もお茶目な部分もあるキャラになっており(休日の過ごし方、婚活ですか?!)、1話からの2話の雰囲気の変化にちょっと違和感があった。
全ての記憶を他人に移植してしまうと命の危険も伴うって、脳科学観点から見るとちょっと説明がつかなくない?と突っ込みたくなるところも。(せいぜい記憶喪失的廃人になるくらいじゃないの?しかも結局あけるなんて人間一人分の記憶を明け渡すと言ってる割には平気でピンピンしているし)
ただ、そんなツッコミは野暮と割り切れば、物語としては割と面白かったので、人の記憶とか思い出をテーマにした小説を読みたい人にはおすすめです
Posted by ブクログ
あらすじを見る限り、長編なのかなと思っていましたが、全6話の連作短編集でした。
人の記憶の売買を行う記憶書店「うたかた堂」。そのオーナーは、少年っぽい細身の青年。
各話ごとに依頼者が代わり、記憶の書換によって忘れたい人、他の人の記憶を買いたい人など様々な人が登場します。
記憶が書き換えられた先には、感動や希望がまっています。
野村さんの作品は初めてなのですが、文章がきれいで、丁寧に言葉を扱っている印象がありました。
記憶によっては、消したい記憶や上書きしたい記憶など色々あるかと思います。操作することで都合の良い人生を送ることは良いかもしれませんが、それに影響される周りの人達のことを考えると・・・。読んでいてなかなか難しいなと思いました。
話としては、切ない話もあれば、感動した話もあって、色々楽しめました。全体的に心が優しく温かくさせてくれました。
謎めいた青年の正体は、あまり詳細に描かれていないので、わかりませんが、冷酷さやその中から滲み出る優しさは伝わりました。続編があるような感じがあったので、青年の過去も描いて欲しいなと思いました。