あらすじ
現代、パリ。大きな挫折のあと、弁護士のソレーヌはある保護施設で代書人のボランティアをはじめた。「女性会館」というその施設には、暴力や貧困、差別のせいで住居を追われた人々が暮らしている。自分とはまるで異なる境遇にいる居住者たちの思いがけない依頼に、ソレーヌは戸惑った。それでも、一人ひとりと話して、手紙を綴るなかで、ソレーヌと居住者たちの人生は交わっていく。ここで自分の役割を見つけたと思った矢先、事件は起きた。約100年前、パリ。救世軍のブランシュは街中の貧困と闘っていた。路頭に迷うすべての女性と子供が身を寄せられる施設をつくる――彼女の計画は、ついに政治家・財界人も動かしつつあったが……。実在する保護施設と創設者を題材に、時代を超える女性たちの連帯を描く、『三つ編み』の著者による長篇小説。
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Posted by ブクログ
前作の三つ編み同様、複数の物語が進んでいき、両者の関係が深いと後からわかっていくスタイル。実在する女性会館を舞台にしているのも興味深い。物語として普通に面白かった。
パリには女性のホームレスがいる、女児の身体を切り取る風習がまだ続いている地域がアフリカにある、など、色々衝撃的だった。
弱者が生まれてしまう構造を変えることは難しくても、困っている人に手を差し伸べ寄り添うことはできる。具体的な個人を救うことができるなら、それも十分に助けになる。現代版の主人公の奮闘を読んで、そんな感想を抱いた。
Posted by ブクログ
映画のノベライズを読んでいるような、独特な描写が続く一冊。そのため感情移入はしずらく、傍観者という感覚になる。
100年前、貧しい女たちの為に立ち上がり戦い続けた貴族の令嬢と、同じように恵まれた階級に生まれながら貧しい女たちの存在を知らずに生きてきた現代の女性。
2人の物語が交互に語られるが、面白いのは過去の志が現代に引き継がれる構造ではないということ。
現在を生きる恵まれた女であるソレーヌが、ふとした運命の悪戯によってそこから転落し、自らが恵まれていたが故に傲慢であったことに気づく。
そして今まで「貧しい女」「苦労している女」と無意識に一段下に見ていた女性たちと自分に何ら変わりはないのだと気づいて、共に歩むことを決意したその先に、100年前のブランシュの戦いが立ち現れてくる構造なのだ。
私たちの裡にも、過去の誰かの祈りが息づいている。そんな連帯の物語でもあるのだろう。
100年以上前の人の言葉、
「聖女のように育て上げ、繁殖牝馬のように譲り渡す」
「女性の唯一真性で尊い使命は、自分の内面と家族に全てを捧げること」
これらが決して過去のものになっていないこの現実に、忸怩たる思いが募る。
Posted by ブクログ
映画のシナリオ的な文章で読みやすく、映像も浮かぶ。挫折した主人公がこれまで知らなかった世界・人々とのかかわりを通して変わっていく様に、世界の豊かさを見る。職業人としての自分の価値は相対的なものでもあるが、個人の本当の価値はそうではない。主人公が、手編みのニットを値切ろうとした人に怒りを覚えたシーンが印象的だった。怒りは大事にしたいものを守ろうとする感情であり、あのときソレーヌは編み女の手編み服に、大きな価値を見いだしていた。それは、編み女が編んでいた姿を見ていたからであり、編み女を個人的に知っていたから。
世界ではつねにそれぞれの人がそれぞれの仕事をしている。今は嘆き悲しむことしかできない人でさえも。
Posted by ブクログ
『三つ編み』の作者の第2作。
順風満帆の弁護士のソレーヌは仕事の失敗すなわち顧客を破滅に陥らせたことから燃え尽き症候群になり、医師からボランティアを勧められる。様々な職種の中から選んだのは困窮した女性の避難施設の代書人(Écrivain public)。
百年前、当時の女性としては道を外れた生き方を貫き、この施設の設立のために尽力した救世軍の女性・ブランシュ。
一人で住む部屋を得るというのは一度堕ちてしまうと困難を極める。ソレーヌは目の前のたった一人でも救えるのか。
フランスの女性というと、日本では雑誌で特集を組まれるほど憧れの対象であったりするけれど、施設の女性たち社会から爪はじきにされている。日本でもありそうな事情から滅多になさそうな事情まで施設に身を寄せる理由は様々。
「運も実力のうち」ということばがありますが、運がなければ、出自が恵まれていなければ、普通の生活にも辿り着けないという状況には心が痛みます。
「鍵を手にする、それはなんでもないことではない。人生を手にすることだ。」(P229)
フランスの作品ということで読む前は「言い回しが独特かも?」などと思い込んでいましたが、かなり読みやすいです。著者は小説家、映画監督、脚本家、女優、だそうで、確かに端的かつ正確にイメージを伝える文章が特徴的です。
施設設立のブランシュのパートは、歴史的なものはブランシュが体験したこと感じたこと、ブランシュがどうだったかというところが重点的に描かれていて、歴史的事実というより物語のテイストが強く、それもまた読みやすさにつながっていると感じました。
Posted by ブクログ
クライアントの死をきっかけに、堰をきったように抑圧されてきた思いや、恋人との別れ、周囲からのプレッシャーなどに押し潰されそうになる主人公ソレーヌが、女性会館での人々との交流を通して、他人の価値観よりも自分の思いに正直になっていく様子が描かれていた。
物語が終盤にさしかかるにつれて、パラレルに語られてきた女性会館の創設者ブランシュと重なる部分が増えていき、最後にはブランシュが女性たちに手を差し伸べたように、ソレーヌもリリーに手を差し伸べた姿に心を打たれた。
パリという世界が憧れるような素敵な街の片隅で、世界中から集まった貧困や差別と闘いながらお互い支え合って生きていく女性たちが実際にいること、その背景に存在する人々の努力や想いに驚き、感銘を受けた。
Posted by ブクログ
映像化向きの本だなーと少し鼻白んでしまうところはあるけど,すごく良い話だった。三つ編みと同じくすごく好き。
しかし弁護士って,こういう話の主人公にされやすい職業なのかな。
Posted by ブクログ
サルベーションアーミー、前世紀の前半の時代に女性が動ける組織があったことが驚き。平等な使命に生きる結婚があったことが驚き。
みつあみの期待を持たずに読みたかった。
Posted by ブクログ
3にしたけど気持ちは3.5くらい。同じ場所の過去と今が交差する構成は良いしさくっと読めて面白かったけど意外性はなかった。あと、独特の文体がちょっと苦手だった。
映画化したら映えそう。
元カレ家族との遭遇で落ち込むのは万国共通なんだなと思った(特にこちらがシングルで、他のことがうまく行っていない時)。