あらすじ
山に囲まれた閉鎖的な地方都市、椿ヶ丘学園高校の旧校舎本館でその殺人は起きた。
殺されたのは1年生の渋谷唯香。
それは「16年前」に起きた猟奇事件と酷似していた。鈴子という一人の女学生が死んだ事件と……。
現場に集められたのは学園に通う生徒と教師計5人。
誰が「彼女」と「彼女」を殺したのか……?
エブリスタ×竹書房 第1回最恐小説大賞受賞の傑作作ホラーミステリ!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
知人様の御本です。
Web版も拝読していましたが、紙媒体は更に面白さを増しています。
望み、期待するのは人間の性。
己の欲望のために行動するのもまた、人間。
他人の望みを、己の望みのために利用しても。
己の望みのために、自分ではない誰かを利用しても。
己の望みが叶うのであれば────根底に流れるのは、どこまでも純粋で、透明無垢な願い。
少女が作り上げた、ヴンダーカンマー。
絡みゆく人間模様を、あなたも覗いてみませんか。
Posted by ブクログ
最恐小説大賞受賞作。えげつないホラーでありながら、どこかしら悲しみを感じさせられるイヤミスでもあります。
「郷土資料研究会」を立ち上げ、自分の目に適った生徒を集めていた一人の少女。そしてある日、何者かに殺されてしまった彼女。彼女は何のために、その生徒たちを集めていたのか。そして彼女を殺したのは誰なのか。各登場人物の物語が順番に綴られ、すべての意図が明らかになっていくのだけれど。
これは予想以上に酷かった! 筆致は軽妙で読みやすいのだけれど、どこまでも悪辣で醜悪な立場に置かれた登場人物たちの物語があまりに痛い。それをあんな風に利用するというのも卑劣。なのだけれど、彼ら彼女らを繋ぐものが何なのかがわかった時、その残酷さに戦慄させられます。結局のところ、諸悪の根源であるあの人以外はみんな被害者だったと言えるのかもしれません。そして、彼女のささやかともいえる望みが切なくてたまりませんでした。