あらすじ
ちょっとだけ背中をおしてくれる物語。
学校で友だちとケンカしたのをきっかけに登校できなくなった美桜里。
祖母に連れられていった町内会の「手作り市」でカレーのキッチンカーを出していたおじさんと少年に出会う。ユニークな二人と、すっかり意気投合してカレー作りを手伝うことに。この二人も訳ありのようだ。
対人関係では、人との距離感がとても重要だが、いつでも“イーブン”でありたい、そのためにはどうしたらよいのかを問う、少女たちの成長物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
DV、女性被害、離婚や虐待やトラウマなどの複雑な環境や過去など難しい題材が散りばめられていて、考えさせられる。でも重くなりすぎず、読みやすいストーリー。
主人公の美桜里は友達のある行動や言葉に傷ついて不登校で、論理論破気質のママがうっとおしいと思っていた。けれどある日キッチンカーを手伝うトムに出会って話すようになって、視野も心の器も少し広くなって、話すこと・話を聞くこと・尊重することの大切さに気づくー。美桜里が変わっていママとの関係も良い方向に向かうのがよかった。
感情に流されず言葉にする努力って大切だと思う本。
Posted by ブクログ
対等な関係とは?性とは、DVとは。ティーン向けにしてはなかなか難しい問題を扱っている。大人でも色々考えさせられる。ぶっちゃけ美桜里のママめんどくせーなとは思うが、パパが暴力を振っていい理由にはならない。暴力シーンもなかなか迫力があって、でもDVで逃げた女の人の2割は元のところに戻るという。人の心は一つじゃない。読んでいても複雑な感情が湧いてきてモヤモヤする。
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不登校になった中1美桜里。取り巻く複雑な環境。さらには周りの人たちを取り巻く複雑な環境。
それぞれに抱えた過去があり、うごめく感情、どうにもできない行動言動。いろんなことが絡み合っているが、少しずつ解け始めて一歩前へ進める希望が見えて来る。多すぎず少なすぎない人物関係、物語の進みに、また村上しいこさんの話に触れたいなと思った。
Posted by ブクログ
日野美桜里(みおり)、中学1年生、両親は離婚して今は母と二人暮らし。学校では友達とのあるいさかいから不登校になっている。お母さんは、学校カウンセラーの仕事をしていて、さらに苦しんでいる女性の助けになる活動を始めたりして毎日忙しい。理屈っぽいところもあるけど、美桜里を小さな子ども扱いしない。
お父さんとは時々会って話をする。
物語冒頭から、母の留守の時に空き巣が入った。美桜里が一人でいるのは危ないという事で、学校に行かない代わりに昼間はおばあちゃん家にいく事になった。
そこで、おばあちゃんの友達の、貴夫ちゃんというおじさんと16歳の登夢(トム)という少年がやっているキッチンカーを手伝う事になった。テーブル設定、カレーの仕込み、仕事をしながら、トムは美桜里の話を聞き、相談に乗ってくれた。
トムも学校には行っていない。今はキッチンカーの仕事をしながら、高校卒業の資格を取るため勉強している。好きな事を見つけて、知りたい事ややりたい事をして、いろんな人と出会う。貴夫ちゃんからの受け売りと言いつつ美桜里にアドバイスしてくれる。イーブン、自分のことを話てから、相手の話を対等に聞くやり方で。
美桜里の両親の離婚の原因、父親のDV。それは母親の合理的で理屈っぽい物言いや忙しさからきていた。今も、美桜里と母とのギスギスした感じが、トムからのイーブンで話すというやり方を試してみて、少しづつ、母と話せるようになってきた。
そして定期的に会う父とも話をしていくうちに、母も父も、それぞれが自分のことを語ってくれるようになっていく。
中学1年生にしては、美桜里はしっかりした考えを持っているように見えて、幼い所もある。物語が進む中で、美桜里とトムだけでなく、大人達の過去が今につながっていることがわかる。
そして、主人公達が、話を聞き、自ら語り、話し合って、前に進む姿がいい。重いテーマを扱っているけど、希望が持てる物語。
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人と人との関係は、イーブンでありたい。
いろんなものを抱えた人がいて、どれも共感はできないけど、少しだけ分かる気がする、考えさせられるお話だった。
頭ではわかっててもどうしようもできないこととか、理想と現実のちがいとか。でもきっと人は、歩み寄ろうとするものなんだろうな。
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いじめ、DV、離婚、虐待、とにかくいろんなことを背負ってる登場人物ばかり。
美桜里の両親の心すれ違い描写は自分の家族にもあることで、どうやったら夫婦が上手く暮らしていけるのか考えさせられる。スカッとさわやかな話ではない。でも、救いのない話しではないから、読後感は悪くなかった。
色んな社会的問題を心を同調させながら知るために、小学生のうちに何冊か読んでおきたい種類の本。
Posted by ブクログ
パパのDVで離婚したママ。活動家で困っている女の人を助けている。堂々としてなんでも理屈でたたみかけるママと違って言いたいことが言えない美桜里は、あることから学校に行けなくなっていた。そんなとき、偶然出会ったキッチンカーのカレー屋さんに勤めるトムは、なぜか美桜里を気にかけてくれて…。人の痛みに寄り添える人たちが温かい物語。
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自分のやりたいことは自分で決める!
自分の気持ちを大切にしたいと思える一冊でした。
そうはいっても、自分の気持ちが迷子になったり
周りの人のことを考えたり、色々なことがあるけど自分は「どうしたい?」「何がしたい?」って
考え続けることの大切さを見失わないようにしたいです。
Posted by ブクログ
子供への虐待やDV、ジェンダーの問題、不登校の問題など考えさせられる事が盛りだくさん。
日本女性の人権は、世界ランキングで、下位。この本には121位と書かれている。
男性が無意識に女性を傷つけている現状がたくさんある。
単純な言葉ほど人を傷つける。性格がブスとか。
パパのママに対する暴力の描写は本当に怖い。余裕が無い人の行動。
パパは子供の頃に親からの虐待を受けトラウマを抱えている。
自分の気持ちを言葉で表現することがとても苦手で、いつも言い返す言葉が見つからずストレスを溜め込みそれが暴言や暴力に。
怒りは困り。
今、自分はなんで困っているのだろう?と考えると不思議と気持ちが落ち着く。
誰かが怒っている時も、迷惑なヤツだと思うのではなくて、なに困ってるんだろ?手伝えることはないかな?と考えられるように変わったパパ。
トムも母親から「あんたなんかいらない」って言われた。
最後は壮絶な戦い。勇気ある行動だったと思った。
Posted by ブクログ
父親のDVが原因で離婚した母親と二人暮らしの美桜里は、中学生。友達との行き違いから不登校になっている。空き巣に入られた事から、昼間は祖母の家で過ごすことになる。そこで祖母の手作り市仲間でキッチンカーの貴夫ちゃんやトムさんと知り合い、自分の心のモヤモヤと向き合っていく。
今の時代の心の問題を、子どもの側から一方的に書くのではなく、大人の側の心の問題にも向き合って書かれていて、なかなか良かった。自身もDVにあっていたという著者ならではの作品だと思う。