【感想・ネタバレ】童の神のレビュー

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Posted by ブクログ

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塞翁の盾の前に読むつもりやったけど、予約期限の関係で後回しにした本作を読んで納得。今村翔吾は外したらアカン、フォロー必須の小説家。

日本史の悪役として虐げられてきた化外の人々。ちょっと目線を変えたら彼らこそ被害者、力を持つものに敵視され捕らえられ奴隷とされて忌み嫌われ差別されてきた人々。

「人を分けるな」「人を諦めない」…生まれた場所、地位、性別、趣向、何がどうであっても人は人なのであり、等しく同じく赤い血が流れている。桜暁丸の目指した世の中は千年たった今も達成されてはいないが、それでも俺たちはまだまだ目指していけるはずである。

民俗学や伝承を重層的に構築しなおした設定に難しいテーマを載せている小説だが、痛快でさわやかで少し切ない水滸伝にも通じる名作、個人的には生活圏の山々が舞台となっているのも良かった。

究極の個人主義は無差別社会に通じると思う。俺は俺、お前はお前、必要に応じて連携もするが、基本的にはそれぞれで頑張れ、各々で楽しめ…それでいいじゃないか。

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2023年09月25日

Posted by ブクログ

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源頼光、渡辺綱が登場し、桜暁丸が酒呑童子だとわかった時点で結末は悲劇であることが知れ、読み進むのが辛かった。語り伝えられている大江山の物語とは違ったラストだったらいいのにな…と少し期待しながら読んでいた。
桜暁丸や仲間たちの覚悟に涙し、桜暁丸の「人を諦めない」という純粋な想いにまた涙。
でも、桜暁丸の夢見た世界は遠い…

この『童の神』は三部作の第一部だそうで。
続編が楽しみだ~。

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2022年06月05日

Posted by ブクログ

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凄く面白かった✨
「共に生きる」
読んでいて、涙が溢れてきました
人が人として、生きれない人達がいた時代。差別は、いつの時もある、
1000年前の時を感じながら読みました
時は平安時代、貴族達が蔑む人々、鬼、土蜘蛛と呼ばれる土着民がいた。
その総称を童と呼びます。
その童が、人として、差別なき世を作るため、朝廷軍と戦うおはなし

主人公の桜暁丸のかっこよさはもちろんの事こと、皐月、袴垂、晴明、鞠人の息子達のかっこいい事ったら、胸が熱くなりました

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2022年05月20日

Posted by ブクログ

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「共に生きる」
何度この言葉が出てきたことだろう。

同じ一つの国の中で生まれ育ち、同じ赤い血の流れる”人”のはずなのに、貴族と庶民、京人と鄙の者、内と外、となにかと区別したがる”人”の弱さを思い知る。
己の地位を確立するため、それを妨げる者を一方的に虐げる”人”の強欲さに胸苦しくなる。

多種多様な人が混じり合い共に生きる、そんな忌まわしき境のない世が、きっと千年の後には出来ているはず、と期待を寄せた桜暁丸。
桜暁丸の生きた世から千年後の世となる現代において、残念ながら桜暁丸の期待には応えられていなくて申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
千年経っても変わらずに存在する、人と人との間を阻む大きな壁を打ち砕く”何か”を見出さなければならない。
最後の最後まで熱き心を失わなかった先人たちに思いを馳せ、胸の奥をぎゅっと掴まれたまま頁を閉じた。
史実とはいえ、結末が悲しすぎる。
桜暁丸たちの魂の炎は、決して消えることはないと信じたい。

『文庫版あとがき』によるとまだこの物語は終わっていない、とのこと。
物語の続編が今からとても楽しみだ。

先に『きつねの橋』を読んでいたお陰で、物語に入りやすかった。
立場や目線が違うとこうも違うのか、と驚いた。

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2021年03月01日

Posted by ブクログ

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終盤になって桜暁丸の京人からの呼び名が酒呑童子であることから一気に全て繋がった。
鬼の頭目である大江山の酒呑童子が源頼光に退治された話は知ってたが、妖怪としての印象しかなく、ここに登場する鬼、土蜘蛛、滝夜叉、犬神などが歴史上、実は人間であり、恐れられたことから妖怪として語られていたのかもという新しい視点を持つことができた。
桜暁丸が上洛した時の掛け声のシーンが1番心が熱くなった。
結末シーンは私は好きな終わり方だった。
めちゃくちゃたくさんの人物が出てきてはバタバタと去っていく。

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2022年01月22日

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