あらすじ
「戦争の原因には何があるのか」「国際介入の効果とは」「民主主義と平和は関係があるのか」「戦争を予測することは可能か」……。本書は、国際政治学の最前線の成果を生かして科学的に国家間戦争や内戦を論じ、多くの疑問に答える。そして緊張を増す東アジアの現状を踏まえ、日本の安全保障などの展望も示す。歴史やイデオロギーから一定の距離を置き、データ分析から実証的に国際情勢と戦争の本質に迫る試み。
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Posted by ブクログ
戦争が起こる条件をデータから明らかにし、それを予測する、という”科学的”な国際政治学を専門とする研究者による新書。本書の”戦争”とは暴力行為を伴うものとして定義されています。そのような段階の前の国際政治における”貿易戦争”だとか”冷戦”は含まれない。交渉の失敗の結果として戦争がどのような状況で実際に発生するのかということをデータから明らかにしていこうと言う内容。
しかし、思っていたような一般向けの本とは言い難かった。論文調なことに加え、日本語として文章も読みにくい箇所が多く、この分野の専門家でないと意味を理解できなくてすぐに挫折しそう。基本的異は著者の研究とその学術の世界の紹介であって、この世界に入ろうと思っている学生を勧誘するのには役立つかもしれない。過去のデータから明らかにするのだ、という部分は分かりにくく、分かり易い部分は結局は著者の考えが中心であまり証拠に基づいているとは思えなかった。それでも、日本の現状に対する認識とか、平和のためには周囲に安心感を与えることが重要だとか、イズムに閉じこもってスローガンを唱えるだけでなくデータとその分析が必要だ、など、とても重要な提言も含まれている。