【感想・ネタバレ】市【まち】に虎声【こせい】あらんのレビュー

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Posted by ブクログ

ディックのSFではない、実質処女長編。エヴァンゲリオンの碇シンジ=本作の主人公ハドリー、という訳者解説で少し構造が見えたような気がする。終末のイメージを旧約聖書やヨハネ黙示録などに負い、魂の彷徨を繰り返した末に見えるものは何か。23歳の若かりし日に書かれた本作は、晩年の宗教的な小説にも通じるものを感じさせつつ、現実と非現実の狭間で自己の変容を見出すというディック作品全体に見られる要素がすでに完備されていると思う。いっけん退屈で小難しい小説に思えるかもしれないが、個々の人間描写が面白く、終盤の展開にはスリルもあり個人的には楽しめた。
約600ページの長編なので読む際はご注意を。

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2021年03月03日

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