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Posted by ブクログ
ヤバイツバイ
あなたの周囲の町では郷土史として、一人の歴史ヲタクが自作の古文書で作り上げた、虚構の由緒がまかり通る
城を作り、氷室を作り、寺を作り、神社を作り、先祖をつくる
全て創作であり、あまりにも膨大、あまりにも広範囲、由緒書、系図、絵図をいくつかの筆跡を使い分け、村の利益、祖先を飾るなどから、需要と供給があり一枚だけだが代金の受け取りまで残っている
郷土史として残り、教育委員会だけでなく、歴史学の大家まで、椿井政隆が創作した偽文書を基礎に、多くの学説まで作り上げていて、自治体でも「歴史に興味を持ってもらうため」だったら偽でも良いという態度
著者は歴史学としての、偽文書がもたらす弊害の警鐘を鳴らすだけでなく、それが伝播していく様から見える学問的な考察をまとめ上げ、素人でも「歴史ってすげえ」と思い知らされる一冊です
通勤本にしたのは大失敗(´・ω・`)
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 椿井文書とは何か
第2章 どのように作成されたか
第3章 どのように流布したか
第4章 受け入れられた思想的背景
第5章 椿井文書がもたらした影響
第6章 椿井文書に対する研究者の視点
終章 偽史との向き合いかた
<内容>
研究者でないと知らない「椿井文書」。ただ近世後期にせっせとこれを作った本人よりも、明治期から戦中期までの思想的影響と戦後の地方史の活性化(および各地方の観光目的の政治的使い方)が、この偽史の扱いをさらに深いものにしてしまったようだ。第1、2章はミステリーのようでなかなか面白い。後半は、うって変わって現代日本のダメなところがいくつも出ているようで、情けなくなった。その文書の全貌を解析した著者の努力には敬意を評する。