あらすじ
現在、全国で確認されている路上生活者の数は4555人。年々、各自治体が対策を強化し、ここ10年で7割近くが減少した。救済を求める人がいる一方で、あえて現状の暮らしに留まる人も少なくない。しかし、ついに東京は2024年を目標とした「ゼロ」宣言を、大阪は2025年の万博に向け、日雇い労働者の街・西成を観光客用にリニューアルする計画を発表。忍び寄る"消滅"計画に、彼らはどう立ち向かうのか? ホームレス取材歴20年の著者が、数字だけでは見えない最貧困者たちのプライドや超マイペースな暮らしぶりを徹底レポート。
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Posted by ブクログ
ルポの王道、みたいな。
20年以上ホームレスを取材してきた著者が、公機関のデータとは別の視点でホームレスの方の生態(っていうか)を書いたものです。どんな人たちが、どんな生活をしているか。何が大変で、何が大変じゃないか。(気楽でいいわーと思って暮らしている人もいる、少数だが)。自治体が行うホームレスの支援がうまくいかない(ズレてる)理由や、高度経済成長期に仕事がたくさんあって、ホームレスの人が日雇い仕事に出かけて行った時代と、現代の違いなど。
時代が移り変わり、日雇い労働では生計がなりたたなくなり、ドヤ街も消滅、ホームレスも減少し、近々消滅するだろうとのこと。
なかなか面白い考察で、興味深かった。
時代の流れというものは、誰にもどうしようもないものだな。と同時に、それに大いに乗っかって(ホームレスの人、日雇い労働者を利用して)大儲けする人もいれば、その日暮らしで時代の流れに取り残され、気づけば暮らしていけなくなった、みたいな人もいる。何が正しいのかわからなくなるけど、そもそも何かを「正しい」と決めるのも変なことかも。
「ホームレスという暮らし方」=「正しくない」とは考えずに、密着して人々の生き方を追っている、これぞルポ!って感じでした。