あらすじ
とある人間が死の淵から帰ってきた。
――ただいま!!
エロも哲学も垣根なく綴った、突然の病からよみがえるまでの怒涛の3年間。
アルバム制作やライブ、ドラマ撮影に執筆。
やりたかったことは次々と仕事になったが、片時も休まる暇がない。
自分がなりたいと思う姿を追いかけるほどに消耗していく中、
突然の病に襲われた。
……まだ死ねない。
これから飛び上がるほど嬉しいことが起こるはずなんだ。
死の淵から蘇った3年間をエロも哲学も垣根なしに綴る。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
読んだら星野源を好きになります
星野源を名前しかしらなかった高校生の頃、星野源がマネキンに欲情したというエピソードをネットニュースでみてドン引きし、それ以降毛嫌いしていた私が、この本を読み進めて行くうちに、好感を抱かずにはいられなかった。
再読。
こんなにも好感を持って読み進めてしまうのは、星野源がもしかして自分と同じ畑出身なのでは?と思わされてしまうからだ。
しかも、オタク·陰キャ出身でありつつ、
常人を期した熱意と努力で、スーパースターに成り上がった俺らの星だからだ。
そして、そんなスーパースターでありながら、当初の精神を持ち続け、丁寧に熱意をもって向き合い続けているからだと思う。
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私も頑張ればこんな明るく社交的になれるだろうか。
周りの会話に入れず、ひとりで夜な夜な自分にダメ出しを繰り返していた中学生から20代中盤までの自分と比べれば、今は人と話すのがとても楽しくなった。人の話をしっかり聞くことで会話が続く、という仕組みを理解できたのはつい最近のことだ。それまではなにか面白い話をしなきゃと考えて下痢。グループの会話に入らなきゃと考えすぎて下痢。以降、恥ずかしながら人と喋ることよりも、喋らなくて済む理由を考えることに熱を注ぎ、自分を正当化しようとしていたあの頃。今振り替えるととてもダサい。そんな奴より自分が傷つこうがなんだろうが、ただ人とコミュニケートしたい、話を聞きたい、喋りたい、場を盛り上げたい、とウザがられようがどう思われようが率先して人と関わることをやめない人の方が、何倍もカッコいいと思う。
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「そう見られている」時点で、男は「騙されている」と感じるのではなく、「想われている」と感じるべきだろう。
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でもこの曲、自分の人生を変える作品になるだろうという妙な感覚がある。根拠はない。でもなんだかそう思う。出産を待つ夫のような気持ちで、君の誕生を待つ。
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まだ死ねない。これから飛び上がるほどに嬉しいことが怒るはずなんだ。そんな日々が来ることを、俺は、歌の中で知っているんだ。
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生きた証や実感というものは、その人の外的行動の多さに比例するのではなく、胸の中にある心の振り子の降り幅の大きさに比例するのだ。
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世間を面白くするには、世間を面白くしようとするのではなく、ただ自分が面白いと思うことを黙々とやっていくしかないのだと。
Posted by ブクログ
星野源の『よみがえる変態』は、一見すると軽やかで笑いを誘うエッセイ集である。しかし、その底に流れるものは、決して軽薄なものではない。むしろ、闇の中でなお光を見出そうとする人間の強靭な意思であり、絶望をも笑いへと変換する稀有な表現力である。
本書には、下世話なユーモアや日常の小さな出来事が散りばめられている。だがそれらは単なる戯れではなく、読者に生きる力を与える「肯定の言葉」として響く。くだらないことを笑い飛ばす余裕の中に、人生の苦しみを引き受け、それを昇華していく強さが宿っている。
特筆すべきは、著者が自らの病との闘いを赤裸々に描きながらも、それを悲嘆としてではなく、むしろ「生の実感」として提示している点である。死の影を間近に見つめながらも、なお「笑い」を手放さずに綴られる言葉は、読む者に大いなる励ましを与える。
『よみがえる変態』は、エッセイという枠を超えて、人間の尊厳と希望を示す書である。星野源という存在は、弱さを隠さず、孤独を恐れず、愚かささえも味方につけて生きている。その姿は、現代を生きる私たちに「どのような状況にあっても、人はなお笑い、なお愛し、なお希望を紡ぐことができる」という真実を教えてくれる。
読み終えたとき、胸に残るのは単なる笑いではない。むしろそれは、生きることの豊かさを再認識させる、確かな余韻である。