【感想・ネタバレ】暗黒の啓蒙書のレビュー

あらすじ

民主主義と平等主義の欺瞞を暴け。
資本主義を加速せよ。

民主主義を棄て去り、資本主義を極限まで推し進め、
この世界から〈イグジット〉するのでなければ、真の自由は獲得できない――。
“現代思想の黒いカリスマ”が放つ、禁断の書。

* * *

「声などどこにもない、ただ自由な出口だけがある。」

近代の啓蒙のプロセスを嘲笑い、民主主義的かつ平等主義的な価値観をも転倒せんとするニック・ランドの「暗黒啓蒙(The Dark Enlightenment)」は、ピーター・ティールやカーティス・ヤーヴィンらリバタリアン起業家たちが主導する「新反動主義」に理論的フレームを与え、哲学の最新潮流である「思弁的転回」や「加速主義」、そして「オルタナ右翼」へのインスピレーションをも喚起しつづけてきた。
果たしてそれは、人類の進歩的プロセスを否認する反動主義であり、野蛮な人種主義にすぎないのか。それとも、来たるべき未来を照らすオルタナティヴな光源なのか――。

* * *

[目次]
序文 『暗黒の啓蒙書』への「入口」 木澤佐登志
Part 1 新反動主義者は出口(イグジット)へ向かう
Part 2 歴史の描く弧は長い、だがそれはかならず、ゾンビ・アポカリプスへと向かっていく
Part 3
Part 4 ふたたび破滅へと向かっていく白色人種
Part 4a 人種にかんする恐怖をめぐるいくつかの副次的脱線
Part 4b 厄介な者たちの発言
Part 4c 〈クラッカー・ファクトリー〉
Part 4d 奇妙な結婚
Part 4e 暗号に横断された歴史
Part 4f 生物工学的な地平へのアプローチ
訳者解説 なにから離脱するべきか 五井健太郎

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ニックランドは民主主義社会に進歩的なものが隆盛になり、右派は今後もリベラルによって衰えていくだろうとして、右派に、新反動主義というネオナチとは一線を画すと同時に差別的な思想を提示し、少数派のリバリタリアンたちには声というアプローチではなく、民主主義から出口〈exit〉し、コーポレーションのような新官房学的な一部の人たちによる会社のような政治をさせる(アメリカの憲法には民主主義がなく創始者たちは民主主義に反対していたことを含みながら)というヒントを与えた(それが、ピーターティールのやっていることだが)。この書を読まずして現在のアメリカ社会への理解は難しいであろう。また、現時点はここまでに留めておく。本書の重要な加速主義や大聖堂についての部分などを細かく読み、また、思索を深めようと思う。
解説はどちらかと言うと保守ではない人が書いているために本書に賛成的ではないが、保守派は同調するだろう。

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2022年01月29日

Posted by ブクログ

行きすぎた平等主義と民主主義は再考に値すると思った。生物学的多様性を笠にして、人種主義的な言説を推し進めて行くことと、事実としての生物学的多様性を峻別することが重要になってくる。
生物学的多様性だけではなく、文化的、歴史的多様性もある。それら複数の差異をひとまとめに扱うことは不可能であるのは確かだろう。

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2025年05月18日

Posted by ブクログ

どの辺が「暗黒(dark)」なのかわからず・・・。
訳者解説の人間にとって真の暗黒なものであるウイルスが猛威を振るう中、『あらゆる統治は退けられるべきなのだとこの世界そのものからでていくのだと、いったいなぜいえないのだろう。』という言葉に非常に説得力を感じた。

ピーター・ティールも自らがマジョリティ、エスタブリッシュメントで、資本主義の勝ち組にすぎないからこそ、リバタリアンからトランプ支持に回ってしまったとただただ自己の存在を最大化したいだけのチンケな様に思えてしまう。

とはいえ、加速主義の思考プロセスは学んでいく必要は強く感じる。

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2022年04月08日

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