あらすじ
まやかしの数字を用いたプロパガンダ言説を、豊富な図表を用いて論破する!
「日本の借金は1000兆円以上もあり財政破綻間近である」というウソ。
「日本の人口は8800万人にまで減少し日本経済が衰退する」というウソ。
「財政再建のため、社会保障の財源が足りないから、消費増税するしかない」というウソ。
「年金制度は崩壊する」というウソ…等々。
世の中にはフェイクニュースや的外れな議論が溢れている。
思い込み、というのは人によってずいぶん違うらしいが、そもそも筆者の頭の中には思い込みというものが存在しない。
何かを論じるときは長期間のデータや海外の事例などを見るから、思い込むという感覚が正直よくわからない。
筆者は運命すらもすべて確率で考えるから、そのときの運なのか、そうでなければ何%の確率で起こったのかと考える。
大学では数学を専攻し、数量分析を使えば現状を的確に把握できるし、将来すら予測できる。
なぜなら、ある事柄について、その始まりから終わりまでの過去の経緯と、理想的にはG20、最低でもG7加盟国分の海外の具体的事例でファクトを集めれば、どの時代、どの地域にも共通する普遍的なルールが自然と見えてくるからだ。
そうすれば時間的な広がりを持つ縦軸と空間的な広がりを持つ横軸が通った、強い論考が生まれてくる。
「そんなことは当たり前だ」と思われるかもしれないが、世の中にはこの当たり前のことができる人がほとんどいないのだ。
さて、以下の問いに、あなたは正しく答えられるだろうか?
【問 世界で日本だけが貧富の差を拡大させているのか】【問 最低賃金を引き上げれば貧困問題は解決するのか】【問 就業率や賃金はどうすれば上がるのか】【問 日本はベーシックインカムを導入した方が幸せか】【問 奨学金はタダにならないのか】【問 日本の「奨学金」は英語で何と表すか】【問 国際関係とは一般的に国家間の何を指すか】【問 貿易収支が赤字になると国内景気はどうなるか】【問 日本は果たして貿易立国か】【問 対外純資産の変動は経済成長に何か影響を与えるのか】【問 消費増税は日本経済に福音をもたらすのか】【問 消費増税で苦しくなると消費税は払えなくなるか】【問 法人減税をすれば日本企業の国際競争力は高まるか】【問 将来的に日本は財政破たんするのか】【問 国家予算が増え続けると財政は危ないのか】【問 数兆円の公共投資は税金の無駄づかいか】【問 日本の高齢化率は2065年に何%になるか】【問 なぜNHK改革は与野党で長年タブー視され続けてきたのか】【問 高齢化に伴い個人金融資産残高は増え続けるのか】【問 将来的に空き家率はどのくらいまで上がるのか】【問 機械で代替できない仕事には何があるか】【問 食糧自給率が低ければ食糧難になる確率は高まるのか】【問 日本人がガンで死ぬ確率は何%か】
答えは、本書の中にある!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今年(2024)のGWの大掃除で発掘された本のレビューは大方終わりましたが、その前に娘夫婦が宿泊した時に大慌てでスースケースにしまい込んだ本があり、それらの本のレビュー書きを終了させたく思っています。記録によれば、まだまだ世の中がコロナ騒動の真っ最中だった、4年前(2020.6)に読み終わった本です。
この本の著者の高橋氏の本は長い間お世話になっていて、これで45冊目となります。この本でも、一般に公開されているデータを根拠に、それを彼がわかりやすい図表に置き換えてくれて説明してくれています。数字でしっかりと説明されると納得感が違いますね。読み終わってから時間がかなり経過しているので、レビューを書きながら大事な点を振り返りたいと思います。
以下は気になったポイントです。
・筆者が議論するときに心がけていることは「川を上り、海を渡れ」である、歴史を遡って過去の経緯を調べる、海外の事例を調べる、である(p8)
・ファクトを探すための3つの言語、1)人文科学の言語、母国語の日本語と外国顔(今の時代は英語)、2)自然科学の言語、数学、3)社会科学の言語で、会計や経済理論、である(p25)
・演繹法とは、複雑な事例をいくつかの前提から全ての解答を導き出す方法である、本質があってそこに何かが組み合わさったものが世の中の事象になっている、何が本質かというファクトを導き出す(p30)
・政策賃金だけを上げるのは政策としては本末転倒、全体の賃金が上がる中で最低賃金も少しずつ上がるのがベストな状態である、貧困を無くしたいのなら、全体的な経済成長をするしかない(p47)
・ベイシックインカムは、失業保険、生活保護、年金、これらに関係のない人が喜ぶ。逆に言えば、関係ない人までもらえるが故に、一律にばら撒けば失業保険等の受給対象者の取り分が絶対的に減る、だからこれは無理筋な話となる(p56)
・国際関係とは国家間の貿易と安全保障のこと、貿易と安全保障は表裏一体で、それを国家間でどうして行くかを話し合うのが外交である(p74)
・貿易赤字になれば景気は悪化するのか、という問いに答えを出すには、貿易収支と経済成長率に相関関係があるかを検証すれば良い、結論を言えば、GDP に対する貿易収支の比率と、経済成長率の点は、p85の図のように相関関係は無いことがわかる(p84)
・対外試算は、これまでの輸出額の総計になる、逆に言えば、輸入額=対外負債の純増となる、この輸出額から輸入額を引いた額に、運賃・旅行費・外債利子といった「貿易外収支」を加えれば「経常収支」となる。つまり、貿易黒字の累計が対外純資産となる、それはこれまでの経常収支の累計にほとんど等しい(p99)
・インボイスとは、簡単に言えば納品書に税額を書くこと、これは世界の常識である。消費税の滞納が老いということ自体、取引の段階で税率を書いていないという証拠でもある。そんな時代も終わり、2023年10月からインボイス制度の導入が決まった、これにより脱税がしにくくなり、消費税も上げなくて済む(p112)
・法人税が世界中で下がっているのは、法人税の二重課税を排除したいから、海外では納税者番号などで個人の所得、資産の捕捉ができるるようになったから引き下げられる、日本で下げるのが遅くなったのは、マイナンバーカード制の導入が遅かったから(p119)
・人間の特性として「5%未満のものは認識できない」というのがある。そこまで認識していたら何もできなくなるから。これをうまく使っているのが、降水確率0%である。気象庁の公式見解は「0ー5%未満」である、みんなは5%未満をゼロと認識してしまう。(p124)
・国税庁が把握している法人数は270万社、日本年金機構が把握する民間での社会保険加入数が236万社、差し引きが34万社である。社会保険料も税務署に納めるようになれば、日本の税収も大きく変わる(p131)
・空き家が増える理由は、1)高齢の両親が亡くなったあと、誰も手入れしなくなるから、2)空き家の方が固定資産税が低い、小規模宅地特例により土地に住宅が建っている場合には、固定資産税が通常の6分の1に減額される(p171)
・人生は50歳くらいまでで概ね決まる、定年退職までにある程度の死兆円程度んがあれば後は何もしなくていい。それまでにどうやって資産を蓄積しているかによる。高齢者世代はどうしても資産格差が大きくなるから、中学時代の同窓会なんてもうできない。どうしても同じ階層の人だけでしか集まらなくなる、これは残酷な事実である(p178)
2020年6月15日読破
2024年7月17日作成
Posted by ブクログ
相変わらずの高橋節!
貿易収支と景気に何の因果関係もない!
ベーシックインカムは無理筋!
消費増税で財務省と経団連が結託!社会保障目的税にして、社会保険料の値上げ見送りに法人税減税!経団連は笑いが止まらない。。。本来、社会保障財源にするなら、社会保険料を上げるべきだが、、、
法人実在説は間違いなので、個人ベースで完全に課税できれば法人税は不要。マイナンバーできちんと捕捉できている海外が下げ始めているのは当然!
高齢化率の上限は38%であり、恐るに足りない。過疎地が増えれば市町村合併をすれば良いだけ!騒いだり不安を煽るのはポストがなくなる地方自治体の常だ!
Posted by ブクログ
髙橋先生の本は、すでに何冊か読んでいて、世の中の曖昧模糊な事柄をデータで読み解いて解説してくれるので、本当に勉強になる。みんながもっと読んでほしいと思う。ただし、この本ではコロナ以外のテーマは過去にも解説があるものもあるので、テーマの重なりはちょっと残念。もっと全面的に新しいと良かった。
Posted by ブクログ
FACTを基礎にしなければ、なにも、議論はできない。
「川を上り海を渡る」ことが、時間的な事例と、空間的な事例を収集して分析することで、大概のことは予測はつく。
当たり前っつっちゃ当たり前だが、毎日の生活の中でそれがいかに難しいことか。
誰もが高橋先生のように明晰に考えられるわけではない。だから、たまにはこういう本を読む必要もある。
もちろん、先生と違う考え方をする人もあって、読んでムカつかなければ、そっちも読むべき。んで、自分で考える、自分で一次資料を確認する癖をつけるのだ。
ろうね。
少子化の話とか、NHK問題に民放が触れない話とか、法人税の話とか。
こないださざ波発言でえらい叩かれてたが、あるコメンテーターが、高橋洋一は、数字でしかものを考えない変な奴だったと言ってて、心の底から軽蔑した。