あらすじ
同時通訳者の一流の英語&日本語!
1969年のアポロ11号の月面着陸の中継を同時通訳し、一般の人たちに「同時通訳」というものを知らしめ、神といわれた同時通訳者・西山千(セン)。その頃著者は大阪でサラリーマンをしながら英語の講師などもしていたが、西山千に声をかけられ、アメリカ大使館で同時通訳者として共に働くことになる。当時のアメリカ大使館はまるで植民地のようで、また人を機械のように使い捨てる風習、他人を蹴落としてのぼっていく実力主義から、殺伐とした空気が漂っていた。そのなかで著者は、センから猛烈な「しごき」を受けながら、同時通訳の極意を学んでいく。しかし、少しのミスも許されない環境で、やがてセンも著者も大使館を追われていく……。
「通訳とは単に言葉を訳すのではなく、そのウラにある思いや文化も汲んで訳さなければならない」「通訳とは、シンボルの交換である」通訳名人・西山千のきらめくような言葉から、同時代に活躍した村松増美をはじめとするほかの通訳者たちの言葉も交えつつ、同時通訳の神経をすり減らすような厳しさ、そのなかにある喜びを語る。戦勝国と敗戦国の狭間で生きる、同時通訳者たちの過酷な宿命!
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Posted by ブクログ
アポロ11号の月面着陸の同時通訳で、神といわれた西山千。
その西山千に声をかけられ、アメリカ大使館で同時通訳者として共に働くことになる松本道弘。
松本道弘氏の本は、大学時代から読んでいますが、この本は裏話のようなことが、たくさん書かれています。
ずっと読んできた著者の、今だから書けるというような内容の本書に、驚きもしましたが、人間味も感じます。
松本道弘氏の生き方にも、少なからず影響を受けた者として、本書は、新たな著者との邂逅でした。