あらすじ
歴史あるお嬢様学校、凰西学園に入学した真矢は、マイペースな花音と友達になる。ある日、「幽霊が出る」という噂のあるピアノ練習室で、二人は宙に浮かぶ血まみれの手を見てしまうのだが……。
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Posted by ブクログ
花音と真矢は今通っている高校で出会った親友同士だ。そんな二人には謎めいた力があった。それは、互いが体のどこかを触れあわせると、学校にわだかまる何かが見えるというもの。それは、時に恐ろしく、そして切なく少女達の瞳に映った。
青春ホラー・ミステリーもの。創立120年以上という歴史ある女子校を舞台にした作品。内容はホラーなので怪異や怖いものが出てきたりするが、真矢や花音、そして在校生が抱える思春期特有の悩みなどがつぶさに書かれていて、切なく懐かしい気持ちになった。限定的な力だからこそ、日常に差し込まれる怪異が何処かあいまいで、とてもおぼろげな存在として扱われ(作中でも何度もそのような描写がった)誰かの想いや夢の残滓のようで、怖いのだけれど、儚さも感じさせられた。とはいえ、残された思いや夢のカケラは恨みや辛みを孕んでいるものもあり、怖い話は怖かった。特に3話目の肩に小さくてフワフワさせた小動物を乗せているという話は怖かった。もともとそれ自体にいわくがあったのか、大切にするあまり、念がこもってしまったのか分からないが、結末がわかった瞬間真矢たちと同じ気持ちになった。よいものだと思っていたので、余計その感情が強くなった話だった。ふわっとした感想しか書けなくて大変申し訳ないのだが、私はすごく好きな作品。怪異自体も怖いのだけれど、怪異の真相を突き止める過程でわかる真実がどれも物悲しく、切なかった。 しかし、これはホラー小説という事を忘れてはいけないのだ、という事をエピローグで思い知らされる。ワッと声を上げるような恐怖ではなく、忍び寄る恐怖であり、読んできて読者が感じた違和感をそこに集めたような感じだった。